概要
㈱JTOWER(東証GRT4485)は、2023年5月11日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。
事業内容
同社は、企業ビジョン「日本から、世界最先端のインフラシェアリングを」のもと、従来は携帯キャリア各社単独で行われてきた携帯基地局関連インフラに係る装置、アンテナ、工事、構築物等の設備投資を同社で一本化し、各社へシェアリングする事業を国内外で展開。商業施設やオフィスビル等の大型施設内のアンテナ、配線、中継装置等の携帯インフラを、同社が共用設備を用いて一本化し、携帯キャリアへシェアリングを行う「IBS事業」、屋外における鉄塔・コンクリート柱・ポール・アンテナ等の携帯インフラを同社が共用設備を用いて一本化し、携帯キャリアへシェアリングを行う「タワー事業」、を推進している。
強み
- 実績&事業基盤:携帯キャリア4社へ商用サービスを提供、国内において400物件以上にIBSを導入、全国に保守ネットワークを構築し安定稼働を継続、国内初の通信事業者との大規模カーブアウト案件の締結。
- リレーション:携帯キャリア・不動産事業者とのリレーション、携帯キャリアとの資本・業務提携、総務省や東京都のプロジェクトに参画。
- テクノロジー:独自開発の共用装置によるアクティブ・インフラシェアリング・サービスの提供、5G等インフラシェアシェアリングの高度化において先行(Sub6:共用装置の開発完了し5GIBS導入、ミリ波:共用無線機を開発中)。
中期経営計画
2027年3月期の数値目標は、売上高300億円(2023年3月期実績52億円)、EBITDA180億円(同16億円)、EBITDAマージン60%(同32.3%)、4G累計導入済物件数1,000物件(同366物件)、5G累計導入済物件数450件(同63物件)、タワー本数10,000本(同838本)、とした。
リスク
- 同社グループを超える営業力、価格競争力、品質、ブランド力等を有した競合他社が参入した場合、優位性が損なわれる可能性。
- 同社グループが展開する事業において、事故等が発生、または、大規模自然災害等により、サービスの提供が停止した場合、ブランドイメージが毀損され、事業展開や財政状態等に影響を及ぼす可能性。
- 同社グループが現在展開する事業が適合しない新たな技術革新や市場動向が生じ、かつ、状況に適合した技術やサービスを展開することが出来ない場合、市場からの需要を喪失する可能性。
- シンジケートローン契約における財務制限条項に抵触した場合、借入金の期限前返済義務を負うことがあり、財務状態に影響を及ぼす可能性。
- 大口調達先の事業活動の重大な変化や倒産等により、同社グループのサービスの提供に影響を及ぼす可能性。
- 海外事業を展開している国の政治・経済・社会情勢の影響により、事業遂行の不能等のカントリーリスクが顕在化する可能性。
所感
同社タワー事業は、2022年3月期に、NTT西日本、NTT東日本、NTTドコモからの通信鉄塔6,209本のカーブアウトに関する基本契約を締結、2023年3月期にNTTドコモの通信鉄塔を中心に合計835本(累計)の移管が完了し、収益貢献が始まった。また、同通信鉄塔のカーブアウト等のための資金調達を行った結果、2023年3月期は長短借入金が前期比200億円超増加した。今後は、IBS事業の着実な成長に加え、鉄塔カーブアウトの取り組みを強力に推進し、ルーラルタワーシェアリングを拡大させつつ、テナンシーレシオをいかにして向上させるかが鍵となる。
以上
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