TREホールディングスと三和油化工業|発想の業務提携M&A

概要

 TREホールディングス㈱(東証PRM9247、2025年3月期純資産75,426百万円、総資産162,047百万円、売上高118,678百万円、営業利益22,983百万円)と、三和油化工業㈱(東証STD4125、2025年3月期純資産12,513百万円、総資産20,636百万円、売上高16,040百万円、営業利益836百万円)の両社が、業務提携したと仮定した場合に想定される具体的な提携効果について検討する。

TREホールディングスの事業内容
  • 廃棄物処理・再資源化事業:廃棄物を収集し中間処理工場へ運搬する収集運搬業務、中間処理工場へ搬入された廃棄物を品目ごとに適切に精選別し、異物除去、破砕、圧縮、薬剤処理等を行う中間処理業務、併せて再資源化が可能な廃棄物については、加工、成型、品質調査等を行う再資源化業務、及び中間処理により発生した残さを自社最終処分場に埋め立てる最終処分場運営等。
  • 資源リサイクル事業(金属リサイクル):鉄スクラップ及び非鉄スクラップについて、生産工場、建物解体業者、自動 車解体業者、地方自治体及び同業他社から仕入れた金属スクラップを品物に応じてせん断、圧縮、破砕、選別し、 金属原料として再資源化。
  • 資源リサイクル事業(自動車リサイクル):カーディーラーやオートオークションから仕入れた使用済自動車について、処理を引取からパーツの販売や破砕までワンストップで行う。
  • 資源リサイクル事業(産業廃棄物処理):産業廃棄物の中間処理の許可を持つ事業所を運営し、産業廃棄物の中間処理を行う。
  • 資源リサイクル事業(家電リサイクル):家電量販店等で回収された家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)について、リサイクルシステムの管理会社から指定引取場所、再商品化施設及び地域管理会社として処理料・管理料を受け取り、集荷拠点の運営、再商 品化及び地域管理事業を行う。
  • 再生可能エネルギー事業:主に森林資源を燃料とする木質バイオマス発電所の運営を行うとともに、付帯する業務として、発電用燃料の製造、発電した電力の販売、森林経営等を行う。
  • 環境エンジニアリング事業:環境装置やプラント、特殊車輌の開発・製造・販売。
  • 環境コンサルティング事業:計量証明業務、環境対策工事及び有害廃棄物等の調査・分析業務。
三和油化工業の事業内容
  • リユース事業:主に製造業顧客の工場から排出される使用済み廃溶剤、廃酸、有用金属等を含む産業廃棄物などを中間処分・再資源化し、元の用途や塗料、洗浄剤、表面処理剤等の素材として再使用できるマテリアルリサイクル、再生製品の販売。国内の様々な業種の事業場より引き取りした有機溶剤や無機酸などの使用済み廃棄物原料を、蒸留・溶媒抽出などの化学的手法により分離・精製し目的物を回収。回収した再生製品は元の顧客に戻し再使用(リユース)、或いは、他の顧客に販売し新品(バージン品)に代わる素材原料として再利用。
  • リサイクル事業:主に製造業顧客の工場から排出される使用済み廃溶剤、汚泥、廃プラスチック類などの産業廃棄物を中間処分・再資源化し、再生燃料(サーマルリサイクル)やセメント・石灰・鉄鋼の副原料及び副資材としての2次利用を中心とした再資源化。国内の様々な業種の事業場より引き取りした廃油や廃酸、廃アルカリ、汚泥、廃プラスチック類などの産業廃棄物を、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づき、中和・混合エマルジョン化・混練などの化学的手法・物理的手法により中間処分・無害化。中間処分・無害化した回収物は、重油や石炭の代替となる再生燃料として販売する(サーマルリサイクル)、或いは、成分を調整して、セメント・石灰・鉄鋼の副原料及び副資材として2次利用目的で販売。中間処分後の残渣等で有効利用が難しいものは、無害化された産業廃棄物として他の産業廃棄物処理業者へ処理委託。
  • 化学品事業:有機化学品や無機化学品及びそれらを精製・加工した化学品の製造・販売及び受託加工。国内及び海外から化学品原料を仕入れ、危険物貯蔵所及び倉庫にて一時保管、荷姿・納期を調整して様々な業種の顧客において洗浄や表面処理、樹脂等を溶解する溶媒として利用される汎用化学品を販売するほか、半導体や電子機器、電池などのエレクトロニクス分野で副資材として使用される高純度化学品の製造・販売・受託加工。
  • 自動車事業:自動車メーカー及び自動車部品メーカーをメイン顧客として、潤滑油や金属加工油などの油剤製品、工業用洗浄剤及び自動車製造工程で使用される各種副資材の製造・販売。
  • PCB事業:「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」に基づき全国的に処理が進められているPCB含有廃棄物の適正処理を行うためのソリューションを提供。国内事業者が保有するPCB含有廃棄物について、PCB含有分析、洗浄無害化作業、設備解体作業、搬出作業、機器の補修作業、分別仕分け作業及び収集運搬業務等の最適なコーディネートを行い、許認可を受けた処分業者で適正処理がされるまでのトータルサポート。
想定される提携効果
  • 廃棄物処理・再資源化事業:TREホールディングスの廃棄物収集運搬・中間処理インフラと、三和油化工業の廃プラスチック・廃油などの再資源化技術(油化、再生樹脂化など)の融合により、廃棄物からより高純度かつ市場価値の高い再生原料を製造、サーキュラーエコノミー対応型の廃棄物処理フローを共同構築、リサイクル原料の安定供給体制確保を図る。
  • 再生可能エネルギー事業:三和油化工業の廃油リサイクル燃料や再生重油を、TREホールディングスのバイオマス発電やRPF燃料供給事業と統合することで、廃棄物系燃料の活用幅拡大と、低炭素エネルギー供給の多様化を実現。
  • 環境エンジニアリング・コンサルティング事業:三和油化工業のリサイクル設備運用技術・プラント設計ノウハウを、TREホールディングスのエンジニアリング案件に活用することで、廃プラ処理設備や化学的リサイクル設備の共同開発・受託。また、両社の実地運用データ・ノウハウを活かし、企業・自治体向けに、資源循環型経営支援、脱炭素化支援、再資源化設計支援等の各種コンサルティングサービスを共同提供。
所感

 TREホールディングスと三和油化工業は、環境・資源循環の各段階で高い専門性と実績を有しており、両社が連携することで、川上(廃棄物収集)から川下(再資源製品)までの完全な統合型モデルが構築できる。また、TREホールディングスの広域ネットワーク(自治体・製造業など)と三和油化工業の技術を組み合わせることで、BtoG・BtoB市場での競争優位性が大きく向上する。TREホールディングスと三和油化工業のアライアンスは、単なる廃棄物処理にとどまらず、化学・エネルギー・環境技術が融合する「高度資源循環モデル」の構築に道を拓くものとなる可能性が極めて高い。両社の今後の取り組みとアライアンス施策が大いに注目される。

以上

株価算定・企業価値評価で全国対応の三澤公認会計士事務所

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