概要
㈱SHIFT(東証PRM3697、2024年8月期純資産34,522百万円、総資産62,717百万円、売上高110,627百万円、営業利益10,537百万円)と、㈱メタリアル(東証GRT6182、2025年2月期純資産1,956百万円、総資産4,919百万円、売上高4,084百万円、営業利益117百万円)の両社が、業務提携したと仮定した場合に想定される具体的な提携効果について検討する。
SHIFTの事業内容
- ソフトウェアテスト・品質保証、コンサルティング・PMO、システム開発、IT戦略策定、性能改善、セキュリティ、カスタマーサポート、マーケティング支援、インフラ構築・自動化ツールのコンサルティング、生成AIを活用したサービスなど、幅広いITサービスを展開。
- 特に「Made in Japanの品質」を掲げ、ソフトウェア開発ライフサイクル全体を支援。
メタリアルの事業内容
- AI(人工知能)型機械翻訳・生成系AIサービス、専門文書AI・事業創出AI、Human Translation事業(翻訳・通訳・語学教育)、メタバース事業(AR/VR、3D空間サービス、建築デザイン向けサービス等)を展開。
- 業種分野特化・垂直統合型AIエージェントを強みに、日本企業のグローバル展開を支援。
想定される提携効果
- 高度なソフトウェアテスト×AI活用の強化:SHIFTのソフトウェアテスト・品質保証ノウハウと、メタリアルが有する専門文書AI・生成AI技術を融合することで、高度な業務知識が求められるエンタープライズ系テスト領域における仕様文書解析・テストケース自動生成の効率化が期待できる。
- グローバル市場向けサービス拡充:メタリアルの多言語AI翻訳技術とSHIFTの開発・品質保証・マーケティング支援を組み合わせることで、日本発ソフトウェア・サービスの多言語対応・現地最適化(ローカライゼーション)支援を強化。特に海外展開に挑む日本企業への付加価値提供が可能。
- メタバース分野での協業:メタリアルの「どこでもドア」などメタバースプラットフォームと、SHIFTのソフトウェア開発・UI/UX改善・品質保証ノウハウを融合し、法人向けメタバース活用サービス(仮想オフィス、建築設計支援、オンラインイベント等)の品質・付加価値向上を推進。
- AIコンサルティング力強化:メタリアルのAIプロフェッショナル人材とSHIFTのサービス提供力を連携させ、業種別AI活用支援、AI導入コンサルティングを強化。多様な顧客業種に対応可能な体制を構築。
- ㈱メディアドゥとの連携強化による翻訳・IPビジネス支援:SHIFTはすでに㈱メディアドゥと「海外における出版コンテンツ、翻訳、IPビジネス強化」を目的とした資本業務提携を進めているが、ここにメタリアルのAI翻訳・多言語対応技術を組み込むことで、コンテンツIPの海外展開支援力がさらに向上する。具体的には、日本由来コンテンツの電子書籍や映像コンテンツにおけるローカライゼーションの迅速化・品質向上が可能となり、メディアドゥがターゲットとする海外市場での販売促進、規模拡大を強力にバックアップできる。
所感
SHIFTとメタリアルの提携は、AI・ソフトウェア品質保証・多言語対応・メタバースといった次世代領域での相互補完的な関係性を築くだけでなく、SHIFTが推進するメディアドゥとの資本業務提携をより強化する意義も持つ。特に、日本由来コンテンツの海外展開という国策的テーマにおいて、翻訳・ローカライゼーション支援を中心とする三者連携は極めて戦略的であり、出版社やコンテンツIPホルダーに対する包括的ソリューションを可能とする。「日本発グローバルコンテンツ戦略の実現」に向けて、両社の今後の取り組みとアライアンス施策の実行が大いに注目される。
以上