概要
㈱シーティーエス(東証PRM4345、2024年3月期純資産12,230百万円、総資産16,710百万円、売上高11,090百万円、営業利益2,865百万円)と、㈱Arent(東証GRT5254、2024年6月期純資産4,125百万円、総資産5,060百万円、売上高2,939百万円、営業利益1,236百万円)の両社が、業務提携したと仮定した場合に想定される具体的な提携効果について検討する。
シーティーエスの事業内容
- デジタルデータサービス事業:クラウドストレージサービスを中心に、クラウド映像、コミュニケーション、通信・ネットワーク、プリンティング 等の各種建設業・建設現場向けサービスの提供と、これら各種サービスを統合した遠隔の現場支援サービス「サイ トアシストパッケージ」を提供。クラウドを中心としたICT・IoTサービスで建設業の働き方改革を支援。
- 測量計測システム事業:MDTS・GNSS(全球測位衛星システム)等によるワンマン測量システム、その他測量計測機器・関連システム等をレンタルと販売で提供。機材の導入から活用支援までトータルでサポート。
- その他:IT環境を含めた建設現場向けユニットハウス「スマートハウス」をレンタルで提供、道路の標識・白線設置等の専門工事。
Arentの事業内容
- プロダクト共創開発・販売:DXによる業務効率化・生産性向上を実現するためのコンサルティング及びシステム開発・販売。属人化しブラックボックスと化した高度な暗 黙知を見つけ出し、高い数学力、深い業界知識で解き明かし、ビジネス化することで、主に建設業界のニッチな課題を解決。
想定される提携効果
- クラウドを中心としたICT・IoTサービス:シーティーエスは、さまざまなデバイスやクラウドサービスを連携させるサービス「D.E.IoT SmartHub」を提供。一方、Arentは建設業界向けのアプリ連携型プラットフォームを展開。両社の提携により、IoTデバイスやクラウドサービスの統合が進み、建設現場のデータ収集・分析・管理が一元化され、業務効率の向上やリアルタイムな情報共有が可能となる。
- 測量計測:シーティーエスは、測量計測システム事業を主力としており、建設現場のデジタルデータサービスを提供。Arentの持つBIMデータ活用技術と組み合わせることで、測量データとBIMデータの連携が強化され、設計から施工までのプロセスにおける精度向上や手戻りの削減等の効率化が期待できる。
- 新規事業創出:Arentは、プラント建設業大手の千代田化工建設㈱(東証STD6366)との合弁事業「PlantStream」を展開。熟練設計士たちのノウハウを徹底的にアルゴリズム化し、CADによる超高精度な「自律設計」を実現するなど、新規事業創出の実績がある。シーティーエスとの提携により、様々なクライアントに対して新たなビジネスモデルやサービスの提案・実現を支援するコンサルティングサービスを提供し、企業の競争力強化に貢献する。
所感
シーティーエスとArentの提携は、両社の強みを活かし、建設業界のデジタルトランスフォーメーションを加速させる取り組みとなる。特に、ICT・IoTサービス、測量計測、BIM活用の各分野でのシナジー効果により、業務効率化や品質向上が実現し、業界全体の競争力強化に貢献することが期待される。M&A・アライアンス含め、両社の今後の取り組みが大いに注目される。
以上