概要
㈱ドリコム(東証GRT3793、2024年3月期純資産5,668百万円、総資産14,148百万円、売上高9,779百万円、営業利益903百万円)と、㈱サイバーエージェント(東証PRM4751、2023年9月期純資産231,911百万円、総資産477,826百万円、売上高720,207百万円、営業利益24,557百万円)の両社が、業務提携したと仮定した場合に想定される具体的な提携効果について検討する。
ドリコムの事業内容
- ゲーム事業:ゲームや教育コンテンツを中心としたスマートフォン向けエンターテインメントコンテンツの 企画、開発及び運用の他、HTML5を中核とする技術を活用したオンラインゲーム及び配信プラットフォーム(「enza」)の開発及び運営。⼈気IPタイトルを中⼼に10タイトルを運営中。
- メディア事業:同社が過去培ったノウハウや有する最先端技術を応用した顧客企業に対する事業支援サービ スの提供、及び同社の中長期の成長を担うゲーム以外のエンターテインメント領域の新規事業創出。将来の主⼒事業を創出すべく先進的技術を活かし新規事業の創出に積極的に投資。
サイバーエージェントの事業内容
- メディア事業:ブログサービス「Ameba」の運営、新しい未来のテレビ「ABEMA」の運営、公営競技のインターネット投票サービス「WINTICKET」の運営等。
- インターネット広告事業:インターネット広告サービスの提供、AI事業、DX事業、スマートフォン向け広告に特化した広告代理店等。
- ゲーム事業:スマートフォン向けゲームの開発、運営、提供。
- 投資育成事業:コーポレートベンチャーキャピタル、ファンド設立及び運営。
- その他。
想定される提携効果
- ゲーム開発の強化:ドリコムは、ソーシャルゲームやスマートフォン向けゲームの開発に強みを持っている。一方、サイバーエージェント(㈱Cygames他)は、数々のヒット作を生み出すトップクラスのゲーム開発会社。両社の開発力とクリエイティブなノウハウを結集することで、高品質かつ斬新なゲームタイトルを共同で開発することができ、ゲームの完成度と市場投入のスピードが向上することで、ユーザーにとって魅力的な新作ゲームを迅速に提供できるようになる。また、両社のリソースを共有することで、開発プロセスの効率化とコスト削減が図れ、プロジェクト管理や技術共有等により、プロジェクトの成功率が高まることが期待できる。
- マーケティングとプロモーションの強化:ドリコムのゲーム開発能力とサイバーエージェントのマーケティング力(広告、メディア)を組み合わせることで、効果的なプロモーションを行い、ゲームの認知度とユーザー数を拡大させることが可能となる。また、両社のIP(知的財産)を活用したクロスオーバー企画やコラボレーションイベントを実施することで、ファン層の拡大とIPの価値向上が期待できる。更に、ドリコムのゲームコンテンツをサイバーエージェントのメディアプラットフォームで展開することで、メディアコンテンツの拡充を図ることができる。
- グローバル市場への展開:両社の協力により、グローバル市場でのプレゼンスを強化し、海外での売上を増加させることが期待できる。
所感
ドリコムとサイバーエージェントが業務提携すれば、ゲーム開発・運営、マーケティング、IP活用、広告収益の最大化など多岐にわたる分野での競争力向上が期待できる。ドリコムは、㈱バンダイナムコホールディングス(東証PRM7832)と資本業務提携しソーシャルゲーム事業等で連携しているが、サイバーエージェントとも連携することで、ユーザーに対する魅力的なコンテンツ・サービス提供力が一層強化される。同社の今後の取り組みが注目される。
以上