概要
スズキ㈱(東証PRM7269)は、2025年2月20日、2031年3月期を最終年度とする6か年の中期経営計画「By Your Side スズキ新中期経営計画(2025~2030年度)」を発表した。
2031年3月期の数値目標は、売上収益8兆円(2024年3月期実績5兆3,742億円)、営業利益8,000億円(同4,655億円)、ROE13.0%(同11.7%)、とした。
施策
- 技術戦略:小・少・軽・短・美の理念に基づき、全ての過程でエネルギーを極少化。製造からリサイクルまで 「資源リスクと環境リスクを極少化させる技術」を目指す。
- インド戦略:「国とともに発展」。グローバルスズキの四輪/二輪の生産拠点。 “Make in India”。
- 四輪(日本):スズキにとって日本は成長市場。登録車も伸ばし、収益も高める。顧客と社会に必要とされる存在となる。乗用車(登録車+軽自動車)シェア 2位。生活になくてはならない日常の足として、軽自動車でお客様の生活を支えていく。
- 四輪(インド):自動車のリーディングカンパニーとしてシェア50%を目指す。インドの需要を賄うため、また輸出拠点として拡大するために、年400万台の生産体制を目指す。BEVの生産/販売/輸出1位を目指す。
- 四輪(欧州):要求性能が極めて高く、先進的な環境/安全規制が導入される市場で、技術/製品を鍛え、磨く。そのために必要なビジネス規模を継続する。
- 四輪(中東・アフリカ):大きな成長可能性を秘めた中東・アフリカ市場を、インド製モデルで開拓。次なるインドを見つけていく。中東シェア5%、アフリカシェア10%。
- 四輪(アジア):東南アジアはインドネシアを中心にASEANにおける事業再構築。インドネシアシェア10%。南アジアはパキスタンにおける更なる事業規模拡大。パキスタンシェア45%。
- 四輪(中南米・大洋州):中南米は今後も拡大する成長市場。小型SUVの更なる拡販。大洋州は燃費規制が進む成熟市場。低燃費商品の拡充。
- 四輪(トヨタとのアライアンス):互いに切磋琢磨する競争者であり続けながら、イコールパートナーとしての協業を継続。協業を通じて、マルチパスウェイでのカーボンニュートラル社会の実現を目指し、両社が共に成長し続ける。
- 二輪:妥協しない製品づくりを通じて顧客が求める「価値ある製品」を提供。作り手の想いを伝え、顧客の信頼を得て、254万台の販売、営業利益500億円の目標を達成。
- マリン:北米市場を中心に「楽しむ」お客様向けに中大型モデルを拡販、アジア市場等の「働く」お客様向けにも環境に優しい4ストローク化を推進し、営業利益350億円を達成。
- 電池:性能、品質で実績のあるバッテリーをパートナーの協力を得て調達。将来の需要拡大に備え、内製化に向け、国産蓄電池の共同開発を検討。
- 新事業領域:既存事業での強みを活かし、サービスモビリティ/エネルギー領域で新事業を立ち上げ。2030年度に売上収益500億円、2040年度に収益面で既存事業に並び立つ柱へ。スズキにない新事業領域に必要とされる技術、ノウハウは協業を通じて実現。
- スタートアップ・地域との共創:事業領域の拡大に必要な知見や技術獲得のため、スタートアップとの協業に体制を強化し取り組む。地域社会とのつながりをより太くし、関係人口を増やすため、本拠地である浜松市やインド地方部のスタートアップや企業を支援し、共に成長する。スズキが目指すインフラモビリティを実践するため、ミッションが異なる2つのコーポレートベンチャーキャピタルを設置し、取り組みを推進する。
- バイオガス事業:スズキの強み=CNG車を生かしつつ、インドの社会課題を解決し、インドの成長へも貢献。
所感
同社は、持続的な成長によって企業価値を向上させることを基本方針に据え、資本コストを上回る価値の創出、長期安定的な経営の実現に向けたステークホルダーとの関係強化、持続的な成長のために投資の遂行、を経営目標として掲げる。同社の今後の取り組みが注目される。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆
- 期待度☆☆
By Your Side スズキ新中期経営計画(2025~2030年度)
以上