概要
㈱BuySell Technologies(東証GRT7685)は、2025年2月14日、2027年12月期を最終年度とする3か年の中期経営計画(2025-2027)を発表した。
2027年12月期の数値目標は、売上高1,400億円(2024年12月期実績599.7億円)、営業利益110億円(同47.3億円)、営業利益率7.9%(同7.9%)、とした。
施策
- 再訪強化による収益性の向上(出張訪問買取事業):「バイセル」出張訪問の再訪獲得は、ノウハウをブラッシュアップすることによりFY2027で再訪率20%を目指す。「福ちゃん」出張訪問における再訪比率はFY2024で1%と成長余白が大きく、バイセルの再訪獲得ノウハウを横展開することによりFY2027に10%水準を目指す。
- マーケティングコスト最適化×ブランドへの投資(出張訪問買取事業):出張訪問買取事業を展開するグループ3社でのマーケティングコストの最適化により広告費を削減。最適化されたコストや全社の戦略投資として位置づけられているマーケティング領域に、中長期を見越したブランド投資を積極化する。
- セールスイネーブルメント導入/買取商材拡張(出張訪問買取事業):バイセルが長年に渡り培ったイネーブルメントの取組みを型化し、グループ各社にも導入。バイセル・福ちゃん両者のシナジー効果を活かした買取商材の拡張や、これまで取りこぼしていた商材買取を確保することで、訪問1件あたりの粗利単価を引き上げ収益の拡大を目指す。
- グループ店舗事業戦略方針(店舗買取事業):グループ店舗の各強みを生かした戦略を推進し、グループ全体最適を実現しながら店舗買取事業における競争優位性の確立を目指す。
- グループシナジー創出による収益性向上と店舗数拡大(店舗買取事業):各グループ店舗の強みを中心としたグループシナジー創出により、店舗数拡大と1店舗当たり収益性の向上の両立を目指す。
- グループ在庫統合と販売戦略高度化:グループ在庫統合により、倉庫オペレーションの改善や、販促・物流コストを適正化し、コスト削減による営業利益率の向上を目指す。グループ在庫を商材ごとの最適な販路へ販売集約することで、販売金額最大化による粗利額の向上を目指す。
- 海外販路(中国)の新規構築:初の海外展開として今後自由貿易港への移行が見込まれる中国・海南島に子会社を設立し、20兆円を超える中国の巨大な顕在リユース市場をターゲットとした高単価販路の拡大を目的として2025年より事業開始予定。従来は国内toBオークションで販売していた商品を中国でリペア・リメイクし、ライブコマースで販売することにより粗利向上を目指す。
- リユースプラットフォーム「Cosmos」について:買取から販売、顧客管理、在庫管理、販売管理、データ分析等のリユース業に関するすべてを包括して提供する自社開発プラットフォーム「Cosmos」の導入により、バイセルグループ全体での業務効率改善やデータドリブン経営の深化による主要KPI向上を目指す。
- AIエージェントを活用した業務オペレーション構築:中期的には、AIを活用した高次の業務オペレーション構築を最重要テーマとして、テクノロジー投資を行う方針。Cosmosを基盤としてデジタル化した各種業務フローを、AIエージェントを介した業務オペレーションへと進化させ、人間を介した業務では実現不可能なレベルでの業務効率化及び顧客体験価値の最大化へ。
M&Aニーズ
- 買取チャネル強化:出張訪問買取・店舗・宅配。
- 販売チャネル強化:EC販売、オークション、催事。
- 取扱商材強化:着物・ブランド・時計・ジュエリー・骨董等。
- 買取チャネル拡大:ニッチ・専門商材等の買取チャネル。
- 販売チャネル拡大:海外販路、販売店舗、専門商材ECチャネル。
- 新規商材の拡張:楽器、高級アパレル、絵画、ホビー等。
所感
BuySell Technologiesは、全国の顧客自宅に直接訪問し、主に着物、切手、古銭、貴金属・ジュエリー、ブランド品などの出張訪問買取を中心とする総合リユースサービスを展開。2027年12月期までの目指す姿として「「バイセル」×「福ちゃん」での出張訪問買取事業の一強ポジションの確立」、「グループ店舗数650店舗以上への拡張による、店舗買取事業領域での業界上位ポジションの確立」、「海外販路を中心としたグローバル展開による、新たな収益基盤の創出」を掲げ、M&A、ブランディング投資、海外展開などの戦略投資に積極的に取り組んでいる。本中期経営計画では、リユース事業のM&Aを最優先とし、既存競争力の強化やリユース未着手領域の展開に寄与する投資実行を継続する方針を打ち出しており、同社の今後のM&Aを含むアライアンス施策が注目される。
- 挑戦度☆☆☆
- 戦略度☆☆
- 期待度☆☆☆
以上