配電盤・制御盤業界の戦略的M&A「機能補完・ポートフォリオ再編」

M&Aで配電制御盤業界の勝者となる

 配電制御盤業界は、閉鎖形配電装置等の単価上昇等を背景に、足元好調に推移している。配電制御盤業界に名を連ねる企業各社は、機能補完やポートフォリオ再編等を企図したM&A・アライアンスを有効活用することで、業界の勝者となりたい。

市場規模が過去最高

 一般社団法人日本配電制御システム工業会統計によると、2024年の配電制御盤の市場規模は、前年比10.2%増の7,355億円と初の7,000億円台に伸長。閉鎖形配電装置(前年比19.4%増)、分電盤(同5.3%増)、監視制御装置(同2.0%増)、その他の開閉制御装置(同15.0%)のいずれも伸長し、閉鎖形配電装置と分電盤は市場規模は過去最高を更新。特に、閉鎖形配電装置は二年連続二桁成長を達成するなど、足元成長が加速している。

閉鎖形配電装置

 閉鎖形配電装置(特別高圧・高圧配電盤、低圧配電盤)は、遮断器、断路器、計器用変成器、母線、接続導体などの他監視制御に必要な器具からなる集合装置で接地された金属箱内に収納されており、かつ単位回路区分ごとに接地金属隔壁により隔離されているものをいい、電力の開閉、制御、測定、保護、監視を行う配電盤をいう。主な用途は、特別高圧配電盤は、変電所、大規模発電所、大規模データセンター、大規模工場等(鉄鋼・化学等)、高圧配電盤は、一般産業(中〜大規模工場)、商業施設、大型ビル、病院、再エネ発電所の集約ポイント等、低圧配電盤は、建物内の主幹配電、機械設備、分電盤への供給、工場ラインの主幹等。今後の市場見通しは、特別高圧・高圧配電盤が強め、低圧配電盤は安定と、総じて高成長が期待されている。主な成長ドライバーは、データセンター、半導体工場、再エネ・大容量蓄電池、老朽設備の更新、BCP強化等。昨今は、単価も上昇傾向にあり、引き続き配電制御盤業界を牽引するとみられる。

分電盤

 分電盤(産業用分電盤、住宅用分電盤)は、幹線から複数の回路に分岐し、その入切を行うもので、通常、主幹用の導体母線、それから分岐する複数の分岐母線及びそれぞれに接続された配線用遮断器、漏電遮断器から構成され、鋼板製または合成樹脂製のキャビネットに収められているものをいう。産業用は多回路・大容量・カスタム仕様、住宅用は小型・標準化された回路構成を採る。主な用途は、産業用分電盤は、工場ライン(モーター・加熱炉・搬送機)、設備ごとの制御電源、分散電源管理等。住宅用分電盤は、家庭内の照明・コンセント・エアコン・給湯器などへの配電と漏電遮断等。今後の市場見通しは、産業用分電盤は、横ばいから緩やかな成長を見込む。FA化や設備更新で取り替え需要・リプレース需要が継続。カスタム設計・盤内監視を付加した製品の価値が高まる見通し。住宅用分電盤は、住宅着工数の影響で数量は地域的に停滞または緩やかな減少。一方で、リフォーム、スマートホーム(エネルギー管理、EV充電対応)での置換需要があり、機能付加型のものは成長余地がある。

監視制御装置

 監視制御装置は、受配電系統の監視、制御及び保護を行う装置で、監視盤、保護継電器、制御盤、補助リレー盤、現場制御盤、現場ラック、中央制御盤、電磁式、アナログ式、デジタル式を含むものをいう。PLC(Programmable Logic Controller)、RTU(Remote Terminal Unit)、産業用PC、HMI(Human Machine Interface)、SCADA/EMS(エネルギー管理システム)等、監視・データ取得・ロジック制御・可視化・遠隔操作を行う装置・ソフト群を指し、クラウド連携やアナリティクスと組合わされることが多い。主な用途は、工場の自動化ライン制御、ビル設備の監視、データセンターの電力監視、再エネ・蓄電池の制御、需要家側のデマンド監視・最適化等。今後の市場見通しは、総じて高成長が期待される。DX、スマートファクトリー、スマートグリッドの進展で、ハード+ソフト+サービス(SaaS)を含むソリューション需要が急拡大する見通し。

その他の開閉制御装置

 その他の開閉制御装置は、油・固体絶縁配電装置、閉鎖母線及び閉鎖形以外の配電盤等をいう。 主な用途は、電動機の起動・停止、回路の保護、制御盤や分電盤の内部構成部材、機械装置の組込み制御等。今後の市場見通しは、成熟市場で低から中成長を見込む。既存需要は安定するが、付加価値の低い汎用品は価格競争が厳しいとみられる。成長領域は小型化・高効率化・IoT対応(状態監視付き接触器等)等。

機能補完・ポートフォリオ再編型M&Aへ

 配電制御盤業界は、高成長が見込まれる特別高圧・高圧配電盤(データセンター、半導体、再エネ向け等)や監視制御装置(ソフト、サービス含む)等の分野においては、顧客からの要求水準向上等に対応する形で、「盤+監視制御+保守サービス」等のパッケージ化を目指した機能補完型のM&Aが進展する可能性が高い。また、設計力・技術力・IT・ソフトウェアスキルを有する人材確保、成長市場(データセンター、半導体、再エネ等)への即時参入、生産能力・生産拠点の確保、内製比率の向上、顧客基盤の獲得、等を目指したM&Aの動きも活発化しよう。一方、停滞が予想される低圧配電盤や住宅用分電盤、単体部品等の分野についても、ポートフォリオ再編型のM&Aが進展する可能性が高い。防衛的なM&Aを含め、規模拡大による原価低減、製品ラインナップ補完等がテーマとなる。配電制御盤業界は、各社のM&A戦略の巧拙がその後の成長ステージを分ける重要な局面にある。配電制御盤業界各社のM&A・アライアンス戦略から目が離せない。

以上

M&A・アライアンス組成の三澤公認会計士事務所

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