概要
クリヤマホールディングス㈱(東証STD3355)は、2025年2月14日、自動車用ゴム・樹脂・金属製品、産業資材の製造並びに販売を手掛ける㈱ミトヨ(2024年3月期純資産5,072百万円、総資産11,674百万円、売上高10,480百万円、営業利益46百万円)の株式を取得し子会社化すると発表した。
狙い
- メーカー機能の強化と事業ポートフォリオの最適化:メーカー機能を更に強化することにより、クリヤマホールディングス、ミトヨ双方の取引先に対する企画・設計・開発段階からの提案力の向上、コスト競争力の強化が図られ、事業ポートフォリオの最適化を目指す。
- 尿素SCR関連商材における一気通貫での製造・販売:クリヤマホールディングスグループの㈱サンエーが製造する尿素水品質センサーからミトヨが製造する尿素タンクまで、一気通貫での製造を実現させる。
- 新規ホース製品等の開発・製造:建機・農機メーカーとの取引を強みとするクリヤマホールディングスと自動車部品・商用車メーカーとの取引を強みとするミトヨのノウハウを結集することにより、各種ゴム・樹脂製品、ホース等において新規製品の開発・製造を加速させる。
- スポーツ・建設資材事業での総合提案力の向上:クリヤマホールディングスの国際標準規格であるインドア・アウトドア用スポーツ床材、鉄道・商業等向けの自社オリジナルブランドの床材に、ミトヨの屋上遮断シート、ルーフファン、クールミスト等の「環境」、「省エネ」、「快適」関連製品が加わることにより、グループとしての総合提案力の向上を図る。
- 人財交流の促進と付加価値の創造:クリヤマホールディングスグループのクリヤマR&D㈱は、付加価値ある技術・製品・人財を生み出すグローバル横断の研究開発機関として、グループ全体の新製品・素材開発を担っている。クリヤマホールディングス及びミトヨ双方のエンジニアの人財交流を促進し、知識・経験の相互活用を図ることにより、技術・知財において、新しい付加価値を創造する。その他営業部門、管理部門においても、人財交流、ノウハウ共有により営業力強化、業務効率化等を図る。
- エリアの相互補完:クリヤマホールディングスは西日本(中国地方、関西地方)に製造・物流拠点を有し、ミトヨは国内では東日本(関東地方)や九州地方、海外ではタイに製造拠点を有している。双方の強みを活かすことで、効率的な生産体制の構築と物流の最適化を図る。
所感
クリヤマホールディングスは、産業資材事業において、幅広いゴム・樹脂製品に加え、尿素SCR関連商材を日系の建機・農機・商用車メーカーへ供給することで、確固たる信頼関係を構築している。特に、排ガス規制に対応する尿素SCR関連商材においては、2015 年、世界で初めて開発・商品化された熱伝導式の尿素水品質センサーの製造会社を買収する等、独自の強みを確立するとともに、メーカー機能を強化する戦略を推進している。また、スポーツ・建設資材事業では、人々の安全、快適、パフォーマンス向上に貢献するマルチな床材メーカーとして、国際標準規格のスポーツ床材、鉄道・商業施設等に使用される自社ブランドの製品を幅広く展開しており、施工までの一貫したサービスを提供できることを強みとしている。本件M&Aは、クリヤマホールディングスのソリューション強化に資するものであり、クリヤマホールディングスの更なる成長が期待される。
- 挑戦度☆☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
以上