概要
エムスリー㈱(東証PRM2143)は、2024年9月19日、介護施設・病院の入所者に衣料等のレンタルや日用品を提供する㈱エラン(東証PRM6099、2023年12月期純資産10,814百万円、総資産18,993百万円、売上高41,425百万円、営業利益3,665百万円)を連結子会社化することを目的とする一連の取引の一環として、エランの普通株式を公開買付けにより取得することを決定したと発表した。
狙い
エランは、病院に入院される方や、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホーム、ケアハウス等の介護施設に入所される方に対して、入院中や入所中に実際に利用する方が衣類・タオル類や日常生活用品を用意する代わりに、衣類・タオル類の貸与と日常生活用品の販売を組み合わせ、CSセットのサービス名で提供している。
- 両社の取引先に対するクロスセル:エムスリーは、インターネットの活用を通じた地域医療連携、医療機関向け人工知能ソリューションの開発・販売、医療業界向けの人材紹介サービス等を手がけており、病院を中心とする顧客基盤を有している。一方で、エランは、病院に加え介護施設やその患者及び入所者を含む顧客に対してCSセットを中心とするヘルスケア関連サービスを提供している。エムスリーとエランが連携することにより、両社の持つ取引先へ相互のサービスを提供することが可能となり、両社の事業の販売力強化を図る。
- エムスリーグループのサービスとの連携を通じた新規事業創出とCSセットの付加価値向上:エムスリーは、国内における33万人超の医師会員基盤を背景に、医師と患者を繋ぐユニークなヘルスケア関連サービスを提供しており、その中には在宅医療に関するサービス等も含まれている。一方、エランは、主要な事業であるCSセットの利用者個人との接点を活用し、利用者の退院後の課題に対応する退院セット、在宅セット等の新規事業開発に取り組んでいる。これらの新規事業開発において、エムスリーの有する在宅医療関連サービス等に係る経営リソース・事業ノウハウを活用することで、新規事業開発の加速及びサービスラインナップの拡充を目指す。また、CSセットの利用施設に対しては、エムスリーが手掛ける前方連携支援(急性期病院から診療所に対するマーケティング支援により、病院の紹介患者増加を実現するサービス)、CaNoW(病や障がいと共にある方の願いを叶える支援を行うサービス)等のサービスや、患者個人に対する早期退院をサポートする支援等を提供することで、医療機関の抱える病床稼働率の低下等の課題解決を実現することが可能となり、CSセットの付加価値が向上することで、エラングループにおいてはCSセットの他社類似製品との差別化が、エムスリーにおいては、CSセットを基軸とした既存ヘルスケアサービスのさらなる拡大を図る。
- エムスリーグループの経営資源を活用したエランの競争力強化:エムスリーには多様なバックグラウンドを有した技術力の高いエンジニアリング人材が100名規模で在籍している。エムスリーが培ってきた技術・知見・経験を活用し、グループ支援の一環としてエランのシステム開発・運用を支援することで、エランにおけるシステム開発関連費用の削減や新規サービスの開発・事業化を促進することが可能となり、エランの事業における競争力強化を図る。エムスリーは、エランのコスト削減・新規事業展開の促進等を支援することを通じてエランの競争力強化を図ることで、エムスリーグループ全体としてさらなる成長を目指す。
- エランの海外展開支援:エムスリーは、グローバル規模での医師プラットフォームを有しており、エムスリーグループのノウハウの提供を通じたエランの海外展開を支援することにより、エラン事業の海外展開の加速及び事業規模の拡大を図る。
所感
エムスリーは、「インターネットを活用し、健康で楽しく長生きする人を1人でも増やし、 不必要な医療コストを1円でも減らすこと」を事業目的に掲げ、製薬会社向けマー ケティング支援サービス、調査サービス、治験支援サービス、医師転職支援サービス、医療機関の運営をサポートする各種 サービスも展開している。本件M&Aは、支援先医療機関に対し、運営支援から売上成長支援まで、様々なソリュー ションをワンストップで提供する体制構築に資する取り組みであり、エムスリーの今後の更なる成長が期待される。
- 挑戦度☆☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
株式会社エラン株式(証券コード:6099)に対する 公開買付けの開始及び資本業務提携契約の締結に関するお知らせ
以上