概要
あいホールディングス㈱(東証PRM3076)は、2025年2月14日、情報通信機器の開発、製造、販売、環境およびエネルギー設備関連機器、関連商品の製造、販売を手掛ける㈱ナカヨ(東証STD6715、2024年3月期純資産15,784百万円、総資産21,287百万円、売上高17,220百万円、営業利益▲660百万円)を完全子会社化することを目的とする一連の取引の一環として、ナカヨの普通株式を公開買付けにより取得することを決定したと発表した。
狙い
- 開発体制の一本化によるビジネスホン開発の効率化及び投入リソースの再配分:固定電話機端末及び中・小規模事業所向けビジネスホンシステムの開発を得意とするナカヨのビジネスホン開発部門と、コードレス端末及び中・大規模事業所向けビジネスホンシステムの開発を得意とするあいホールディングスの子会社岩崎通信機㈱の各ビジネスホン開発部門の各得意領域を踏まえて、両社がそれぞれラインアップする中・小型及び中・大型のビジネスホン製品の一本化及び両ビジネスホン開発部門を一本化する。一本化によって、開発の重複部分を効率化でき、ナカヨ及び岩崎通信機双方のビジネスホン開発のコスト及び投入リソースをスリム化すること並びにナカヨ及び岩崎通信機双方のナカヨスホンに関する開発スピードの向上及びビジネスホン製品市場投入の早期化を実現させる。加えて、ビジネスホン開発を効率化することによって創出したリソースは、ナカヨとあいホールディングスの通信・IoT技術を融合した市場優位性のある付加価値の高い新製品・新サービスの開発にシフトする。
- 生産拠点の統廃合による生産設備稼働率の向上:ナカヨが前橋に保有する2つの工場及び岩崎通信機が福島に保有する3つの工場に関して、ナカヨと岩崎通信機が同様の事業を営んでいるビジネスホンとEMS(電子機器製造受託)の生産機能を統廃合する。一本化することにより、ビジネスホン、電子計測器、新規事業製品、EMS等の各生産機能を工場毎に整理・再配置することができ、ナカヨ及びあいホールディングス双方において効率的かつ効果的な生産体制を構築し、生産設備全体の稼働率を向上させる。
- ビジネスホン営業体制の再構築及び投入リソースの再配分:ナカヨ及びあいホールディングスが持つ全国の営業拠点の統廃合を進め、拠点維持コストの削減の推進とともに、両社の販売網・保守網が同一エリアにおいて重複している場合はそれらを一本化して営業に関わるリソースを最適化する。その結果、現状においては個社ごとに展開しているナカヨ及び岩崎通信機のビジネスホンの営業体制を統合することで、両社の営業担当が重複するエリアについては一方の営業担当のみにするというスリム化を進め、より少ないリソースで2社分の既存顧客及び新規顧客の対応を行う体制を再構築する。また、新たな営業体制構築によって創出したリソースは、あいホールディングス商材や今後の新製品、新サービスの販売に振り向ける。
- 資材調達機能の一本化によるメリット:ナカヨ及び岩崎通信機が個々に行っている資材調達を一本化すること及びビジネスホン開発に使用する部品の整理を行って共用部品を増やすこと、及びナカヨと岩崎通信機のビジネスホン製品ラインアップを一本化する。その結果、ナカヨ及び岩崎通信機双方において在庫のスリム化と、購買量のスケールメリットを活かした仕入れコストの削減を図る。また、ナカヨと岩崎通信機の調達ルートを統合することにより、調達先及び調達ルートの選択肢が増加し、それらの中から、コスト及び品質の両面において最適なサプライチェーンを再構築する。
- 物流ネットワークの統合によるメリット:ナカヨと岩崎通信機の物流ネットワークを統合することができ、両社を併せた物流量のスケールメリットを生かして、ナカヨ及び公開買付者グループ双方における運搬・保管にかかる物流コストを削減する。また、ナカヨと岩崎通信機の物流ネットワークを統合することによって、物流の2024年問題に起因する物流コスト増に対処しつつ、両社で重複するエリアを一本化する等、ナカヨ及び岩崎通信機双方において物流ネットワークの無駄を省いた効率的な運用を実現する。
所感
あいホールディングスは、セキュリティ機器事業(主要製品は監視カメラやレコーダー等のセキュリティシステム機器)と情報機器事業(主要製品はカッティングマシン)の2大事業を中心に事業展開、2024年5月には情報通信事業を主力とする岩崎通信機を子会社化するなど、積極的に業務提携やM&Aを進めている。本件M&Aは、岩崎通信機とのシナジー等を企図する戦略的M&Aであり、あいホールディングスの更なる飛躍が期待される。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
株式会社ナカヨ株式(証券コード:6715)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
以上