SNSマーケティング業界の企業価値の源泉と差別化ポイント

高い「企業価値」を有する企業とは

SNSマーケティング業界は、参入障壁が比較的低い一方で、ビジネスモデルの「構造」によって各社の企業価値に大きな格差が生じる。SNSマーケティング業界において、高い収益性・資本効率を誇り、M&A市場で高いマルチプルやプレミアムがつく企業は、単に「バズらせるのが上手い会社」ではなく、「バズる確率を高めるデータプラットフォーム(SaaS)を持ち、それをベースにしたストック型の収益構造を構築できている企業」がその筆頭と言える。収益の再現性という視点においては、運用マニュアルやデータ分析ツールが標準化されており、誰でも成果を出せる状況が作り出せていればベスト。また、クライアントと間で半年から1年以上の「リテイナー契約」や「システム利用契約」が締結できているかどうかもポイントとなる。以下、SNSマーケティング業界の企業価値の源泉と差別化ポイントを確認する。

①独自SaaS・データプラットフォーム

SNSマーケティング業界内で最も資本効率が高く、高い企業価値評価が期待できるのが、独自SaaS・データプラットフォーム型のビジネスモデル。このビジネスモデルの価値の源泉は、SNSのデータ収集、効果測定、アカウント管理、インフルエンサーのマッチングなどを自動化する独自ツール(SaaS)の提供にある。独自ツール(SaaS)の提供においては、月額サブスクリプション収入(MRR)が中心となるため、高いストック性を有し、売上の予測可能性が極めて高い。また、ユーザーが増えてもサーバー代などの変動費がほとんど増えないため、損益分岐点を超えた後の利益率が劇的に向上する(限界利益率が高い)。更に、属人的な労働力に依存しないため、資本効率(従業員一人当たり利益)が圧倒的に高い。API変更への迅速な対応力、他社が真似できない独自データ(過去のタイアップ実績データやコンバージョンデータなど)の蓄積等が進んでいれば、更なる差別化となる。

②インフルエンサー・プラットフォーム・ネットワーク

特定のカリスマインフルエンサーに依存する芸能事務所ではなく、多数のインフルエンサーをシステムやデータベースで束ねるビジネスモデル。このビジネスモデルの価値の源泉は、数千から数万人規模のマイクロインフルエンサーをデータベース化し、企業の案件と効率的にマッチングする仕組みにある。トップインフルエンサー1人の離脱で業績が傾くリスク(キーマンリスク)を排除できるほか、「登録インフルエンサーが多いから企業が集まる」、「企業案件が多いからインフルエンサーが集まる」という好循環(高いネットワーク外部性)が働き、先行優位性が担保されやすい。単なる仲介ではなく、過去の「どのジャンルの投稿が、どれだけ売上に繋がったか」という購買データ(ROI)との紐付け、データベース化ができていれば、更なる差別化となる。

③コンサルティング・戦略設計

企業のマーケティング戦略の上流(ブランディング構築、データ分析、クリエイティブ方針策定)に入り込むビジネスモデル。このビジネスモデルの価値の源泉は、アルゴリズムの深い理解と、それに基づいた「バズ」や「購買転換」を起こす独自のノウハウにある。このポジションを確保すると、下流の作業代行と異なり、クライアントに対して高いフィーを請求できる可能性が高い。また、クライアントのマーケティング戦略の根幹を握るため、一度信頼を得ると長期契約に繋がりやすい。社長や一部の天才コンサルタントの能力に依存せず、新卒や未経験者でも同等の成果を出せる「ノウハウの組織化・マニュアル化」、「社内教育・運用の仕組み」があれば、更なる差別化となる。

④労働集約型・運用代行(作業受託)

日々の投稿作成、コメント返信、スケジュール管理などをクライアントに代わって「手作業」で行うビジネスモデル。このビジネスモデルの価値の源泉は、クライアントの「手間(リソース不足)」の解消にある。但し、このビジネスモデルは、売上を増やすためには、比例して「運用担当者(人)」を増やす必要があり、資本効率が悪い。また、参入障壁が低く、フリーランスや中小零細企業との相見積もりになりやすく、リプレイスされやすい(価格競争に巻き込まれる、スイッチングコストが低い)。

以上

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