会社売却タイミング・準備Q&A|今売るべき?何を準備すればいい?オーナー経営者のよくある質問

売る時期より準備を始める時期が大切

会社売却(M&A)を考え始めたオーナー経営者から、「会社を売却するタイミングは今が良いでしょうか?、それとも、もう少し待った方が良いでしょうか?」という質問を頂くことがあります。

結論を申し上げると、会社売却のタイミングにロジカルな解は無く、全ては「オーナー経営者ご自身の胸の内」にあります。こればかりは、他の第三者が決めることはできません。但し、実務上の小手先の議論はいくつかあります。また、オーナー経営者のご性格に応じて、会社売却の取り組みを早めにスタートさせたほうが良いケースもあります。

以下、会社売却における「タイミング・準備」について、オーナー経営者からよく頂く質問をQ&A形式で分かりやすく解説します。

Q1 会社を売却するタイミングはどう判断すればいい?

「会社を売却するタイミングはいつが良いですか?」と問われれば、答えはズバリ、「会社経営をやり切ったという実感が持てたタイミング」に尽きると考えています。

実は、オーナー経営者が会社売却の意思決定をするタイミングは、非常に多岐に渡り、千差万別です。たとえば、自身が考える引退の年齢を考えて売却するケース、他事業への注力や転身を考えて売却するケース、事業の更なる成長を目指して売却するケース、事業の成長に限界を感じて売却するケース、ご病気になられたケース、精神的・肉体的に疲れたケース、今が売り時(企業価値が最大化されている)と考えて売却するケース、アーリーリタイア(いわゆる「FIRE」)を考えて売却するケース、他にやりたいこと(趣味、伴侶との時間等)があって売却するケース等々、様々な売却の形があります。時には、「弱みは見せられない」とばかりに、最後まで本音を打ち明けて頂けないオーナー経営者もいらっしゃいますが、いずれにしても、会社売却を決めたオーナー経営者全員に共通していることは、「やり切った」という実感が根底にあることではないでしょうか。

従って、少々突き放した物言いになりますが、会社売却のタイミングについては、誰かからのアドバイスを得るというのではなく、「オーナー経営者ご自身が決めるべきこと」という結論になります。無論、オーナー経営者ご自身が「売却する」という結論を出した後に、実際に売却するまでのタイミングを計る(狭義の売却タイミング)のであれば、我々M&Aアドバイザーからも助言させて頂きます。但し、最初の売却方針は、他人が推し量れるものではありませんし、ロジカルな決め方もありません。最初の売却方針は、オーナー経営者ご自身が、ご自身のお気持ちに沿って判断することがベストであり、原則です。

では、狭義の売却タイミングはどう判断したら良いかというと、実は、これもまた千差万別です。単純に売却価格の最大化を念頭に置くのであれば、「事業が最も好調なタイミング」を選ぶ、「好況期」を選ぶのが良いでしょう。経営のバトンタッチのしやすさを念頭に置くのであれば、「大型プロジェクトや肝入りの施策がひと段落したタイミング」を選ぶ、「設備投資が一服したタイミング」を選ぶのが良いでしょう。業界や経営に大きな影響を与える各種法改正等が控えているのであれば、そのタイミングの前後も一つの選択肢でしょう。((参考)会社売却価格Q&A|自分の会社はいくらで売れる?オーナー経営者のよくある質問

但し、一つだけ必ず肝に銘じておかなければならないことがあります。それは、会社の売却は「買い手が存在して初めて成立する」ということ。即ち、買い手との縁は、一期一会であり、オーナー経営者のさじ加減で、先送りしたり、後戻りしたりすることはできません。従って、オーナー経営者は、自身のライフプランを最優先に考えつつも、突然に訪れる「縁」に従う柔軟性(心構え)を、常に持っておく必要があります。((参考)会社売却買い手Q&A|自分の会社を買う会社はある?オーナー経営者のよくある質問

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Q2 会社の売却を待った方が良いタイミングは?

会社の売却を待った方が良いタイミングは、「経営が一時的に異常な(マイナスの)状態にある時」でしょう。一時的に、失注したり、キーマンが離職したり、重要な契約が解約になっていたり、工場がリプレイスのタイミングに入っていたり、ビジネスモデルや商流を大幅に変更しているようなタイミングにおいては、その回復を待つのも一手です。但し、買い手に対して「回復の確実性」をロジカルに説明できるのであれば、敢えて待つ必要がないことも多々あります。

オーナー経営者から、「売却の意思が完全に固まっていないから、売却を待った方が良いか?」というご相談を頂くことが頻繁にあります。これについては、「売却の意思が固まるまで待った方が良い」ケースと、「とにかく一歩前に踏み出した方が良い」ケースの二パターンに分かれます。

前者のケースは、オーナー経営者がとにかく「通常業務で忙殺されている」場合です。会社を売却するという取り組みは、当然ですがオーナー経営者に一定程度の負荷がかかります。毎日、営業に管理にと大忙しのオーナー経営者が、会社売却の意思が固まっていない中で会社売却の取り組みをスタートさせても、取り組みが間延びするだけで、オーナー経営者の経験値も上がらず、優位な結論に至らないケースがほとんどです。

一方、後者のケースは、オーナー経営者が「一にも二にも慎重」な方、「各種条件面で非常に強いこだわりを持っている」方、「M&Aという取り組みについてほどんと知見を持ち合わせていない」方の場合です。実は、売り手にとっての会社売却という取り組みは、買い手との交渉を通じて、オーナー経営者ご自身の希望が明確になり、その希望が叶ったり叶わなかったりという現実に直面し、その現実を踏まえて当初の希望を修正し買い手に歩み寄る、という作業の繰り返しになります。これは、オーナー経営者の「ご性格」にもよりますが、ほとんど全てのオーナー経営者がトライ&エラーを繰り返しながら、もっと言ってしまえば、一回、二回と失敗を繰り返しながら、非常に泥臭く進むプロセスに他なりません。そして、ほとんどの場合、このご経験こそが、最終的な会社売却という最重要意思決定を行うための礎となります。上から目線で大変恐縮ですが、このご経験こそが、オーナー経営者を「更に一皮むけた存在」、「究極のビジネスマン」へと押し上げます。従って、「売却の意思が完全に固まっていないから、売却を待つ」という判断を早計に下すことは、必ずしも正しいとは限らないということは、頭の片隅に入れておくと良いでしょう。

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Q3 会社の売却にはどのくらい時間がかかる?

売却プロセスには、準備から成約まで通常6ヶ月〜2年程度の期間を要します。但し、これは「オーナー経営者の心構えができている」ことが大前提です。通常、オーナー経営者のお気持ち(条件面含む)は、買い手との交渉等を通じて徐々に固まっていきます。そのため、個人差がございますが、トライ&エラーを繰り返しながら、最長だと5年程度の期間を要するオーナー経営者もいらっしゃいます。従って、「いずれ必ず売却する」ということでしたら、自身のご性格に鑑みつつも、原則的には、早めに活動を開始されることをお勧めしています。((参考)M&Aディールプロセス(セルサイド視点)

売却時間を見積もる上で、オーナー経営者が必ず理解しておかなければならないことがあります。それは、意思決定は、オーナー経営者ご自身のみが行うわけではなく、「オーナー経営者ご自身」と「買い手」の両者が行うということです。つまり、何を申し上げたいのかというと、仮に1年間を掛けて希望の買い手との交渉を進め、売り手としては大満足の状態でゴール直前まで行ったとしても、ゴール直前で買い手から「辞退の申し出」が出ることも間々あるということです。会社売却の取り組みというものは、売り手が全てをコントロールできるわけではないため(無論、買い手が全てをコントロールできるわけでもない)、売り手による譲歩の可否に関係なく、買い手の意思決定には「最後の最後まで不確実性が残る」ことを念頭に置かざるを得ません。従って、会社売却に要する期間という意味においては、不測の事態を想定した上で、より保守的な見立てが求められます。

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Q4 会社を売却する前にやるべきことは何?

会社売却前にやるべきことは、「ビジネスの将来性を高め、健全性を確保する」、「決算書の健全化」、「オーナー依存度を下げる取り組み」がやるべきことの一つです。((参考)会社売却価格Q&A|自分の会社はいくらで売れる?オーナー経営者のよくある質問

加えて、ご家族へ「会社売却の意思」を報告しておくのが良いでしょう。無論、最終的な意思決定ではありませんが、ご家族に一定の方向性を示しておくことで、ご家族の理解を得、無用なトラブルを回避することもできます。

逆に、不用意に「従業員」や「取引先」に会社売却の意思を報告することは、厳に慎まなければなりません。会社売却の取り組みにおいて、情報漏洩は最大のリスクのうちの一つです。秘密保持契約を締結していない従業員や取引先から、「会社売却を検討している事実」が外部に漏洩しないとも限りません。また、良かれと思って報告した結果、従業員が離脱し、取引先との契約が解除されるなどして会社の価値が棄損したのでは、元も子もありません。会社売却にあたっては、従業員や取引先に会社売却の方針を報告する必要は原則ありません(例外有り)。従業員や取引先への報告は事後報告で良い点を、改めて確認しておくと良いでしょう。((参考)会社売却秘密保持Q&A|会社に知られず売却できる?オーナー経営者のよくある質問

実は、会社売却前にやっておくべきことは、それほど多くありません。捕らぬ狸の皮算用という格言があるように、まだどうなるか判らない将来の事象に対して、現時点から準備をし過ぎることは、大きな負担ですし、現在の経営に要らぬ混乱をもたらす危険性もあります。事前準備は、M&Aアドバイザーと相談の上で進めても間に合うことがほとんどですので、目先は、ビジネスモデルの磨き上げに集中するのが最善でしょう。

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以上

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