測量業界の企業価値の源泉と差別化ポイント

高い「企業価値」を有する企業とは

測量業界は、国が推進する「i-Construction 2.0(2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、即ち、生産性を1.5倍向上することを目指す取り組み)」やBIM/CIMの原則化等の「踏み絵」を受け、二極化が最も激しく進んでいる業界の一つと言える。従来型の「測って終わり」の中小企業は、最新機材への投資資金が確保できず、技術者の高齢化と合わさって、ジリ貧。一方、早い段階からドローンやレーザー、AI解析などのデジタル投資を進め、社内の生産性を引き上げた企業は、「少ない人員で、以前の数倍の面積を高精度に測り、付加価値の高いデータとして高く売る」という超高収益ループに入る。以下、測量業界の企業価値の源泉と差別化ポイントを確認する。

①空間データの「解析・プラットフォーム化」能力

測量業界で最も資本効率が高く、高い企業価値評価が期待できるのが、単にデータを計測・収集するだけでなく、それを顧客が使える形に処理・加工して提供する、あるいはクラウド等で一元管理するビジネスモデル。具体的には、ドローンやレーザースキャナー、MMS(モービルマッピングシステム)で得た膨大な3次元点群データを、AIや専用ソフトで自動解析し、BIM/CIMモデルや高精度3次元地図(自動運転用など)、防災シミュレーションデータへと昇華させるビジネスモデルが該当する。このビジネスモデルは、単なる外注の作業屋としてではなく、インフラデータのテックパートナーとしてクライアントから認知されるため、価格決定権を握ることが可能。また、プラットフォーム化等を通じたストック型の収益構造を構築することが可能なため、高い利益率と資本効率を達成することができる。

②「有資格者」の保有

測量士、技術士、RCCM(シビルコンサルティングマネージャ)といった国家資格保有者が、バランスの良い年齢層で在籍している企業も評価が高い。特に、40代以下の若手・中堅の有資格者が多く、離職率が低く、eラーニングや最新IT機材を用いた計画的な社内育成プログラムが機能している企業。現在、測量業界は深刻な人材不足に直面しており、M&Aの買い手にとっては、有資格者チームを丸ごと内製化できることが、最大のメリットとなる。

③官公庁からの「直接受注実績」と「高い入札参加資格等級」

国(国土交通省等)や都道府県、政令指定都市等の自治体から、1次請け(元請け)として継続的に受注できるポジションにある企業。過去に「優良業務表彰」の受賞歴があり、入札参加資格の等級(Aランク等)が高い企業、地域密着で地元の災害復興やインフラ老朽化対策の案件に初期段階から深く食い込んでいるような企業が該当する。官公庁からの信頼や入札参加資格等級は、新規参入者が一朝一夕に獲得できない最大の参入障壁。M&Aにおいては、買い手が「その地域の公共事業シェアの獲得」や「上位の入札参加資格等級の獲得」を第一の目的と考えているケースもあり、高い企業価値が期待できる。

④「ワンストップ」または「ニッチ特化」

周辺領域(設計、地質調査、補償コンサルタント、施工管理)まで網羅しているワンストップ型企業、或いは、特定の事業領域において圧倒的に尖っているニッチ特化型企業。ワンストップ型企業は、測量から設計までを一気通貫で行い、発注者の外注管理コストを削減することが可能なため、高単価・高粗利率を確保できる可能性がある。また、ニッチ特化型企業は、例えば、「洋上風力発電のための海底測量」、「ダム・河川の深浅測量」、「特殊な鉄道インフラ測量」等に特化する企業であり、相見積もりによる価格競争に巻き込まれにくいため、高い収益性を維持できる可能性がある。

以上

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