食品機械業界はM&Aが徐々に増加
食品機械業界は、バリューチェーン強化やクロスセリング等を狙ったM&A・資本提携が徐々に増加している。以下、2021年以降に実行された象徴的なアライアンス事例4例を確認する。

①鈴茂器工がシステム開発の㈱日本システムプロジェクトの株式取得(子会社化)(2021年10月)
概要
鈴茂器工㈱(東証STD6405、米飯加工機等の製造販売)は、飲食サービス業向けシステム開発・販売を手掛ける㈱日本システムプロジェクトの株式を取得し子会社化。
狙い
日本システムプロジェクトは、1991年に設立され、主に飲食店向けのPOSシステムやセルフオーダーシステムの開発・販売を手掛け、近年は、飲食店の客席フロアで使用する配膳ロボットの販売を行い、飲食店の省人化、業務効率化、非接触化に取り組んでいる。鈴茂器工は、日本システムプロジェクトを買収することで、外食産業に幅広いネットワークを有する鈴茂器工の顧客基盤を活用、飲食店の省人化、業務効率化、非接触化に貢献する日本システムプロジェクトの商品やサービスの拡販を目指す。また、日本システムプロジェクトが持つ通信ネットワークの技術や、最終消費者を起点とする製品・サービスを活用することにより、飲食店の厨房のみならず、客席フロアを含めて、省人化・効率化を実現する新たな製品・サービスの構築を目指す。
②ホシザキが食品充填機の㈱ナオミの株式取得(子会社化)(2022年10月)
概要
ホシザキ㈱(東証PRM6465、業務用厨房機器等)は、食品充填機の製造・販売を手掛ける㈱ナオミの株式を取得し関連会社化。
狙い
ナオミは、大阪府箕面市の本社を含む全国6拠点を通じ、全国の食品製造工場等に充填機を提供。「シャット弁」、「パズル充填機」等の特許製品は強い競争力を持ち、液体・粘体・粉体等多様な食品の充填に最適な製品をそろえ、現場作業者の負担を軽減する小型充填機を主力製品とする「小型充填機のNo.1 企業」。ホシザキは、ナオミを買収することで、ナオミの強い製品力及びコンサル営業力とホシザキの全国を網羅する営業・サービス網を融合、ナオミの管理、開発、製造、販売、サービスの全ての事業機能の強化を支援し、更なる成長を目指す。
③丸の内キャピタルが冷凍・冷蔵ショーケースの中野冷機㈱の株式取得(子会社化)(2025年8月)
概要
㈱丸の内キャピタル(投資ファンド)は、冷凍・冷蔵ショーケース、冷凍機、業務用冷蔵庫および同応用製品の設計・製造・販売・据え付け工事とアフターサービス、ならびに建築・設備工事を手掛ける中野冷機㈱(東証STD6411)の株式を取得し子会社化。
狙い
中野冷機は、創業以来、業界をリードする冷凍・冷蔵技術をもとに流通小売業界向け冷凍・冷蔵ショーケース、冷凍機を開発、省エネ・省力化を実現させる製品に加え、顧客のコンセプト・要望に応えた様々な製品を提供している。丸の内キャピタルは、中野冷機を買収することで、国内における営業体制・営業力の強化、生産性向上による生産能力及び収益性の向上、新規事業の開拓、海外事業の拡大等を目指す。
④マブチモーターが食品機械の㈱マスダックの株式取得(子会社化)(2026年6月)
概要
マブチモーター㈱(東証PRM6592、車載用小型モーター等)は、食品機械の 開発・製造・販売・メンテナンス、食品の研究開発・製造・販売を手掛ける㈱マスダックの株式を取得し子会社化。
狙い
マスダックは、食品機械事業と食品製造事業の2本柱による唯一無二の競争優位性を有する「菓子と機械のプロフェッショナル集団」。1957年の創業以来、全自動どら焼き機やシュークリームの専用ラインなど、高いエンジニアリング力で菓子製造の自動化を牽引し、業界発展に貢献。1970年代より進出した食品製造事業においては、「東京ばな奈「見ぃつけたっ」」を含む多種多様な菓子のOEM生産を受託しており、高いプレゼンスを誇っている。マブチモーターは、マスダックを買収することで、マブチモーターのグローバルな生産・販売・R&D拠点を活用したマスダックの海外展開の強化や、省人化技術をはじめとするマブチモーターの生産技術とマスダックのエンジニアリング力の融合により、マスダックの更なる成長を目指す。
所感
鈴茂器工の事例は、「飲食店全体の省人化ソリューション」の提供を目指したM&Aである。ホシザキの事例は、クロスセリングを狙ったM&A、丸の内キャピタルの事例は、経営基盤強化を狙ったM&Aと言える。更に、マブチモーターの事例は、自身のコア技術を活かした新規事業への参入を狙ったM&Aである。食品機械業界におけるM&Aは、単に製品ラインナップを強化するというのではなく、「顧客への提供価値を広げるために必要な機能を買う」という発想から実行されている。関連業界を含めた食品機械業界の今後のM&A動向が大いに注目される。
以上
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