概要
㈱U-NEXT HOLDINGS(東証PRM9418)は、2024年9月30日、キャッシュレス決済サービス等を手掛けるネットムーブ㈱(2024年3月期純資産1,665百万円、総資産3,134百万円、売上高1,499百万円、営業利益644百万円)の株式の100%を住信SBIネット銀行㈱(東証STD7163)より取得し、子会社化すると発表した。また、本件株式譲渡は、住信SBIネット銀行を吸収分割会社とし、ネットムーブを吸収分割承継会社とする吸収分割により住信SBIネット銀行のアクワイアリング事業を承継することを前提とする。
狙い
ネットムーブは住信SBIネット銀行が2019年4月に100%子会社化して以降、住信SBIネット銀行との間で決済サービスと銀行サービスの融合を進めており、決済ソリューション、セキュリティ・認証サービス、コミュニケーションサービスの3つのサービスラインナップで堅調な成長を続け、長年にわたり築いた強固な顧客基盤と高いシステム設計・開発力等を有している。U-NEXT HOLDINGSは、ネットムーブ及び住信SBIネット銀行のアクワイアリング事業を買収することで、ネットムーブの決済ソリューション機能及び住信SBIネット銀行のアクワイアリング事業を垂直統合、申込店舗のサービス利用開始までのリードタイムを大幅に短縮する「営業、審査、システム登録、機器設置、オンボーディング、フォロー及び開発をワンストップ化した」事業モデルの確立をはじめとした付加価値の向上により、利便性並びに競争優位性を生み出すことを目指す。また、現在U-NEXT HOLDINGSは店舗向けの対面決済領域のみを提供しており、事業規模は年換算の流通取引総額で2,500億円程度となっているが、本件M&Aの実行後は、来店前の事前決済、実店舗とECサイト間の連携を実現する非対面決済領域への事業拡大や、対面/非対面の決済機能をU-NEXT HOLDINGSだけでなく他の事業者に対して提供していくことを目指す。更に、キャッシュレス決済事業の持続的な成長で拡大する顧客基盤に対して、U-NEXT HOLDINGSのPOSレジ、金融サービスをクロスセルすることによるシナジー創出を図る。
所感
U-NEXT HOLDINGSは、2019年より、住信SBIネット銀行のアクワイアリング部門と提携のうえ、ネットムーブのペイメント・サービス・プロバイダーサービスを利用し包括代理店としてキャッシュレス決済サービス「USEN PAY」を開始している。通信回線やPOSレジなどのグループ商材と組み合わせてワンストップで提供することにより既存のキャッシュレスサービス事業者と差別化、全国150拠点に配置した合計2,000名超のセールスとフィールドエンジニアによるオンサイト対応を通じて、特にSMB市場で強い開拓力を誇り、加盟店とのエンゲージメントも高めている。本件M&Aは、U-NEXT HOLDINGSの決済領域事業の強化及び新規事業への拡大に資する取り組みであり、U-NEXT HOLDINGSの今後の成長が注目される。
- 挑戦度☆☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
ネットムーブ株式会社の株式取得による完全子会社化及びネットムーブ株式会社による住信SBIネット銀行株式会社のアクワイアリング事業の会社分割による事業承継に関するお知らせ
以上