概要
Terra Drone㈱(東証GRT278A)は、2024年11月29日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。
事業内容
- 測量、点検、農業等におけるドローンを含むハード、ソフトの開発及びサービスの提供。
- 安全かつ効率的なドローンや空飛ぶクルマの運航を管理するためのシステム(UTM)の開発・提供。
強み
- 業界知見(ドローン×各領域):ドローン業界の事業開発プロフェッショナルの経営陣。M&Aを通じドローン×各領域に精通する起業家集団も参画。
- ビジネスモデルの多様性に基づく差別化:UTM/ソフト/ハード/サービスの全てを事業領域とする唯一の事業者1であり、領域間のシナジーを活かした事業展開が可能
- 大企業・政府機関とのグローバルな研究開発:日系・グローバルの大手企業や、大学・政府機関との豊富な研究開発の実績を有する
- 卓越した海外M&Aの知見:豊富な海外M&Aの経験に基づく独自のノウハウ・強みを有しており、再現性のある取り組みが可能
中期経営計画
2025年1月期の業績予想は、売上高4,122百万円(2024年1月期実績2,963百万円)、営業利益▲669百万円(同▲243百万円)、とした。
リスク
- ドローンの安全性に対する社会的信用について:ドローンに関する重大な事故が発生した場合には、ドローンの安全性に対する社会的信用が低下することにより、顧客からの需要低下、規制の強化等により市場の成長が減速する可能性がある。同社では、事故を起こさないよう、安全性第一のドローンの実現に努めているが、万が一、同社の製造した機体が墜落すること等により人や財産等に損害を与えた場合には、製造物責任賠償、リコールによる支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、同社の事業及び業績に影響を与える可能性がある。製品の信頼性には万全の配慮をしていくが、万が一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜を招き、同社の経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
- 経営環境について:同社の事業領域である産業用ドローン市場では、国内外において大きな成長が見込まれている。国内では政府の規制整備やガイドライン整備など積極的な姿勢を受け、2022年12月にはレベル4(有人地帯での目視外飛行)である目視外飛行許可申請のルールが明確化されている。今後も産業用ドローン市場の創出及び拡大が続くものと考えているが、今後日本国政府の方針転換などが行われた場合には、同社の主要な事業領域の成長が鈍化し同社の業績に影響を及ぼす可能性がある。また、ドローン産業は成長分野であると見做されており、従来他業種であった企業の参入が加速することによる競争激化が同社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
- 為替変動の影響について:同社は海外子会社各国においては現地通貨で資産・負債を保有している。同社はグローバルで事業を行っており、米ドル及びユーロを中心とする為替レートの変動に伴う影響も受ける。また、同社の海外子会社の現地通貨建ての資産・負債等は、当社連結財務諸表作成の際に円換算されるため、財政状態は為替レートの変動による影響を受ける。連結財務諸表を作成するにあたっては現地通貨を円換算する必要があり、換算時に使用するレートによっては同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。なお、為替相場の変動は中長期的には平準化されるものと考え、為替予約等は行っていない。
- 仕入価格の高騰について:同社では、特定の仕入先からでないと入手できない原材料はないが、材料、製品等は輸入品を使用し、為替等の変動によって一時的に当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
- M&Aに伴うのれんの減損に関するリスク:同社では、事業規模の更なる拡大と機動性の確保を目指して、海外を含む将来性のある企業を積極的に買収し中長期的な成長の実現を目指している。各国経営陣の判断により今後の成長が大きく期待できる企業を買収の対象とすることでリスク低減を図っているものの、黎明期市場の企業を買収することによるのれんの減損が同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
- 海外事業展開について:同社では、海外での事業活動・グローバル展開を成長戦略の軸の一つとして積極的に行い、今後も中長期的な成長の実現を目指していく。特定地域への依存を避けることでリスク低減を図っているものの、国際情勢や各国特有の政治経済、売掛金の回収リスク等の状況により同社の事業の運営に影響が発生し、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
- 代表取締役の兼任について:当社代表取締役社長である德重徹氏は、Terra Charge㈱の代表取締役社長を兼任している。德重徹氏は、先ず次世代モビリティであるEV産業事業の創出のため2010年4月にTerra Motors㈱を設立したが、同社の新規事業として開始したドローン事業をスピンアウトして当社を設立した経緯がある。その後Terra Motorsは、2024年2月に会社分割し、Terra Motorsの社名をTerra Chargeに変更している。Terra Chargeの代表取締役社長として業務を行っているため、業務時間や勤務場所の面でTerra Chargeにも割振られる形となるが、基本的に当社での業務執行に高めの比重を充てている。
M&Aニーズ
- 物流、防衛、空飛ぶクルマ。
所感
Terra Droneは、「Unlock “X” Dimensions」(異なる次元を融合し、豊かな未来を創造する)をビジョンとして掲げ、ドローン、空飛ぶクルマといった新しい産業領域で空の産業革命を起こし、世界をリードできる存在になることを目指す。同社は、ドローン市場の黎明期から海外で有望なドローンサービスプロバイダーや技術会社を積極的に段階的な出資によるM&Aを行うことによって、グローバルネットワークを構築し、事業が進展してきた。今後も物流事業など、旧産業を新産業に置き換える事ができる国内外の企業を探索し続けており、同社の今後のM&Aを含むアライアンス政策が注目される。
- 挑戦度☆☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
以上