概要
㈱ダイセキ(東証PRM9793)は、2024年12月13日、精密蒸留の受託及び蒸留装置及びろ過装置の設計・販売・保守サービスの提供を手掛ける大阪油化工業㈱(東証STD4124、2024年3月期純資産1,716百万円、総資産1,929百万円、売上高987百万円、営業利益18百万円)を完全子会社化することを目的とする一連の取引の一環として、大阪油化工業の普通株式を公開買付けにより取得することを決定したと発表した。
狙い
- リサイクル技術の向上:ダイセキは廃液・廃油・汚泥の中間処理に関して全国に7事業所を構え、それぞれの事業所が地域密着型でさまざまな企業の困りごとに即時対応することを重視して事業を展開。ダイセキの産業廃棄物中間処理の基本はリサイクルであり、リサイクル処理により環境負荷の低減を実現しているが、リサイクルが困難な廃液もあり、それらの廃液を大阪油化工業の蒸留に関する技術やノウハウを活用することでリサイクルが可能となる。より幅広い品目の廃液をリサイクル製品の原料とすることが可能になることで、再生燃料の利用者に更なるエネルギー源の提供を目指す。
- 顧客のリサイクルニーズへの対応強化:近年はサーキュラーエコノミー意識の高まりにより、廃溶剤から不純物を取り除き再生させるマテリアルリサイクルに対する要望が強くなっている。大阪油化工業の蒸留ノウハウにより、ダイセキは廃溶剤のマテリアルリサイクルが可能となり、これまで以上に顧客のリサイクルニーズ、特に原料としてリサイクル品を使用するニーズへの対応が可能になる。マテリアルリサイクルの要望がある顧客からも廃液を受入れることで顧客層を拡大し、グループ全体での業績拡大、顧客の利便性向上を図る。
- 半導体産業への対応強化:ダイセキは、半導体産業が多く立地する九州、西日本、中部、北海道に事業所用地を保有し、また東北においても事業用地確保を検討している。ダイセキが各地の事業所にて大阪油化工業と協働することで、ダイセキグループとして半導体産業から要望の強い溶剤のマテリアルリサイクルに対応し、事業拡大を図る。また、ダイセキと大阪油化工業の持つ技術を組み合わせることでより精度の高いマテリアルリサイクル溶剤を製造し、これを半導体産業に提供することにより、半導体産業におけるダイセキの優位性を築くことを目指す。
所感
ダイセキは、限られた資源を活かして使う「環境を通じ社会に貢献する環境創造企業』を存在価値に掲げ、リサイクルを中心とした産業廃棄物中間処理、土壌汚染調査・処理、使用済バッテリーの収集運搬・再生利用、鉛の精錬及び非鉄金属原料の販売、タンク洗浄及びタンクに付帯する工事等を展開。特に、土壌汚染調査・処理、環境分析、ゼロ・エミッション支援等の、企業の環境に対するトータル・プランナーとしての能力を高めることで事業分野の拡大を図り、「環境創造企業グループ」として更なる飛躍を目指している。本件M&Aは、ダイセキの基本戦略である「環境」「リサイクル」をキーワードとするM&Aであり、ダイセキの今後の成長とM&A戦略から目が離せない。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
大阪油化工業株式会社の株式(証券コード:4124)に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ
以上