概要
神戸天然物化学㈱(東証GRT6568)は、2023年6月22日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。
事業内容
有機化学品の研究・開発・生産ソリューション事業(機能材料事業、医薬事業、バイオ事業の3事業を展開)。機能材料事業はエレクトロニクス関連材料、医薬・医療関連材料等を生産・供給。医薬事業は治験原薬・医薬品原薬等を生産・供給。バイオ事業は遺伝子組換微生物による有用物質を生産・供給。
強み
- 有機化合物の単純受託ではなく、大手化学・製薬メーカーに高付加価値な製品・サービス(同社独自のソリューション)をタイムリーに提供。
- 研究開発から量産品まで化学・製薬メーカーの製品開発の各ステージでワンストップなソリューションを提供。
中期経営計画
2024年3月期の数値目標は、売上高89億円(2023年3月期実績86億円)、営業利益17億円(同21億円)、とした。
リスク
- 顧客、同社の研究開発計画の進捗に関するリスク。同社のビジネスは、顧客の自社商品の研究開発や生産を支援する事業を中心にしているため、業績はそれら顧客の開発品の開発スケジュールや生産計画に大きく依存する。顧客の研究計画が途中で中止・中断等になるリスクは常にあり、またそれは同社がコントロールできない。
- 大口取引先への依存によるリスク。取引上位10社の占める売上高の割合は68%となっている。これらの企業との取引条件の変更、契約解除あるいは取引先の製品の需要減退が発生した場合、同社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある。
- 自然災害、戦争、テロ等によるリスク。予期せぬ地震や風水害、戦争やテロ行為あるいは感染症等の発生により、同社や取引先等が深刻な被害を受けたり、さらにはこれらの要因から社会的混乱が発生した場合には、一定の事業活動が困難になり、同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
- 競合他社との関係に関するリスク。同社の競争相手は、医薬品原薬製造企業、化学品製造・開発企業、化学分野の研究受託企業等多岐にわたり存在し、研究開発から生産までの各々のステージで競合する。各ステージにおいては、技術力、生産能力等について同社と比較して優位にある企業もある。これら競合相手との競争次第では、同社の計画する経営成績に影響をきたす可能性がある。
所感
同社2023年3月期業績は、好調な受注・販売を背景に売上高が過去最高を更新した。同社事業は、研究・開発・量産とステージアップし、1つのテーマを大きく成長させるビジネスモデル。そのため、量産ステージの安定収益化を軸に開発・研究ステージを育てることが肝となる。足元は、受注規模が急拡大しており生産能力の引き上げが急務、2024年3月期は前期比2.8倍の30億円、2025年3月期は40億円の設備投資を計画している。総合化学・医薬品メーカー等の外部委託需要の増加等を背景に同社の更なる成長が期待される。
以上
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