概要
中部飼料㈱(東証PRM2053)は、2023年5月8日、2026年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)を発表した。
2024年3月期~2026年3月期の3か年においては、エネルギー価格や飼料価格安定基金負担金の高止まり、積極的な設備投資による減価償却費の増加等を見込む。このような中、中部飼料は、顧客への飼料の安定供給責任を果たすことを使命とし、強い収益基盤の構築を目指す。
2026年3月期の数値目標は、売上高2,360億円(2023年3月期実績2,434億円)、営業利益27億円(同16億円)、経常利益30億円(同20億円)、当期純利益21億円(同8億円)とした。
施策
- 飼料セグメントの収益力向上と規模拡大(飼料の付加価値販売の徹底、製販⼀体となったコスト改善及び⽣産性向上の継続(ムリ・ムダ・ムラの徹底排除、ダントツの製品品質を⽬指す)、社会・環境変化に応じた攻めの原材料調達、釧路⼯場の製造技術(AI・IoT)を他工場へ横展開、付加価値のある畜⽔産物の販売強化を通じた飼料の拡販、営業⼈員の増員・育成、市場拡⼤が⾒込める地域、畜種での拡販行動)
- 鶏卵販売事業の成長加速(疾病・災害等不測の事態に備え安定供給のための取組み強化、⾼価格帯商品の特殊卵「ごまたまご」「平飼いシリーズ」等の販売強化、営業⼈員の増員・育成、コスト削減への継続取組み)
- 肥料事業の成長加速(有機⼊り配合肥料の強みを活⽤した販売強化、新原料の調達、新製品(とくに特殊肥料等⼊り指定混合肥料)の開発・拡販、関東の製造拠点(神栖⼯場)の早期増強(設備・⼈員))
- 畜産用機器事業の成長加速(畜産⽤機器の新規・追加設置の獲得、買換需要の掘り起こしを推進、中国、東南アジア等への販売強化、下⽔汚泥処理⽤機器の新規拡販)
- 保険代理業事業の成長加速(畜産保険の販売を通じて⽣産者へ貢献、疾病・災害等へのリスクヘッジ機能を訴求した販売強化、飼料事業へのシナジー効果)
- 成長する収益基盤を支えるサステナビリティ経営の推進
所感
原料ポジションは2023年3月期比改善、電力費・燃料費は2023年4~6月比横ばい、配合飼料価格安定基金負担金は1,420円/t(2023年3月期比+170円/t)、畜水産飼料市場流通量は2023年3月期比横ばい、を見込む。同社事業は、配合飼料価格・原料価格(穀物相場、為替、海上運賃等)スプレッドの影響を受ける。また、飼料価格変動による畜産経営への影響を緩和し畜産経営の安定を図るために設定される配合飼料価格安定基金(通常補填積立金、異常補填積立金)への拠出額も同社業績へ大きなインパクトを与える。中期経営計画期間においては、これらのシクリカルな事業構造と一線を画したその他事業をどの程度成⻑させることができるかが、同社飛躍の鍵となる。
以上
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