会社売却買い手Q&A|自分の会社を買う会社はある?オーナー経営者のよくある質問

会社にはそれぞれの価値を見出す買い手がいる

会社売却(M&A)を考え始めたオーナー経営者から、「うちのような会社を本当に買ってくれる会社はあるのでしょうか?」という質問を頂くことがよくあります。

結論を申し上げると、ほとんどの会社(売り手)には何かしらの買い手候補が存在します。買い手は、自社の成長戦略や経営課題を踏まえ、「自社にとって価値のある会社か」という視点で、会社の取得を検討しています。そのため、売り手が「自社の強みを正しく整理し、アピールする」ことさえできれば、それを欲する買い手とのマッチングはさほど難しいことではありません。

以下、会社売却における「買い手」について、オーナー経営者からよく頂く質問をQ&A形式で分かりやすく解説します。

Q1 自分の会社を買ってくれる会社は本当にいるのか?

ほとんど全ての会社(売り手)にとって、何かしらの買い手候補は必ずと言って良いほど存在します。これまでの20年超の実務経験の中においても、売り手に対して買い手候補を一社も紹介できなかったという事例は、ほとんど見当たりません。無論、「買い手候補がいる」ということと「高い価格で売却できる」ということは必ずしも同義ではなく、会社が置かれた状況によっては希望売却価格を大幅に引き下げなければならないケースもあります。しかし、仮に、買い手を見つけることが極めて困難な状況であったとしても、売却価格を調整する、最終的に買い手との間で締結する売買契約の内容を調整する、等の工夫をすることで、多くの場合、最終的に買い手は見つかります。

買い手は、業界内の同業他社だけとは限りません。バリューチェーンの拡大、新規事業への進出等を狙う異業種の会社も候補となります。昨今は、新しいビジネス潮流の先駆けとなるような異業種間M&Aや合従連衡も盛んに行われており、「オーナー経営者の想像の範囲を超えたところに」アライアンスの可能性が潜んでいるケースが少なくありません。また、一般事業会社のみが買い手候補になるわけでもありません。ファンド等の金融投資家、海外投資家、場合によっては個人投資家も買い手になり得ます。買い手候補の選択肢は、「想像以上に広い」と考えて良いでしょう。

買い手候補は、必ずしも一社とは限りません。むしろ、様々な切り口や相乗効果等を念頭に、複数社の買い手候補が存在すると考えるほうが自然です。実務上も、たとえば、「営業力の強化を目指すならこの会社」、「技術力を更に高めるならこの会社」、「エリアの補完を図るならこの会社」といった具合に、オーナー経営者のニーズを念頭に置きつつ、複数のシナリオを準備し、最低でも3社から5社程度は紹介させて頂いております。無論、売り手にとっては、複数の買い手を同時に比較検討することで、自社に最もフィットする会社を選択することが可能になります。((参考)M&Aディールプロセス(セルサイド視点))

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Q2 小さな会社でも赤字の会社でも売却できるのか?

「小さな会社でも売れますか」、「赤字の会社でも売れますか」という質問をよく頂きますが、答えは勿論「可能」です。

最初に極めてシンプルな説明をするとすれば、小さな会社(たとえば売上高1億円未満)は、同じく「小さな会社」か「中規模の会社」が買い手となる可能性があります。小さな会社を、たとえば「売上高10兆円の会社が買うか?」と問われれば、それはその会社によほど魅力的な「何か」が無い限り、買い手にとっては取得することによる経営インパクトが小さすぎるため、非現実的と言わざるを得ません。しかし、小さな会社を取得したいと考えている小さな会社や中規模の会社であれば、日本中に山ほど存在します。彼らは、自身が更に成長するために「小さくM&Aの取り組みを始めていこう」と考えており、投資意欲に燃えています。彼らにとって、小さな会社の売り手は、予算的にも、経営インパクト的にも、社内リソース(経営管理能力)的にも、非常に歓迎すべき選択肢です。

同様に、赤字の会社は、「黒字化させる自信がある」会社が買い手となる可能性があります。黒字化させる自信がある会社にとっては、赤字の会社であるほうが「安く取得できる」可能性があり、却って好都合です。特に、買い手が同業の場合は、「規模の経済性」が働く公算が高く、営業面、人材採用・育成面、設備投資面、調達面、管理面等、様々な分野での相乗効果を「高い確率で」見積もることができます。即ち、売り手の赤字額を上回る収益改善策が買い手の社内にあるのであれば、「会社に価値をつける」ことができ、期待投資利回りの範囲内で投資に動く可能性が十分にあるという訳です。また、実際に赤字の会社を取得する買い手は、経営規模や収支に必ずしもこだわりません。それよりも、売り手が有する「人材」、「技術力」、「独自のノウハウ」、「顧客基盤」、「商標」、「特許」、「許認可」といった無形資産に着目しています。これらの無形資産と、買い手が有するケイパビリティーを融合することで、「将来の業績向上の絵が描ける」のであれば、たとえ小さな会社だろうが赤字の会社だろうが、高く評価する可能性すらあり得ます。

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Q3 買い手はどうやって探すのか?

自明のことですが、売り手にとっての適切な買い手を探すのは「我々M&Aアドバイザー」の役目であり、買い手探索業務こそがM&Aアドバイザーがオーナー経営者に提供できる最大付加価値の一つになります。((参考)M&Aディールプロセス(セルサイド視点))

買い手の探索方法は至ってシンプルです。一言で説明するとするならば、「売り手(会社)の価値の源泉を理解し、その価値の源泉を欲している者(買い手)に接触し、会社の取得を提案する」というものです。ここには、「M&Aアドバイザーの3つの能力」が潜んでいます。一つ目は、「売り手の価値の源泉を見極める」能力。オーナー経営者との意見交換、オーナー経営者から提供される各種情報の分析、その業界が置かれた過去・現在・未来の状況の把握、競合他社の分析、関連する業界の分析等を通じて、売り手の価値の源泉を正確に理解します。二つ目は、「その価値の源泉を欲している者を見極める」能力。遍く会社の経営層と意見交換し、遍く会社の経営戦略や経営課題を常時ウォッチしていればこそ、その価値の源泉を欲している者は正確に、そして、ピンポイントに見極められます。三つ目は、「実際に買い手候補に接触し、会社の取得を提案する」能力。これは端的に言って「営業力」であり、コミュニケーション力の高さや、ナレッジの有無、ネットワークの有無、営業チャネルの有無やその戦略の是非が問われます。

売り手がM&Aアドバイザーを選定する際は、当然に、「上記の能力の全てに長けた者」を選定すべきです。たとえどんなにロジカルなアドバイスができても営業力がなければ「絵に描いた餅」ですし、たとえ営業力があってもロジカルな思考がなければ「時間も手間もかかった挙句、成果が出ない」だけです。ロジックと営業力の両方を備えてたM&Aアドバイザーを選定することこそが、極めて重要であり、会社売却という成功を勝ち取るための第一歩と言っても過言ではありません。(尚、オーナー経営者の皆様であれば、十分にご理解のことと思いますが、有能なM&Aアドバイザーは「幅広い人生経験を有し」、「人間力が磨かれている」者が該当します。資格や学歴や職歴など、ただのハッタリであり、M&Aアドバイザーとしての有能性とは何の関係も無い点は強調させて頂きます。)

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Q4 良い買い手を見つけるにはどうすればよいのか?

売り手にとって良い買い手をみつける第一歩は、「M&Aアドバイザーと十分な意見交換をする」ことです。そして、先入観にとらわれることなく、「あらゆる選択肢を真摯に検討する姿勢」が求められます。

M&Aアドバイザーとの意見交換に際しては、オーナー経営者が認識している自社の強みや課題、将来展望等を先ずは率直にお話になられるのが良いでしょう。その上で、M&Aアドバイザーの意見も参考にします。オーナー経営者は、自社のビジネスや業界の動向について誰よりも精通しています。一方で、M&Aアドバイザーは、同業他社の経営の強みや課題、将来展望を知り得る立場にあり、また、川上の業界、川下の業界、代替品の業界、そして、買い手候補の経営の強みや課題、将来展望についての知見を有しています。オーナー経営者の「現場感」とM&Aアドバイザーの「ナレッジ」を融合することが、良い買い手を見つける上で最も近道となります。

次に、M&Aアドバイザーから提供される買い手候補の提案に際しては、先入観にとらわれることなく、一旦は「前に進んでみる」ことをお勧めします。ビジネスや業界事情に詳しいオーナー経営者からすると、「あの会社はあそこがダメ」、「この会社はここがダメ」と注文を付けたくなるのですが、外から(営業やライバル企業としての関係性で)見えているものと、実際の中身は異なることが多々あります。コミュニケーションを取るレイヤーも経営者クラスになりますので、違った切り口から買い手候補と接触することで、意外な発見もあります。売り手としては、多くの選択肢を手元に残しておくことこそが、最終的に良い買い手をみつけるための最善策となります。

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Q5 買い手がデューデリジェンスで確認する項目は何か?

買い手が重視するのは、「事業の持続可能性」、そして、「将来の成長性」です。デューデリジェンス(買収監査)では、事業の持続可能性と将来の成長性を測る観点から、過去、現在、そして将来に至る各種状況をチェックします。((参考)M&Aディールプロセス(セルサイド視点))

最初に確認するものは、当然、「ビジネスモデル」です。平たく言えば、「商流」を確認します。製品・サービスの内容。誰から仕入れて、誰に販売しているのか。従業員の役割や工場はどうなっているのか。強みや課題は何なのか。

ビジネスモデルをドリルダウンするためには、より詳細な情報に踏み込む必要があります。製品・サービスに関する製造・販売の状況、数量・単価・利益率、仕入・在庫の状況、運転資本、顧客名簿、従業員名簿・スキルセット、固定資産の状況、無形資産、工場レイアウト、特許・各種ノウハウ、設備投資の実績と計画、許認可、各種契約関係、借入金、簿外債務の有無、将来事業計画等々。これらは、売り手において事前に状況を把握し、整理しておくことが望ましいものばかりです。

そして、最も重要であり、買い手が是非とも確認したいことが「将来の会社経営に関するオーナー経営者の考え」です。「会社は、何を目指し、どこに向かっていくのか」、「買い手がどのようなサポートをすれば、売り手の事業が更に伸びるのか」、「売り手は、買い手の事業に対してどのような貢献をしてくれるのか」、「一緒に事業を行うことで、どのような化学反応が起き得るのか」等々。買い手にとって、オーナー企業の株式を取得するということは、オーナー経営者の経営哲学やオーナー経営者がこれまでに築き上げてきたカルチャーを取得し、オーナー経営者の引退の有無に関わらず、オーナー経営者と一緒になって更なる高みを目指すという取り組みに他なりません。デューデリジェンスでは、「マネジメントインタビュー(経営者インタビュー)」のセッションが設けられるケースも多々あります。両者が互いに相手に敬意をもって、会社の将来について、率直に、誠実に対話をするということが、何よりも求められます。((参考)M&Aディールプロセス(セルサイド視点))

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以上

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