概要
㈱Kids Smile Holdings(東証GRT7084、2024年3月期純資産6,327百万円、総資産14,163百万円、売上高12,867百万円、営業利益233百万円)と、㈱LITALICO(東証PRM7366、2024年3月期資本合計10,427百万円、資産合計25,311百万円、売上収益29,792百万円、営業利益3,715百万円)の両社が、業務提携したと仮定した場合に想定される具体的な提携効果について検討する。
Kids Smile Holdingsの事業内容
- Kids Smile Holdingsは認可保育所・プレスクール一体型保育所(認可外保育施設)及び幼児教室の運営を主な事業とする。
- これからの時代の子供たちを育てる幼児教育の場としての保育施設を目指し、認可保育所である「キッズガーデン」及び「キッズスマイル」と、認可外のプレスクール一体型保育所「KIDS GARDEN PREP SCHOOL」及び幼児教室「キッズガーデンクラスルーム」、就学時を対象とするハイエンド学童・アフタースクールの運営を行う。
- 現在、首都圏を中心に、自治体より認可を受けた保育施設70園、同社グループが独自に運営する認可外保育施設6施設、幼児教室1施設、スイミングスクール1施設、グローバルスクール1施設を運営。認可外保育施設においては、同社オリジナル教育プログラム「KID’S PREP. PROGRAM」やモンテッソーリ、レッジョ・エミリア・アプローチ等の教育プログラムを導入実践。
LITALICOの事業内容
- LITALICOは「障害のない社会をつくる」というビジョンのもと、2005年の創業時より障害福祉領域において事業を展開。現在全国300施設以上で就労や学びを支援するサービスを提供。加えて、プログラミング等一般教育分野へも展開。さらに、これらの施設運営で培ってきたノウハウを活用し、障害福祉領域におけるインターネットプラットフォームサービスを展開。
- 就労支援事業:就労を目指す障害者を対象に就労後の職場定着まで一貫した支援を実施。 児童福祉事業:児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業、保育所等訪問支援。
- プラットフォーム事業:施設の利用者や従事者向けとしてマッチングメディア運営及び人材紹介サービスを提供し、施設向けSaaS事業として集客や採用支援及び経営支援のプロダクトを提供。
想定される提携効果
- 障害福祉と保育・教育の統合: 障害を持つ子どもたちへの支援が、Kids Smile Holdingsの保育施設においても提供されることで、包括的な支援の実現が考えられる。障害児を対象とした保育施設や、発達支援センターの共同開設が実現する。
- 教育プログラムの強化:Kids Smile Holdingsの教育プログラムに、LITALICOのノウハウが加わることで、教育の質が向上する。先進的な教育プログラムを共同で開発し、両社の施設で提供することで、更なる差別化を図る。
- 新規事業の共同展開:産後ケア事業やファミリーサポート事業において、両社のリソースを活用し、「パーソナルケア」と「障害福祉」を融合した新サービスの開発が考えられる。
- 技術とインフラの共有:LITALICOのIT技術やプラットフォームをKids Smile Holdingsの施設運営に活用することで、運営の効率化、サービスの高度化が図られる。
所感
Kids Smile HoldingsとLITALICOが業務提携すれば、障害児を対象とした保育施設や、発達支援センターの共同開設、先進的な教育プログラムを共同で開発のうえ両社施設での提供、ITプラットフォームの活用など、多くの具体的な効果をもたらすと期待される。両者の強みを生かしたシナジー効果により、業界での社会的影響力が強化され、両者がパーパスとして掲げる社会課題の解決につながる可能性が高い。Kids Smile Holdingsはこれまで幼児教育単一事業を展開していたが、新たな挑戦として、事業領域を拡大し、総合パーソナルケアサービスの提供及び社名の変更を目指すなど、新たな事業フェーズへと突入しているが、LITALICOと提携することで、パーソナルケアサービスの包括的展開に向けて更なる飛躍が期待される。両社の今後の取り組みが注目される。
以上