概要
㈱トライアルホールディングス(東証GRT141A)は、2025年3月5日、食料品、衣料品、住居用品などの小売チェーンを運営する㈱西友(2023年12月期純資産117,569百万円、総資産320,752百万円、売上高664,752百万円、営業利益31,490百万円)の株式を取得し子会社化すると発表した。
狙い
- トライアルホールディングスの基盤である九州に加えて人口集積地である関東エリア、中部エリア及び関西エリアでの事業基盤確立を迅速且つ効率的に実現する。なお、西友とトライアルホールディングスの店舗は地域的に重複が少なく、商圏のカニバリゼーションによる退店等といったディスシナジーについては認識していない。
- 「みなさまのお墨付き」、「食の幸」をはじめとした西友のオリジナル商品及びプロセスセンターやセントラルキッチン等の製造拠点を獲得することで、トライアルホールディングス全体の「食」の強化と生産・物流の最適化を図る。
- 西友が展開するEC事業とトライアルホールディングスのEC事業の相乗効果を目指す。
- リテールAI事業では、メーカーとのデータ連携による流通業界の「ムダ・ムラ・ムリ」の解消や、トライアルホールディングスが自社開発するタブレット決済機能付きのレジカード「Skip Cart」の導入による買い物体験の向上、リテールメディアの収益化を目指す。
- 西友とトライアルホールディングスの顧客データの一体化、Skip Cartやインストアサイネージ等の各種デバイスの導入台数増加によって、業界横断の「ムダ・ムラ・ムリ」の解消がより促進され、西友とトライアルホールディングスのみならず、メーカーや卸、物流企業を含めたサプライチェーン全体の効率化・収益性の改善を目指す。
所感
トライアルホールディングスは、九州を中心にディスカウントストアを運営する流通小売事業及び IoT/AI 等のデジタル技術を活用し流通小売業界のデジタルトランスフォーメーションに取り組むリテールAI事業を展開。流通小売事業では、Every Day Low Priceによりインフレ時代において高い集客力を実現しているが、更なる成長戦略として既存店成長と新規出店、「食」の強化、収益性向上による持続的な成長を掲げている。具体的には、リテールテックの導入を主とした店舗改装、美味しくて安い惣菜やプライベートブランド商品の開発、ローコストオペレーションの強化に注力している。本件M&Aは、トライアルホールディングスの規模拡大に資する戦略的M&Aであり、トライアルホールディングスの更なる飛躍が期待される。
- 挑戦度☆☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
以上