ソラコムが事業計画及び成長可能性に関する事項(2024年6月)を発表

概要

 ㈱ソラコム(東証GRT147A)は、2024年6月26日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。

事業内容

 顧客企業がIoTを導入・運用する際に直面する共通課題を解決するIoTプラットフォーム 「SORACOM」(プラットフォーム)を提供している。具体的には、IoTデバイスやIoT SIM、IoTに必要な通信回線、IoTサービスに求められるデータ保存や可視化アプリケーション、ネットワークサービ ス等をプラットフォームサービスとして提供している。

  • 通信サービス(コネクティビティ):IoT向けの通信接続を提供するサービスであり、「SORACOM Air」の名称にて、セルラー通信、LPWA通信、その他通信、の通信規格に対応したサービ スを提供。
  • ネットワークサービス:IoTシステム運用のためには、安全性の確保、通信方向の制御、取得したデータの利用等、通信サービス(コネ クティビティ)の利用だけでは解決できない様々な課題が生じる。これらの課題を解決するために、VPN接続や 物理専用線によりIoTデバイスから各種クラウドや顧客データセンターまでをセキュアに接続するサービス、同社通信サービスによりつながるIoTデバイスに必要時に遠隔から安全にアクセスできるサービス等を提供。
  • アプリケーションサービス:IoTデバイスから送信されるセンサーデータ等を時系列で保存する機能、データを可視化するダッシュボードの 作成/共有サービス、各種クラウドやAI/機械学習などのサービスへのデータ転送サービス、IoTデバイスの管理等IoTデータ活用やIoTデバイス活用における課題を解決する機能を提供するサービスを提供。
  • その他(KDDI向けプラットフォーム提供) :主要株主であるKDDI㈱との業務提携契約に基づく協業の一環として、KDDIが構築する「IoT世界基盤」(グローバルIoTアクセス)の基礎となる通信ネットワークについて、同社プラットフォームを提供。
  • 商品販売:通信サービス提供時の回線契約に伴い主に販売される通信用IoT SIMに加えて、通信モジュール、USBドング ル、カメラ・GPS・ センサー等のIoTデバイス等の商品を仕入販売。また、特定大口顧客向けにはス マートメーター等の商品を販売。
  • プロフェッショナルサービス:同社グループのIoTプロフェッショナルコンサルタントが、顧客企業のIoT導入プロジェクトにかかる技術要素や課題の整理、実行計画立案の支援等、顧客プロジェクトに参画・サポートを行うコンサルティングサービスを 提供。また、企業のIoTプロジェクトに関するシステム開発の考え方や、システム構成、具体的な サービス提供について実装するワークショップも提供。
  • 業務受託:主要株主であるKDDIとの業務提携契約に基づく協業の一環として、技術開発支援等の業務を受託。
強み
  • 革新的なテクノロジー:クラウド上に構築した独自のモバイル・コアで、競争優位性を実現。柔軟なスケーラビリティ/幅広いパブリック・クラウドサービスに対応。様々な通信規格に対応3G / 4G / 5G / LPWA /Sigfox / 衛星。複数のMNOと連携し、シームレスなグローバル・コネクティビティを提供。柔軟かつアジャイルな機能開発。
  • 車輪の再発明を不要にするプラットフォームの価値:IoTシステム開発に必要な各機能を22のサービスとして用意。顧客は必要な機能を利用し、サービスを構築。
  • IoTプラットフォームに統合された生成AI機能:専門家でなくても、データの異常値やトレンドが把握できる。
  • 世界中でつながる、グローバル対応:独自のシームレスなマルチアクセス、392キャリア/180カ国・地域でつながる。
中期経営計画

 2025年3月期の数値目標は、売上高9,912百万円(2024年月期実績7,928百万円)、営業利益925百万円(同727百万円)、とした。

リスク
  • 2024年3月期連結売上高に占める日本瓦斯㈱の割合は26.1%である。日本瓦斯に対しては通信サービス等に加えてデバイス販売にかかる売上高が計上されており、売上依存度は高い状況にある。また、2024年3月期連結売上高に占めるKDDIの割合は12.7%である。主要株主であるKDDIとの業務提携契約に基づく協業の一環として、技術開発支援等の業務を受託している。
  • 同社は、仮想移動体通信事業者であり、事業運営基盤となる通信回線(携帯電話網)は国内外の移動通信体事業者より調達している。一部回線は代替困難となる通信回線等もあり、何らかの要因により通信回線の調達に支障が生じた場合は同社の事業運営に影響を及ぼす可能性があるほか、将来において回線調達コストの上昇が生じた場合には、同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
  • 同社は、一部の通信サービス用SIM及びIoTデバイス商品(当社独自仕様含む)について、外部の海外事業者より商品仕入を行っている。しかしながら、当該仕入については、製造元の供給能力や半導体その他の部材確保状況、その他のサプライチェーン動向等の要因から、継続かつ安定した商品仕入が困難となった場合、また、代替困難な商品について重大な欠陥が生じた場合等においては、同社の事業拡大の制約要因となる可能性があり、同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
所感

 同社は、安定したリカーリング成長に加え、グローバル + 大型案件 + 戦略案件 の獲得でアップサイドを狙う。戦略的アライアンスの推進としては、日本の自動車メーカーの海外ビジネスを中心に成長を続けるコネクテッドカー市場の獲得を目指す他、通信事業者向けサービスとして展開する革新的なIoTプラットフォームを他のグローバル通信事業者にも展開する予定。同社の今後の取り組みが注目される。

  • 挑戦度☆☆
  • 戦略度☆☆
  • 期待度☆☆

事業計画及び成長可能性に関する説明資料

以上

株価算定・企業価値評価で全国対応の三澤公認会計士事務所

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