概要
大成建設㈱(東証PRM1801)は、2025年8月8日、総合建設業(海上・陸上土木、建築)、不動産事業等を手掛ける東洋建設㈱(東証PRM1890、2025年3月期純資産80,075百万円、総資産180,459百万円、売上高172,605百万円、営業利益11,651百万円)を完全子会社化することを目的とする一連の取引の一環として、東洋建設の普通株式を公開買付けにより取得することを決定したと発表した。
狙い
- 国内土木事業:大成建設の強みである陸上工事と東洋建設の海洋工事での優れた技術や豊富な実績をもって両社が緊密に連携し、強みを相互に活かすことで、今後拡大が見込まれる水素・アンモニアのサプライチェーン構築等のカーボンニュートラル関連施設工事や洋上風力発電関連工事において、幅広い連携が可能。更に、大成建設の支援により、東洋建設は、優位性のある海上工事等の工事分野への人員シフトを戦略的に推し進めていくことや、案件の大型化に取り組むことで、利益生産性及び一人当たり完成工事高の向上を目指す。
- 国内建築事業:大成建設は、2020年11月より国内建築事業の戦略の柱としてリニューアル本部を新設し、本格的に建築物のリニューアル事業の強化を進めている。大成建設による、建物診断からのリニューアル提案のノウハウやグリーンリニューアル(大成建設の登録商標で、既存建物のZEB化(Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を推進することでスピーディーに目標を達成するだけでなく、人も建物も地球も健康になる取り組み)技術を東洋建設へ共有することで、東洋建設の提案営業の強化に繋がり、東洋建設のReReC(Renewal(再生)、Renovation(性能向上)、Conversion(用途変更)を総称した東洋建設の登録商標で、改修工事全般の取り組み)領域強化に貢献する。
- 海外建設事業:フィリピンの経済発展に伴い、今後大型案件が増えることが期待され、両社の海外営業情報力、特に東洋建設の連結子会社であるCCT CONSTRUCTORS CORPORATIONを軸に50年にわたって築かれたフィリピンの現地顧客とのネットワーク、経験豊富なローカルスタッフによるリソースを活用することにより、両社の受注機会の増加を目指す。
- 洋上風力事業:大成建設はコンクリート製セミサブ型(複数の柱や浮体を組み合わせて構成される半潜水型の浮体式基礎)浮体式基礎を開発し躯体製造工事を受注することを目指している一方、東洋建設はTLP型(海底基礎との緊張係留により浮体を係留する方式)浮体式の係留に関する技術開発・建設及び海底ケーブル敷設船等による工事受注を目指しており、重複がなく、かつ相互補完性が高いため、東洋建設の受注機会の増加を目指す。
- 経営基盤の強化:大成建設は、DX推進に向けた部署を設置し、DX実現に向けた施策の加速、AIを利活用した経営基盤の強化に注力している。大成建設の注力領域の一つである「生産プロセスのDX」では、BIM/CIM(建設事業で取り扱う情報をデジタルデータとして統合管理することにより、調査、測量、設計、施工、維持管理等の建設事業の各段階に携わる受発注者のデータ活用・共有を容易にし、建設事業全体における一連の建設生産・管理システムの効率化を図ること)やAI、IoT、ロボット等を活用することによって、品質確保や原価低減、工期短縮、危険予測、環境負荷低減を図り、生産性向上の実現を目指している。また、DX技術を共有することで、東洋建設の人員不足の解消や効率運営の一助となると考えている。デジタル化の取り組みについても両社での取り組みを推進することで、重複する投資を抑え、スケールメリットの享受を目指す。
所感
大成建設は、「人がいきいきとする環境を創造する」をグループ理念として、土木事業、建築事業、開発事業及びエンジニアリング事業等を展開。中長期的に目指す姿「TAISEI VISION 2030」においては、中長期的な外部環境や構造変化を「IX(Industry Transformation)・SX(Sustainability Transformation)・DX(Digital Transformation)」の3つのXとして特定、建設・開発・エンジニアリング・エネルギー・環境の5つの分野に特に力を入れるとともに、本業である建設事業で確実に利益を上げ、財務基盤及び資本効率のさらなる向上により、持続可能な成長と中長期的な企業価値向上の実現を目指している。本件M&Aは、大成建設が捉えるIXを先取りする戦略的なM&Aであり、大成建設のソリューションの一層の強化と更なる飛躍が期待される。
- 挑戦度☆☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
東洋建設株式会社(証券コード:1890)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
以上