概要
㈱日本触媒(東証PRM4114)は、2024年11月12日、合成ゴムラテックス、アクリルエマルジョンを主原料とする建築・土木用材料、産業資材用材料の製造・販売、およびアクリルエマルジョン、ファイン系製品等の製造・販売を手掛ける㈱イーテック(2024年3月期純資産7,686百万円、総資産12,269百万円、売上高13,305百万円、営業利益918百万円)の株式を取得し子会社化すると発表した。
狙い
イーテックは、エマルジョン事業及びファイン事業の二つの事業を営んでいる。エマルジョン事業は、コア技術である「エマルジョン重合技術」やエマルジョンと他材料を複合し高機能化する「コンパウンド技術」を活かし、合成ゴムラテックス、アクリルエマルジョンを主原料とする建築・土木・各種産業用の防水材・接着剤・粘着剤等の製品を製造・販売している。日本触媒は、イーテックを買収することで、コンストラクションケミカルズを中心とした製品ポートフォリオの強化、エマルジョン重合技術や生産能力の拡大、及びコンパウンド技術による製品提案力を強化する。
所感
日本触媒は、2022年からスタートした長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」において、成長分野へのポートフォリオ変革を目標に掲げ、日本触媒がこれまで培ってきた研究・開発力を活かして、顧客が抱える課題を解決する独自機能を提供する「ソリューションズ事業」の拡大を目指している。ソリューションズ事業のうち、「インダストリアル&ハウスホールド事業」が展開するコンストラクションケミカルズ市場は、人口増加と都市化を背景に世界的な成長が見込まれており、日本触媒はこれまで塗料用樹脂やセメント添加剤用ポリマーを市場に投入してきたが、さらなる事業拡大を目指し、顧客課題をワンストップで解決するビジネスモデルを実現すべく、外部技術や事業の獲得による提案力強化を志向してきた。本件M&Aは、日本触媒のインダストリアル&ハウスホールド事業の競争力強化に資する戦略的M&Aであり、日本触媒の更なる成長が期待される。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
以上