概要
㈱ディジタルメディアプロフェッショナル(東証GRT3652、2024年3月期純資産3,457百万円、総資産3,919百万円、売上高3,016百万円、営業利益328百万円)と、㈱安川電機(東証PRM6506、2024年2月期資本合計408,018百万円、資産合計702,335百万円、売上収益575,658百万円、営業利益66,225百万円)の両社が、業務提携したと仮定した場合に想定される具体的な提携効果について検討する。
ディジタルメディアプロフェッショナルの事業内容
- 精細な画像を描画するために必要なハードウエアIPおよびソフトウエアIP(合わせてグラ フィックスIPコア)を開発し、主にゲーム機器、自動車、モバイル通信機器、家電製品等に組み込まれる半導体向けのIPコアを、半導体メーカーや半導体が組み込まれた最終製品メーカー(ゲーム機器メー カー、モバイル通信機器メーカー等)に提供。
- 上記開発によって得られたグラフィックスIPコアを搭載したLSI製品をパチンコ機およびパチスロ機向けに提供。
- ディープラーニングなどの人工知能に必要なハードウエアIPおよびソフトウエアIPを開発し、顧客に提供。
安川電機の事業内容
- モーションコントロール:ACサーボモータ、工作機械用AC主軸モータ、リニアモータ、PMモータ、コントローラ、デジタルガルバノスキャナ、汎用インバータ、電源回生コンバータ、マトリクスコンバータ。
- ロボット:アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボット、ハンドリングロボット、シーリング・切断ロボット、バリ取り・研磨ロボット、半導体・液晶製造装置用クリーン・真空搬送ロボット、自律ロボット、人協働ロボット、バイオメディカル用途対応ロボット、ロボット周辺機器、ロボット応用FAシステム、セルシュミレータ。
- システムエンジニアリング:鉄鋼プラント用電気システム、上下水道用電気システム、各種産業用電気システム、高圧インバータ、高圧マトリクスコンバータ、産業用モータ・発電機、太陽光発電用パワーコンディショナ、小水力発電用発電機、船舶用電機品。
- その他:物流サービス他。
想定される提携効果
- 先端技術の融合:ディジタルメディアプロフェッショナルが有する高性能な画像処理技術やAI技術と安川電機が有する産業用ロボットやモーションコントロール技術を融合することで、次世代の産業用ロボットや自動化システムの開発が可能となる。例えば、高度な画像認識機能を備えたロボットやAI制御による自動化ソリューションなどが考えられる。
- 新製品開発と市場拡大:安川電機の強力な販売網と市場展開力を活かして、ディジタルメディアプロフェッショナルの画像処理技術やAI技術を活用した新製品を迅速に市場に投入、幅広い顧客層にリーチし、市場シェアを拡大する。
- 製造プロセスの改善:ディジタルメディアプロフェッショナルのAIによる予知保全や画像検査技術を安川電機の製造プロセスに導入・組み込むことで、安川電機の製造ラインの効率化や品質向上を図り、生産性の向上とコスト削減を実現させる。また、両社の技術を統合することで、IoTやAIを活用した自律型生産システムを実現、工場全体の効率化が図られ、リアルタイムでの生産管理が可能になるなど、スマートファクトリー構築を実現させる。
所感
ディジタルメディアプロフェッショナルと安川電機が業務提携すれば、先端技術の融合による新製品開発や市場拡大、製造プロセスの改善、スマートファクトリーの実現など、多くの具体的な効果をもたらすと期待され、両社の強みを活かしたシナジー効果により、産業用ロボット市場や自動化システム市場での競争力が一層強化される可能性がある。ディジタルメディアプロフェッショナルは、㈱レスター(東証PRM3156)、ヤマハ発動機㈱(東証PRM7272)、米国Cambrian Inc.と資本業務提携しているが、安川電機との資本業務提携が実現すれば同社のビジネスフィールドは更に拡大する。一方、安川電機は、現行のロボット事業が更に拡大し、中期的に同社モーションコントロール事業に並ぶ利益を叩き出す事業に成長する可能性が高い。同社のソリューションコンセプトi3-Mechatronicsを中心とした事業活動は、高収益企業体質確立、新価値・市場創造に挑戦のフェーズを経て、ビジョン実現のフェーズに入っているが、ディジタルメディアプロフェッショナルと提携することで、今後の更なる飛躍が期待される。両社の今後の取り組みが大いに注目される。
以上