概要
2025年7~9月期のM&A・アライアンス「創造度」ランキングTOP5を発表する。(選定は三澤公認会計士事務所選定委員。対象は上場企業が当該期間にプレスリリースしたM&A・アライアンス案件。)
第5位
ソニーグループがエンターテインメントの㈱バンダイナムコホールディングスと資本業務提携
ソニーグループ㈱(東証PRM6758)は、エンターテインメント、IPプロデュース、アミューズメント等を手掛ける㈱バンダイナムコホールディングス(2025年3月期純資産793,216百万円、総資産1,102636百万円、売上高1,241,513百万円、営業利益180,229百万円)と資本業務提携。バンダイナムコホールディングスが展開するIPの作品や商品・サービスを、アニメをはじめとする映像制作や配信、マーチャンダイジングなどのソニーグループのチャネルで展開するほか、アニメ・マンガなどのIPの共同開発および共同プロモーションや、体験型エンターテインメントにおける企画・技術協力などを進める。
第4位
クラダシが郵便の日本郵便㈱との資本業務提携
㈱クラダシ(東証GRT5884)は、郵便業務、銀行窓口業務、保険窓口業務、印紙の売りさばき、地方公共団体からの受託業務、前記以外の銀行業、生命保険業及び損害保険業の代理業務、国内・国際物流業、ロジスティクス事業、不動産業、物販業等を手掛ける日本郵便㈱(2025年3月期純資産740,923百万円、総資産4,865,721百万円、営業収益3,442,366百万円、経常利益2,516百万円)と資本業務提携。日本郵便が有する販売チャネル(EC・カタログ・郵便局店舗等)におけるフードロス商品の販路拡大、日本郵便との共同ブランドによる冷凍弁当事業の商品企画・製造・サービス開発等を進める。
第3位
エフ・コードがインフルエンサープラットフォームの㈱Real usの株式取得(子会社化)
㈱エフ・コード(東証GRT9211)は、インフルエンサーのビジネス支援、デザイン・動画編集・オンライン秘書などの実践的スキル習得を支援するキャリアスクール運営、SNSプラットフォームを活用した独自のマーケティングを手掛ける㈱Real us(2025年4月期純資産54百万円、総資産95百万円、売上高274百万円、営業利益51百万円)の株式を取得し子会社化。Real usが有するインフルエンサー支援および実践型スキル教育に関するノウハウ・運営力と、エフ・コード内のSNS支援事業・オンラインスクール事業とのシナジーを活かすことで、マーケティング、講座開発、カスタマーサポート等の分野における連携強化と、エフ・コードにおけるスクール事業の更なる成長加速を図る。
第2位
オリジナル設計が建設コンサルティングの日本技術サービス㈱の株式取得(子会社化)
オリジナル設計㈱(東証STD4642)は、西日本を中心に建設コンサルティング業(上下水道事業の設計、工事監理等)を展開する日本技術サービス㈱(2024年9月期売上高600百万円)の株式を取得し子会社化。オリジナル設計は、日本技術サービスを買収することで、上水道事業を強化し、ウォーターPPP等の官民連携を推進、持続的な水コンサルティング事業の提供を目指す。下水道設計・監理の強みを活かし、上水道事業の強化を図ることで、上下水道一体の事業ニーズの変革に対応する。
第1位
三和油化工業が貴金属分離回収のエー・アンド・エイチ・ジャパン㈱の株式取得(子会社化)
三和油化工業㈱(東証STD4125)は、貴金属・レアメタルの分離・回収精製、貴金属・レアメタルの販売、各種化成品販売、貴金属回収装置の企画・製造を手掛けるエー・アンド・エイチ・ジャパン㈱(2024年9月期純資産258百万円、総資産1,815百万円、売上高3,970百万円、営業利益199百万円)の株式を取得し子会社化。収集・製造・販売に強みをもつ三和油化工業と、貴金属・レアメタルのリサイクル実績が豊富であり研究開発力を強みとするエー・アンド・エイチ・ジャパンが融合することで、サーキュラービジネスをさらに加速させ、リサイクルメーカーとしての企業価値向上を目指す。
2025年7~9月期のM&A・アライアンス「創造度」ランキングTOP5
- 第1位:三和油化工業が貴金属分離回収のエー・アンド・エイチ・ジャパン㈱の株式取得(子会社化)
- 第2位:オリジナル設計が建設コンサルティングの日本技術サービス㈱の株式取得(子会社化)
- 第3位:エフ・コードがインフルエンサープラットフォームの㈱Real usの株式取得(子会社化)
- 第4位:クラダシが郵便の日本郵便㈱との資本業務提携
- 第5位:ソニーグループがエンターテインメントの㈱バンダイナムコホールディングスと資本業務提携
総評
2025年7~9月期のM&A・アライアンス「創造度」ランキングは、本業の競争力強化に直結する、緻密かつ戦略的なM&A案件が並んだ。第1位:三和油化工業。貴金属・レアメタル等の国内循環利用ニーズに応える、唯一無二にして究極のM&A。第2位:オリジナル設計。水インフラに関する調査・計画・設計・監理等コンサルティングサービスの一点突破。第3位:エフ・コード。マーケティングソリューション強化と人材育成の同時追求を目指す深謀遠慮。第4位:クラダシ。「フードロス削減」という社会課題に対し、最強クラスのマーケッティング環境を獲得。第5位:ソニーグループ。IPファンのコミュニティ拡大、エンゲージメント強化、感動体験創造、が本格始動。各社の取り組みは、自社のパーパスを体現するものであり、また、M&Aが「時間を買う取り組み」であることを再認識させるものである。無論、各社の取り組みは、他社の追随を許さない圧倒的な競争力として、早晩業績に反映されることとなる。各社の今後の取り組みと更なるM&A・アライアンス施策から目が離せない。
以上