概要
上新電機㈱(東証PRM8173)は、2023年5月9日、2026年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画「JT-2025経営計画」を発表した。
2026年3月期の数値目標は、売上高4,200億円(2023年3月期実績4,085億円)、営業利益率2.6%(同2.0%)、営業利益110億円(同83億円)、ROE8.0%以上(同5.0%)、ROA5.0%以上(同3.8%)、ROIC5.0%以上(同3.7%)、とした。
施策
- リアル店舗:EC店舗とリアル店舗とのシナジーを重視した出店・既存店の強化、ファンベース戦略に基づく「新ロイヤルティプログラム(購入ステータスに応じた特典をラインナップしリアル店舗とECの相互利用促進を目的に導入する新プログラム)」の導入によりファンコアファンの新規創造と会員様一人あたりの顧客生涯価値拡大、ラスト1(マイル)からラスト1(メートル)へお客さまの宅内作業を起点とした高品質なサービスサポートの提供、ICTを駆使した高効率・高品質営業実現による顧客満足度の向上(タッチパネルによる商品選択、オンライン接客、セルフレジ、接客支援システム、電子POP、デジタルサイネージなど)、専門資格の取得に加え社内教育体制による従業員の販売力・提案力・接遇力の強化(家電アドバイザー、家電エンジニア、スマートマスター、福祉住環境コーディネーターなど)、家電、エンターテインメント商品に次ぐ第3の柱としてリフォーム・モバイル商品の取り組み強化。
- EC事業:ファンベース戦略に基づく「新ロイヤルティプログラム」で新たに設ける「新ステージプログラム(「新ロイヤルティプログラム」において最上位「コアファン層のステージ」を新設)」の導入によるCS(顧客満足度)向上、お客さまをサポートする商品の強化(お客さまの生活を支援するサポートメニューのさらなる拡充)、社内DX人財の育成・確保によるEC事業運営体制強化(DX人財育成に向けた教育体制の整備、内製化の推進)、お客さまからの問い合わせ対応の体制強化スタッフの商品スキル・対応力向上の為の教育強化(顧客満足度向上の為に超高齢社会を見据えた利便性向上、直接購入支援、熟練社員の活用)、お客さまに支持される魅力あるサイトへの成長(アイテム数増だけにこだわらない)(MD力(マーチャンダイジング(Merchandising)、自社の商品やサービスの販売方法や価格を戦略的に設定するための活動)強化で厳選したアイテムの調達と魅力あるオリジナル商品の開発)、EC購入商品の店舗受取(対象店舗ではJoshin webショップ掲載の一部の商品を除く全ての商品の店舗受け取りを可能にしていく)など顧客利便性向上。
- 商品サポートビジネス: 家庭内カーボンニュートラルの実現に向けた「環境配慮型製品(省エネ商品、2023年度統一省エネラベル:カラーテレビ 4つ星以上/エアコン・冷蔵庫 3つ星以上/温水洗浄便座(瞬間式タイプ)が対象)」の販売強化、高いシェアを維持しているエンターテインメント商品の更なる強化による確固としたブランディングの確立、お客さまの課題解決お役立ちの実現に向けたサポートメニュー拡充、モバイル端末+ネットワーク関連サービスの顧客ニーズに寄り添った提案、サブスクリプションリカーリングを意識した新規ビジネスの構築、リユースビジネス強化によるサーキュラーエコノミ―の実現。
- リフォーム:家庭のカーボンニュートラルに資する商品への取り組み(V2H・定置型蓄電池・開口部断熱・高効率給湯器)、住宅の「ストック循環」と「高性能化によるQOL(Quality of life(クオリティ オブ ライフ)の略称で意味は「生活の質」「生命の質」)向上」のためのリフォーム商品への取り組み(節水・家事負担軽減・子育て対応改修・高機能な浴室・介護関連等)、高齢社会のレジリエンス強化支援としての介護リフォームへの対応。
- プロモーションマーケティング:ファンベース戦略を推進するために「新ロイヤルティプログラム」導入、リテールメディア「Joshin ads」の運用による情報発信の強化と収益化の推進、Joshinアプリとデジタルメディアの利活用による顧客接点強化。
- 情報システム:新たな顧客満足の創出従業員の働き方改革(営業活動のICT武装)迅速な経営判断に資するデータフロー基盤の整備、CDP(Customer Data Platform(カスタマー・データ・プラットフォーム)、顧客ひとりの属性データや行動データを収集・統合・分析するデータプラットフォーム)の更なる高度化とMA(マーケティングオートメーション)を実践したOne To Oneマーケティングによる最適なアプローチの実現、「新ロイヤルティプログラム」構築などファンベース戦略を支えるデータ基盤の整備、Joshinアプリをプラットフォームにした会員サービスのさらなる充実(電子レシートや説明員順番予約、生体認証技術の活用、修理相談、購入家電管理リストなど)
- 物流:関東圏をカバーする物流体制の拡充(関西茨木物流センターを核とする東西2拠点化物流体制の整備)、運送・物流業界における「働き方改革関連法」施行への対応(パートナー企業を中心としたお取引先様との連携強化)、EC購入商品の店舗受取サービス推進と省人化による高効率物流体制の確立、宅配など外部ネットワークを活用した配送エリアの拡大。
- 配送・設置・工事:従業員の高齢化に備えた多様な人財採用と教育の推進(リスキリングによるサービスメニューの拡充)、サービスマン(出張修理)の技術支援体制構築、自社グループによるサービス提供エリアの拡大と能力向上、安定した能力(配達・工事)確保と品質向上に向けた自社グループと委託先によるハイブリッド体制の強化、ICTを活用した新しい修理相談窓口の創設(オンライン診断の実現)。
所感
同社は、自社の株主資本コスト6.2%、加重平均資本コスト2.99%と想定した上で、本中期経営計画期間で獲得見通しのキャッシュ・イン・フロー400億円~450億円の70%を成長投資に振り向ける予定。具体的には、新規出店、既存店スクラップ&ビルド、成長関連M&A、ECチャネルインフラ強化、物流・サービスインフラ強化等。同社は、収益力強化のためには、量の拡大から質の向上への変革が必要であり、ファン層やコアファン層の創造が必要不可欠と認識。ファン層やコアファン層の獲得に繋がる戦略的な投資が実行できるかが今後の鍵となる。
以上
株価算定・企業価値評価で全国対応の三澤公認会計士事務