概要
セコム㈱(東証PRM9735)と伊藤忠商事㈱(東証PRM8001)は、2024年9月5日、共同公開買付契約を締結し、地理空間情報の収集解析や航空写真撮影、地図整備を手掛ける㈱パスコ(東証STD9232、2024年3月期純資産32,872百万円、総資産74,121百万円、売上高60,704百万円、営業利益5,306百万円)の株式に係る議決権比率をそれぞれ 75%および25%とするための一連の取引の一環として、パスコの普通株式を公開買付けにより取得することを決定したと発表した。
狙い
- 既存事業の強化:伊藤忠商事は、パスコの取扱う地理空間情報は技術発展に伴い情報が高度化され、今後民間や海外へと拡大可能な分野であり、伊藤忠商事の進めるDX事業や宇宙・衛星事業との連携によるシナジーを追求する。
- 新規取組み・ソリューションの開発・販売支援:伊藤忠商事のICT分野における開発体制や販売網、並びにサービス提供や協業の実績を活用して、パスコの保有する地理空間情報を活用した新規ソリューションの開発支援を行うことを目指す。
- 利益相反回避による対象者の利益最大化:本件TOBにより公開買付者らのみが株主となることで、パスコにおけるより機動的で迅速な意思決定が可能となり、セコムによる経営資源の積極的な投入の実施も含めた中長期的な視点での成長戦略の検討および実行を図る。
- 国内公共部門の強化:パスコと伊藤忠商事が連携し、相互の強みを活かすことで、パスコが単独では実現が困難な、高度かつ広範なサービスを顧客へ提供することを目指す。特に、伊藤忠商事が実績を持つ官民連携によるインフラ包括管理事業や再生可能エネルギー関連事業(調査・計画)およびパスコとして実績を持つ森林関連事業等幅広い事業において、シナジー創出を見込む。
- 国内民間部門の拡大:公共部門のみならず、マーケットの拡大余地が見込まれる民間部門における需要を取り込むことにより、公共部門と民間部門の両輪で事業規模の拡大を目指す。伊藤忠商事の事業開発体制や、同社の展開分野における国内民間企業への販売網を活用し、パスコの民間企業向け主力商品である物流、マーケティング、不動産等の各種ソリューションやプロダクトの強化・拡販を目指す。
所感
パスコは、航空写真撮影や地図整備のほか、自治体行政事務の効率化と住民サービスの向上を図るためのソリューション、自治体の財政健全化や地方創生に資する取組みや、人工衛星や航空機の撮影データを活用した災害・環境モニタリング等のサービス、流通業や製造業、金融業等様々な企業経営を支援する商圏分析等のエリアマーケティング分野や、配送計画や移動体の管理等のロジスティクス分野向けにサービス、災害時の初動対応やBCP策定の支援サービス、ASEANや開発途上国、新興国等を中心に、国土基盤図の整備や社会インフラ整備に必要な地図整備、コンサルティングサービスを提供している。本件TOBは、パスコの空間情報サービスの強化および拡大を通したセコムおよび伊藤忠商事の企業価値向上に資するものであり、三社の今後の取り組みに注目が集まる。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
株式会社パスコ株式(証券コード 9232)に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ
以上