機械商社業界における目下の経営課題
機械商社は、「機械を納入する会社」から「製造業の課題(人手不足・脱炭素・生産性向上)を解決する統合インテグレーター」へと大きく変貌しつつある。機械商社各社は、自社でエンジニアを抱えたり、システム会社やエンジニアリング企業を買収したりするなど、「商社」から「エンジニアリング&IT集団」へと機能を拡張させつつある。以下、機械商社業界における目下の経営課題と戦略的挑戦を確認する。

①単なる「仲介(モノ売り)」からの脱却と高付加価値化
機械商社業界最大の経営課題は、「高付加価値化」に尽きる。機械商社業界では、ネット通販の台頭やメーカーによる直販化が進み、単に機械を仕入れて納入するだけの「口銭(手数料)ビジネス」は利益率が低下傾向にある。そのため、 機器単体に、システムインテグレーション(ロボットラインの構築)、アフターサービス、金融・リース機能、エンジニアリング機能を組み合わせた「ソリューションプロバイダー」への変革が急務となっている。
②地政学リスクとグローバルサプライチェーンの再構築
米中対立の長期化、ウクライナ・中東情勢、為替の乱高下、更には各国の通商・関税政策の変化により、工作機械や産業用ロボットの需要・物流が不透明化している。そのため、特定国(中国など)への依存度を下げ、北米、インド、東南アジア(ASEAN)などへ進出先を分散・シフトさせ、併せて、海外現地での提案・保守体制を強化することが求められている。
③「2つのDX」への対応
機械商社は、「自社業務の効率化」と「顧客(製造業)へのDX支援」という2つの側面でDXへの対応が求められている。自社DXとしては、膨大な型番や複雑な見積もり・納期管理をデジタル化し、営業効率を高める。顧客DXとしては、人手不足に悩む工場に対し、IoT機器やAI、ロボットを導入したスマートファクトリー化を提案・構築する力(エンジニアリング提案)が必要とされている。
④GX需要の取り込み
自動車業界のEV化対応や、製造現場における「CO2排出量削減・省エネ」が世界的命題となっている。そのため、工場の脱炭素化に資する設備(省エネ駆動機器、再生可能エネルギー関連設備、排出量可視化ツールなど)をラインナップに加え、環境価値を軸にした営業展開を行うことが求めらている。
⑤専門人材の確保
国内製造業の縮小や人手不足は、一見すると機械需要の減退に見えるが、機械商社にとっては「自動化・ロボット化設備を売る最大のチャンス」となっている。但し、高い専門知識を持つ営業担当者やエンジニアの高齢化が進んでおり、肝心の提案や施工が追い付かない現実もある。そのため、ITやエンジニアリングに精通した高度人材の採用・育成が急務となっている。
以上
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