概要
燦ホールディングス㈱(東証PRM9628)は、2024年7月12日、葬儀事業を手掛ける㈱きずなホールディングス(東証GRT7086、2024年5月期資本合計6,013百万円、総資合計33,788百万円、売上高12,126百万円、営業利益1,269百万円)を非公開化(完全子会社化)することを目的とする一連の取引の一環として、きずなホールディングスの普通株式を公開買付けにより取得することを決定したと発表した。
狙い
- 出店地域の補完作用:同社は、主に関西、首都圏及び山陰圏を中心に2024年3月期末時点で計 91会館出店しており、それぞれの地域において確固たる営業基盤を築いている。一方、きずなホールディングスは、九州地域を中心として北海道、愛知県、千葉県等11道府県に2024年5月末時点で計150会館出店しており、両社の出店地域においてその重複は殆ど存在せず、本取引による地域補完の効果は大きい。また、葬儀業界の特徴として、地域との連携やつながりは非常に重要であり、両社が共に協業を行うことは、単純な出店地域の補完性のみならず、それぞれの地域において両社独自の営業基盤を有していることで、将来に渡る出店戦略においても積極的かつ効果的に推進することが可能であり、日本全国の幅広い顧客へそれぞれの質の高いサービスの提供を実現する。
- 家族葬等の小規模葬儀の成長:きずなホールディングスは、従来の葬儀施行とは異なり、家族のみで葬儀を行う「家族葬」という新しいジャンルの葬儀を生み出しており、葬儀業界内で「家族葬のパイオニア」として高いプレゼンスを有している。現在も「家族葬のファミーユ」を中心として小規模葬儀を日本全国に展開し、安定した成長を遂げている。葬儀業界全体として葬儀の小規模化のニーズは年々高まっている中、同社においても、2023年3月より、新ブランドである「エンディングハウス」を立ち上げ、小規模葬儀へ注力をしている。このような中で、きずなホールディングスの培ってきた小規模葬儀に関する業界有数のノウハウや人材を活用することにより「エンディングハウス」の更なる成長を実現させる。
- 管理コスト削減:同社のエクセル・サポート・サービスや、ライフフォワードのBPO機能を、きずなホールディングスの管理機能へ活用することにより、コスト削減を実現する。
- エンバーミングサービスの共用による収益機会の確保:同社のグループ会社である公益社は、特殊な技術が必要となるエンバーミング(よりよいお別れのために、ご遺体に消毒殺菌・防腐・修復・化粧をし、生前のお姿に近づける技術)サービスを提供するエンバーミング専門スタッフが27名在籍、同エンバーミングサービスのノウハウをきずなホールディングスへも活用することで、両社の顧客へ提供するサービスをさらに向上させる。
所感
同社は、葬祭サービスを提供する公益社、葬仙及びタルイの3社と、葬儀関連事業及びライフエンディングサポート事業を提供するエクセル・サポート・サービス及びライフフォワードから成る、葬祭を中心としたシニアに対する総合サービス事業を展開している。同社を取り巻く環境は、65歳以上の高齢者人口の増加を背景に、葬儀に関する潜在ニーズは2040年まで継続的な増加が見込まれる一方、核家族化の進行やコロナ禍を契機とした葬儀の小規模化・簡素化の傾向が続いている。加えて、各地での新規出店の加速、マッチングサイト運営業者の台頭等により、特に小規模葬儀のサービス提供をめぐる競争が激化している。また、近年では葬儀業界及びライフエンディング業界におけるM&Aが増加しており、現在葬儀業界全体は再編が進むことが想定される。そのような状況において、同社は、「新10年ビジョン」を策定、「シニア世代とそのご家族の人生によりそい、ささえるライフエンディングパートナー」として、幅広い顧客へ満足いただけるサービスの提供のために、葬儀会館の出店エリアを現在の関西・首都圏・山陰圏から全国規模へ広げ、葬儀会館数を2031年度には210会館まで増加させることを目指している。また、ライフエンディングサポート事業において、シニア世代にライフエンディング・ステージを通じて様々な価値を提供することで、多くのシニア世代とそのご家族のクオリティ・オブ・ライフ向上に貢献し、中長期的には、他の葬儀事業者等向けに「ソリューション」モデルの構築と提供を行うことを目指している。本件M&Aは、同社の顧客基盤及びソリューションの拡大を図る戦略的M&Aであり、同社の更なる飛躍が期待される。
- 挑戦度☆☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
株式会社きずなホールディングス(証券コード:7086)の株券等に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
以上