会社売却価格Q&A|自分の会社はいくらで売れる?オーナー経営者のよくある質問

会社の価値を正しく知ることが良い売却の第一歩

会社の売却(M&A)を考え始めたオーナー経営者が、最も気になることの一つが「自分の会社は一体いくらで売れるのか?」という点ではないでしょうか。

会社の売却価格は、一律に決まるものではありません。確かに、会社が足元で稼ぎだ出している「利益の額」は、最も注目すべき要素の一つではあります。しかし、会社の売却価格は、足元の利益の額で決まるのかというと、必ずしもそうではありません。より重要なのは、「将来性(将来の利益の額)」であり、買い手との相乗効果の有無、売却のタイミング、需給等々を踏まえて決まります。そのため、単純に「利益が出ている、純資産が多いから高く売れる」とも限りませんし、「利益が出ていない、純資産が少ないから低い評価に甘んじる」とも限りません。

以下、会社売却における「価格」について、オーナー経営者からよく頂く質問をQ&A形式で分かりやすく解説します。

Q1 自分の会社はいくらで売却できるのか?

最初に結論を申し上げると、会社の売却価格は、「現在の利益や純資産の額」よりも「将来どれだけ利益を生み出せるか」で決まることが大原則です。

率直に、会社の売却価格は、「(リスク見合いで)会社が将来稼得するであろう利益の額が大きければ大きいほど」、高い売却価格が期待できます。反対に、「会社が将来稼得するであろう利益の額がどんどん小さくなる」ということであれば、低い売却価格に甘んじる可能性があります。即ち、評価の視点は、「過去」でも「現在」でもなく、「未来(将来)」にあるという訳です。

無論、会社が「現在」有している純資産の額、即ち、現預金や在庫や設備や建物といった全ての財産(資産)から借入金等の他人資本(負債)を差し引いた差額が大きければ大きいほど、一旦は高い売却価格が想定されます。但し、純資産は「過去」の経営努力によって蓄積された成果であり、よりドライな表現をすれば「終わったこと」に過ぎません。「これから会社を取得して経営に取り組んでいこう」と考える買い手にとっては、結局のところ、「過去の実績」よりも「将来いくら稼げるのか」が重要です。というより、究極的には「将来いくら稼げるのか」にしか興味がないと言い切って良いでしょう。買い手は、将来の利益を見越して、自身が考える期待利回り(たとえば、利益÷投資額=10%)を念頭に、今この瞬間に、「将来のために」投資をするという意思決定を行うのです。

これが意味するところは、仮に、足元の利益や純資産の額(過去の実績)が大きかったとしても将来稼得するであろう利益の額が小さいのであれば低い評価に甘んじ、反対に、足元の利益や純資産の額が小さかったとしても将来稼得するであろう利益の額が大きいのであれば高い評価になり得るということになります。このあたりは、良くも悪くも売り手が誤解するポイントであり、「こんなに高い価格で売却できるのですか」といったケースもあれば、「この程度の価格しか付かないのですか」といったケースも起こりうるわけですが、この背景には「買い手は未来しか見ていない」という至極当然の現実があるという訳です。

尚、話が少々複雑になりますが、会社の売却価格は「買い手が誰か」によっても大きく影響を受け、変わり得るものです。というより、買い手が変われば評価額が大きく変わるということは、もはや当たり前のことであり、日常茶飯事です。これは、各々の買い手によって「会社経営に関する将来プランが異なり」、「会社経営に関するリスク許容度が異なる」ためです。端的に言って、会社をうまく活用し業績を伸ばすことができる買い手(高い相乗効果が期待できる買い手)であれば高い評価をつける可能性があり、そうでなければ低い評価に甘んじる可能性があります。従って、会社を高く売却したいと考えるのであれば「適切な買い手を選ぶ」という視点も欠かせません。(無論、そのような適切な買い手を売り手に紹介するのが、我々が提供するサービスの最大の付加価値の一つになります。)((参考)会社売却買い手Q&A|自分の会社を買う会社はある?オーナー経営者のよくある質問)

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Q2 会社の売却価格は誰がどうやって決めるのか?

会社の売却価格は、自動的、機械的に決まるものではありません。M&Aアドバイザーを含め、誰かが強引に決めるものでもありません。会社の売却価格は、当事者である「売り手と買い手双方の合意」によって決まります。

無論、売り手はできるだけ高い価格での売却を希望します。しかし、売り手が法外な(高い)価格を主張した場合、買い手の投資意欲は萎え、最悪の場合は買い手が交渉から降りてしまう(ディールブレイク)ことになります。反対に、買い手はできるだけ低い価格での取得を希望します。しかし、買い手が法外な(低い)価格を主張した場合、売り手の売却意欲は萎え、最悪の場合は売り手が交渉から降りてしまうことになります。

結局のところ、(両者の初期的な希望はあれど)極端に高い価格や極端に低い価格で両者が合意する(取引が成立する)ことはなく、最終的に取引を成立させようとするならば、両者にとってWin-Winとなる公正な価格(フェアバリュー)に収斂させるしかありません。即ち、純理論的には、両者の当初の希望はさておき、「フェアバリューでしか取引は成立しない」ということになります。実務上も、最初は両者の希望価格に開きがあるケースがほとんどですが、複数回のイベントや交渉を経て、その金額は一つに収斂していきます。尚、仮に、両者のどちらか、或いは、両者が共にフェアバリューを無視した極端な主張を続けた場合、当然、ディールはブレイクするという最悪の結末を迎えます。

では、肝心のフェアバリューは一体どうやって見積もるのかというと、その会社の将来の収益力(将来事業計画)を評価する方法である「DCF法」によって算定されることが一般的です(尚、DCF法による評価は、一般の方には馴染みが薄く、我々のようなプロフェッショナルのアドバイスが必要になります)。また、PER(純利益の何倍か)やEBITDA倍率(EBITDA(営業利益+償却費)の何倍か)等の株価倍率を使って評価する方法である「株価倍率法」も重視されます。中小企業のM&Aでは、純資産をベースに資産負債の時価評価を加味する「修正純資産法」や、純資産に利益等の数年分(たとえば、3〜5年分等)を上乗せして評価する方法等も参考にされます。会社の売却価格は、これらの各種評価方法によって算定された評価結果をベースにフェアバリューを想定しつつ、最終的には売り手と買い手の協議によって決定されることになります。((参考)株価算定・企業価値評価)

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Q3 希望の売却価格(希望の取得価格)はどちらが先に提示するのか?

会社の売却価格(取得価格)の提示は、「売り手が先」に提示する場合と、「買い手が先」に提示する場合があります。実務上は、売り手が先に提示する場合が多いです。

売り手が先に提示する背景としては、「とにかくこの金額以下では売りたくない」という売り手の初期的ニーズに対応するケース、金額の目線感を先に示すことで「買い手の具体的な検討を促す」ケース等が挙げられます。一方、買い手が先に提示する背景としては、「競争入札(ビット)、或いは、競争入札に近い取り組み」をしているケースや、(M&Aに不慣れな)売り手における「自社売却価格の見積もり困難性」等が挙げられます。売り手にとっては、時として「高過ぎる価格を提示して買い手からそっぽを向かれるのも嫌だし、逆に、低過ぎる価格を提示して損するのも嫌だ」という心理が働くので、そのケースでは買い手に先に価格を提示してもらい、その価格の是非を売り手がじっくり吟味するという形を採ることもあります。((参考)M&Aディールプロセス(セルサイド視点))

希望の売却価格(希望の取得価格)は、「希望」ではあるものの、希望だからどんな金額を提示しても構わないという訳ではありません。仮に、この金額がフェアバリューを大きく逸脱したもの、ロジックの全く無いものであった場合は、相手に対して、「売る気が無い(買う気が無い)」、「足元を見ている」、「不誠実だ」、というネガティブなメッセージを与えかねません。また、希望の売却価格(希望の取得価格)は、一旦相手に提示してしまうと、そのあとの修正は困難であり、修正するには相応の理由が必要になります。従って、希望の売却価格(希望の取得価格)の提示は、その前提条件やロジックの構築も含め、極めて慎重に行う必要があります。

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Q4 会社を1円でも高く売却するにはどうすればよいのか?

会社を高く売却するポイントは、自社の将来性・健全性を高め、適切な買い手を選び、適切なタイミングで売却することが重要です。

会社を高く売却するためのポイントを杓子定規的に述べるとすれば、一にも二にも、「ビジネスの将来性を高め、健全性を確保する」ことに尽きます。人材投資、設備投資、研究開発投資、営業強化、コストダウン等々、将来利益(将来キャッシュフロー)の最大化に向けた各種施策を着実に進める。この点については、オーナー経営者に対して改めての説明は必要ないでしょう。加えて、会社売却時特有のポイントとしては、「決算書の健全化」が必要です。私的経費の整理や節税目的の過度な支出を控え、正常的な営業利益の水準に戻すための準備が求められるケースもあります。「オーナー依存度を下げる取り組み」も大切な要素です。仮に会社売却後にオーナーが引退したとしても現場が回る仕組み(属人性の排除)を作っておくことが、買い手にとってのプラス評価となり、価格の引き上げに繋がる可能性があります。

実は、会社を高くするためのポイントとして、上記に勝るとも劣らないほどに重要なものが二つあります。一つは「誰に売却するか」。当然ですが、会社に高い価格を付けてくれる買い手は「買いたいという意欲の強い買い手」です。そして、買いたいという意欲の強い買い手はどのような買い手かというと、会社を買った後にその「事業を伸ばすことのできる買い手」ということになります。つまり、会社を買った後に事業を伸ばすことができるのだから、「少々価格が高くても買う(少々価格が高くても一定の投資利益率が確保できる)」という意思決定に至り得るわけです(シナジーの分配)。これは結局のところ、「両者の事業にどの程度相乗効果が期待できるか」という一点にかかっています。売り手にとっては、サービス・製品強化、バリューチェーン強化、情報共有、営業協力、バーゲニングパワー強化、間接費の合理化等々、高い相乗効果が期待できる買い手を選ぶという視点を持つことは、結果として会社を高く売却することに繋がります。無論、従業員や取引先にとってもハッピーな意思決定となるケースが多いでしょう。((参考)会社売却買い手Q&A|自分の会社を買う会社はある?オーナー経営者のよくある質問)

もう一つは「いつ売却するか」。会社を高く売却するという一点に絞るのであれば、「自社の業績が好調で将来の見通しが明るい」タイミングで売却するのが鉄則です。一般に、会社売却を検討する動機としては、オーナーの引退年齢を踏まえるケースや、将来の業績見通しが芳しくないケースなどがありますが、後者のケースで高い売却価格を希望するのはロジカルとは言えません。仮に、将来の業績見通しが芳しくない場合は、「可及的速やかに売却する」という意思決定が、会社を高く売却するポイントとなります。また、外的要因、即ち、「景況感」の見極めも重要です。好況時に会社を売却するのと、不況時に会社を売却するのでは、自社の業績も買い手の投資マインドも大きく異なる可能性があり、売却価格に強い影響を与えます。会社を高く売却するのであれば、「好景気のタイミングで売却する」ということを頭の片隅に留めておいても良いでしょう。((参考)会社売却タイミング・準備Q&A|今売るべき?何を準備すればいい?オーナー経営者のよくある質問)

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以上

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※会社売却価格は会社ごとに異なります。個別に知りたい方はお気軽にご相談ください。

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