測量業界の戦略的M&A「需要停滞とテクノロジーで二極化必定」

脱、自前主義

 測量業界は、測量需要の停滞とテクノロジーの波で、サービス提供者の二極化が必定の状況にある。測量業界各社は、業界内における勝ち残りを図るため、自前主義を見直し、今すぐM&A・アライアンスを決断したい。

公共・民間共に予断を許さない展開続く

 国土交通省「建設関連業等の動態統計調査」によると、2024年度(2024年4月~2025年3月)の測量業50社受注金額合計は、前年度比▲13.0%減の915億円と低調に推移した。発注者別内訳は、主力の国内公共分野(公共建設・インフラ投資等)が同▲9.0%減の734億円、国内民間分野(民間土地・住宅建設投資等)が同▲25.9%減の173億円、海外が同▲32.5%減の7億円と、いずれもマイナス成長。国内公共分野は、受注件数が過去10年間で14,667件(2015年度)⇒10,920件(2024年度)と漸減。近年は、受注単価の上昇がプラス寄与し一定の受注金額を維持するも、公共事業予算は限定的であり、予断を許さない展開が続いている。国内民間分野は、受注件数に波あるも、人口減少等から一部地域を除き盛り上がりに欠ける展開が予想され、こちらも予断を許さない。

テクノロジーによる環境変化が直撃

 近年、測量業界は、ドローン測量や3Dレーザー(LiDAR)計測等各種テクノロジーの普及により、単純な現場測量の作業量が減少、効率化が進展している。また、CAD(コンピュータ支援設計)・GIS(地理情報システム)の利用増加等を背景に、簡易的な測量については、設計・施工会社内で自前で処理するケースも出てきている模様。そのため、今後の測量業界各社は、「単に測るだけの会社」と「データを価値に変える会社」に二極化する可能性が極めて高い。前者は、限られた需要の中で旧態依然としたビジネスモデルを継続することで、価格競争に晒され、やがて縮小・撤退を余儀なくされよう。一方、後者は、先端技術を貪欲に取り込むことで生産性を向上させ、発注者との継続的な関係を構築、次世代測量業界の主役に躍り出ることとなる。無論、後者の地位を確保するためには、点群処理・3Dモデル化、BIM・CIM連携データ作成、GIS構築・更新、防災・維持管理向け解析、RTK-GNSS(高精度衛星測位システム)、クラウド共有・遠隔処理等各種分野への技術的・人的先行投資が必須条件となる。

M&A・アライアンスの実行必須

 大手企業を除く多くの測量会社にとって、負担の重い技術的・人的先行投資は、現実的ではない。そのため、測量業界で勝ち残るためには、他社との連携、即ち、M&A・アライアンスの実行が必須となる。大手企業各社は、ロールアップ戦略による規模拡大や、建設会社やIT企業との融合による自社測量事業の更なる高度化を目指すことが有効。一方、中堅・中小企業各社は、単独自前主義に拘ることなく、例えば、建設会社、地盤調査・インフラ点検会社、IT・GIS・SaaS企業、ドローン・機器メーカー等と積極的に連携することで、差別化を図り、勝ち残りを目指したい。特定分野、例えば、防災・減災(河川、土砂、ハザード)、インフラ維持管理(橋梁・道路・老朽化)、スマートシティ・3D都市モデル、再エネ(太陽光・風力立地)、森林・農業DX、自治体のデジタル地図更新等の各種分野において先行する企業との連携も、選択肢の一つとなる。

先端サービスへの転換を

 測量業界における登録業者数は、2024年度が11,140社と、2003年度の14,750社をピークに減少傾向が鮮明であるが、昨今の環境変化等を踏まえると、今後の業者間の優勝劣敗と更なる集約化は免れられない。測量業界は、いち早くM&A・アライアンスに動いた企業のみが勝ち残ることができる変化の激しい業界に、これまで以上に変貌していく。テクノロジーを活用し、高度人材を確保し、単純な測量だけでなくデータ価値の最大化を図る先端サービスへの転換を進めることができるか。測量業界各社のM&A・アライアンス戦略から目が離せない。

以上

M&A・アライアンス組成の三澤公認会計士事務所

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