足場・仮設機材レンタル業界はM&Aが活発化
足場・仮設機材レンタル業界は、建設需要の高まりや人材不足、後継者問題などを背景に、M&Aが活発化している。以下、2020年以降に実行された意欲的なM&A事例7例を確認する。
①オリックスが足場・仮設機材レンタルの㈱杉孝グループホールディングスの株式取得(子会社化)(2020年12月)
概要
オリックス㈱(東証PRM8591、リース、金融・保険、事業投資、不動産等)は、足場・仮設機材レンタル事業を手掛ける㈱杉孝グループホールディングスの株式を取得し子会社化。
狙い
杉孝グループホールディングスは、足場・仮設機材のレンタル事業を中心に、足場設計の図面制作や工事現場における安全指導コンサルティングなど建設業界向けサービスを展開し、足場・仮設機材レンタル売上高において業界第二位のシェアを有する。オリックスは、杉孝グループホールディングスを買収することで、オリックスの国内営業ネットワークとの連携を図り、杉孝グループホールディングスが長年培ってきた事業基盤の拡大と、現在推進するデジタル投資や次世代足場の導入を加速させる。また、建設・物流関連機器レンタル業界における、オリックス他投資先との連携を進め、事業のスケールアップを図る。
②オーケストラ・プライベート・エクイティが足場関連サービスの㈱スタックへの投資実行(2022年8月)
概要
オーケストラ・プライベート・エクイティ(バイアウトファンド)は、足場関連サービスを手掛ける㈱スタックへの投資を実行。
狙い
スタックは、足場の設置から撤去、工事中の足場レンタルまで、ワンストップでサービスを提供。住宅から商業施設まで様々な建築物に対応するが、特に、リフォームやメンテナンスが必要な住宅やマンションなどで強い存在感を示している。年間20,000件以上のプロジェクトを手がける業界のリーダーとして、独自のトレーニングプログラムにより、最高品質の現場管理を提供し、地域密着とリソースの確保により、顧客のスケジュールニーズに応えることが可能。また、仮設トイレやフェンスなどの付帯サービスも提供しており、足場や関連ニーズのトータルソリューションプロバイダーとして機能する。オーケストラは、スタックに投資することで、さらなる有機的・無機的な成長のため、採用や分析などの機能強化、市場シェアの拡大、新規顧客の獲得、人員増強、コストシナジーの追求、さらに隣接地域での新機能の開発に向けた追加買収の実施を検討する。また、数十年の実績を持つ強力なチームを支援し、新たな経営資源と業務資源を導入することで、事業の更なる成長に繋げる。
③信和が足場工事の㈱ヤグミの株式取得(子会社化)(2024年4月)
概要
信和㈱(東証STD3447、仮設資材・物流機器の製造販売)は、足場工事、特定建設事業、FC事業、小売事業を手掛ける㈱ヤグミの株式を取得し子会社化。
狙い
ヤグミは、東海地方で最大規模、全国でも有数の仮設施工企業であり、更に、様々な周辺ビジネスの取り込み・開発を行うことで、将来の事業成長を見据えた事業運営を行っている。信和は、「建設時の安全を守るパートナー、“セーフワーカー”」との矜持を持つヤグミを買収することで、高い親和性を根底とした一層の業容拡大、新分野への参入を実現、相互の力を合わせることで建設を取り巻く社会課題の解決を目指す。
④コンドーテックが足場等架払工事の上田建設㈱の株式取得(子会社化)(2024年10月)
概要
コンドーテック㈱(東証PRM7438、建築関連資材の製造・仕入・販売)は、土木建築用足場等の架払工事業及び機械器具設置工事業を手掛ける上田建設㈱の株式を取得し子会社化。
狙い
上田建設は、北海道地方を中心にプラント工事現場等で使用される仮設足場の架払工事の分野にて、強固な顧客基盤を構築している。コンドーテックは、上田建設を買収することで、今後も堅調な需要が見込まれるプラント工事現場等向け仮設足場の架払工事の分野における北海道地方での事業基盤を獲得する。また、コンドーテックグループのテックビルド㈱、東海ステップ㈱及び㈱フコクとの協業を通じて、仮設足場工事分野の事業拡大を目指す。
⑤J-STARが足場施工の㈱札幌ビケ足場への投資実行(2024年10月)
概要
J-STAR㈱(バイアウトファンド)は、足場施工を手掛ける㈱札幌ビケ足場への投資を実行。
狙い
札幌ビケ足場は、北海道の道央エリア及び道南エリアにおいて、足場施工・管理、仮設資材のレンタルサービス・販売を提供する大手事業者。また、次世代足場による高層建築物向け足場施工、安全管理業務代行サービス等も手掛ける。J-STARは、札幌ビケ足場に投資することで、ロールアップを推進、オペレーション効率化、経営体制強化等を通じて更なる成長を目指す。
⑥ JKホールディングスが足場工事の㈱大和ビケサービスの株式取得(子会社化)(2025年1月)
概要
JKホールディングス㈱(東証STD9896、合板製造販売、木材加工販売、合板二次製品・建材・住設機器卸売)は、足場工事を手掛ける㈱大和ビケサービスの株式を取得し子会社化。
狙い
大和ビケサービスは、神奈川県大和市に所在し、川崎、埼玉、千葉の拠点と合わせて4拠点を有しており、同エリアおよび近隣エリアにて、くさび式足場工事業および仮設足場機材のレンタル・販売事業を営んでいる。JKホールディングスは、大和ビケサービスを買収することで、JKホールディングスの事業領域の拡充を図る。
⑦タカミヤが仮設機材レンタルの日建リース㈱の株式取得(子会社化)(2025年2月)
概要
㈱タカミヤ(東証PRM2445、仮設機材の販売・レンタル)は、建築・土木用仮設機材及び建築・土木用機械のレンタル、販売を手掛ける日建リース㈱の株式を取得し子会社化。
狙い
日建リースは、建築・土木用仮設機材及び建築・土木用機械のレンタル、販売の事業を行っており、広島県および近隣県において盤石な顧客基盤を築いている。また、日建リースは、広島県内有数の敷地規模で仮設機材供給に適した好立地の機材供給拠点を有している。タカミヤは、日建リースを買収することで、建設業業界のプラットフォーマーとして、業界が抱える人材不足や技能者の高齢化に伴う工期延長・遅延等の問題解決を目指す。また、中国地区での事業成長に加え、2022年に立ち上げた「Takamiya Platform」における、仮設資材の管理や保管、運送、レンタルサービスの拡充を目指す。
所感
足場・仮設機材レンタル業界は、建設需要の高まりや人材不足、後継者問題などを背景に、M&Aが活発化している。特に、大手企業による中堅・中小企業の買収や、垂直統合・関連事業への進出等を目的とした異業種からの参入が増加している。また、バイアウトファンド等によるロールアップ等を目的とした買収もみられる。規模拡大によるバーゲニングパワー確保等、業界再編の動きは今後増々加速するとみられ、足場・仮設機材レンタル業界のM&Aの動向が大いに注目される。
以上
