概要
大成建設㈱(東証PRM1801)は、2023年11月9日、プレストレストコンクリート工事の請負、プレストレストコンクリート製品およびプレキャスト・コンクリート製品の製造販売、土木建築構造物の維持補修等を手掛ける㈱ピーエス三菱(東証PRM1871、2023年3月期純資産47,872百万円、総資産116,082百万円、売上高109,327百万円、営業利益5,715百万円)を連結子会社化することを目的とする一連の取引の一環として、ピーエス三菱の普通株式を公開買付けにより取得することを決定したと発表した。
狙い
- 国内PC橋梁事業:同社における国内PC橋梁事業について、ピーエス三菱を中心とした体制に移行することにより、同社は、より競争力を有する他工種へ経営資源を集中し、受注効率向上・施工体制拡充・収益性向上を図る。ピーエス三菱は、同社の有するT-CIM/Bridge、Head-barジョイント等の技術を活用し、施工品質・生産性及び安全性の向上を顧客へ訴求することで、更なる受注拡大に努める。
- 建築事業:同社は、ピーエス三菱を連結子会社とすることにより、独占禁止法による顧客情報・技術情報等の情報共有の制限を受けなくなるため、ピーエス三菱に対し、①同社がこれまでピーエス三菱以外に下請発注していたPCaPC及びPCa鉄筋コンクリート製造に係る下請発注について、優先的に見積依頼等を行うこと、②同社が施工余力がなくこれまで取り組めなかったPC・PCa案件やリニューアル案件をはじめとした建築元請案件の営業情報を提供すること及び同社がこれまでピーエス三菱以外へ参画依頼していたJV組成が可能な案件で優先的に構成会社としての参画を依頼することで、ピーエス三菱の選択肢を増やし、ピーエス三菱が優位性や施工体制を勘案して案件を選択し受注が増加するよう支援すること、③最新技術又はノウハウ等の提供、その他必要な協力を行うことにより、ピーエス三菱の建築元請、部材製造取付に係る受注やピーエス三菱の技術力・競争力の向上など、ピーエス三菱に寄与するシナジーを創出する。
- 取引先等:ピーエス三菱が、同社のネットワーク及びサプライチェーンを活用することにより、専門工事業者や資機材調達先の選択肢や既存の調達網との補完関係が充実し、より安価かつ時宜を得た調達が可能となり、ピーエス三菱に寄与するコストシナジーを創出する。また、同社及びピーエス三菱において、スケールメリットが利く主要部材等を共同で調達することにより、一層のスケールメリットを享受することが可能となり、両社に寄与するコストシナジーを創出する。
所感
同社は、国内土木事業について、強固な事業基盤確立のための体制を整備する方針を掲げており、受注競争力向上のための体制整備、成長が見込まれる分野に対する応札組織等の拡充、M&Aの活用等による事業領域の拡大を目指している。本件M&Aは、同社国内土木事業及びPC橋梁分野の競争力強化に資するものであり、同社の更なる成長が期待される。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆
株式会社ピーエス三菱(証券コード:1871)に対する公開買付けの開始及び同社との資本業務提携契約の締結に関するお知らせ
以上
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