概要
㈱タイミー(東証GRT215A)は、2024年7月26日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。
事業内容
有料職業紹介事業として「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービス「タイミー」を提供。従来の求人媒体型サービスと異なり、「タイミー」でマッチングする業務を雇用主(以下、「クライアント」という。)と働き手(以下、「ワーカー」という。)の1日単位の直接雇用とするのが特徴。
強み
- ワーカーは、働きたい案件を選ぶだけで、履歴書なし・面接なしですぐ働くことができ、勤務終了後すぐに報酬を受け取ることができる。
- クライアントは、来て欲しい時間や求めるスキルを設定するだけで、条件にあったワーカーが自動的にマッチングされる。
- 業務終了後のワーカーとクライアントの相互評価及びペナルティ制度を設定し、履歴書なし、面接なしでもワーカーの働きぶりを担保する制度としている。
- 明確な価値提供と、1,860万件に及ぶクライアントからのワーカーレビューなど相互評価制度によるネットワーク効果により、リーディングプラットーフォームとして強力な参入障壁を築いている。
- スキマバイトにおいて全産業で潜在的売上高3.9兆円に及ぶ市場機会を有する。
中期経営計画
2024年10月期の数値予想は、売上高27,556百万円(2023年10月期実績16,144百万円)、営業利益4,091百万円(同1,957百万円)、とした。
リスク
- 競合の参入:主に同種のビジネスを国内外で展開する企業と競合するほか、人材派遣業を展開している企業やクラウドソーシング事業を展開している企業とも競合しており、また、IT企業、プラットフォーマー、求人情報サービス企業による新規参入が見られる。潜在的な競合他社の中には、知名度や社歴の長さ、安定した財務基盤・顧客基盤などの点で競争優位性を有する企業もあり、これらの企業が今後事業を拡大などする場合や新規参入を含む競合他社が手数料の無料化を含む価格攻勢を強める場合には競争が激化し、手数料率の低下や広告宣伝費の増加、あるいは流通総額の減少などにより、先行者として獲得した現在の収益性を維持できない可能性がある。
- サービスの健全性維持:同社が運営するプラットフォームでは、クライアントが投稿した求人に対してワーカーが応募し、勤務終了後にクライアントとワーカーが相互レビューし、レビューコメントにて自由に情報を発信できる機能を提供しているが、求人情報やレビューコメントにおいて、事実でない情報、誹謗中傷にあたるような情報などが記載されるリスクがある。不適切又は違法な内容を含む求人情報や書き込みを同社が発見できなかった、あるいは発見が遅れたことにより、サービスを不正に利用される可能性や、同社が責任を問われる可能性があるほか、インターネット上の悪意のある口コミ投稿などにより、サービス運営者として同社の信用が低下又はイメージが悪化した場合には、同社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性がある。
- 法的規制:同社のタイミー事業により提供するサービスを規制する主な法律として職業安定法、労働基準法、職業安定法施行令、及び職業安定法施行規則などがある。規制当局の動向及び既存の法規制の改正動向などについて、同社がこれに適時かつ適切に対応できない場合や、当社が事業を展開する業過に関する規制などの新たな制定又は改定が行われた場合には、同社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性がある。
- 事業拡大によるBSへの影響:同社は、ワーカーに支払われる賃金報酬などについて、勤務終了後に立替払いを行うとともに、当該立替に伴うクライアント向け債権の一部を、他の債権回収業者に売却している。この結果、同社は足元の急激な事業拡大に伴って立替を行うための短期的な借入金が2022年10月期末1,500百万円から2023年10月期末7,050百万円と大きく増加する一方で、立替金も2022年10月期末3,062百万円から2023年10月期末6,496百万円と大きく増加し、バランスシートが急拡大している。金融情勢の変動によって金利上昇や借入金の調達が困難になる場合や、債権回収業者に対する手数料が引き上げられる場合、あるいは何らかの事態が発生してクライアント宛立替金や債権回収業者宛売却代金の回収に支障が生じる場合には、同社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性がある。
所感
同社は、「一人ひとりの時間を豊かに」をビジョンとして掲げ、非正規労働を選択することを好む労働者の増加、その価値観の変化をとらえ、スキマバイトのリーディングプラットフォーマーとしての地位を確かなものとしている。ワーカーデータの活用及び拡充に加えて、他業界他地域への横展開戦略を掲げ、売上拡大を目指している。短中期的に派遣事業や求人サイト事業への進出を目指す中で、同社の今後のアライアンス及びM&A戦略への関心が高まる。同社の今後の取り組みが注目される。
- 挑戦度☆☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
以上