東陽テクニカと新光商事|発想の業務提携M&A

概要

 ㈱東陽テクニカ(東証PRM8151、2024年9月期純資産28,127百万円、総資産39,134百万円、売上高35,042百万円、営業利益3,366百万円)と、新光商事㈱(東証PRM8141、2024年3月期純資産56,119百万円、総資産99,813百万円、売上高175,847百万円、営業利益4,878百万円)の両社が、業務提携したと仮定した場合に想定される具体的な提携効果について検討する。

東陽テクニカの事業内容
  • 各種計測に関連する製品・ソリューションの国内外への提供、自社オリジナル製品・ソリューションの開発、 これに付帯関連するサポート・保守・修理・校正。
  • 先進モビリティ(自動運転、eVTOL関連等)、脱炭素・エネルギー(次世代電池、水素関連等)、情報通信・情報セキュリティ、EMC・大型アンテナ、海洋・防衛、ソフトウェア開発支援、その他。
新光商事の事業内容
  • 集積回路・半導体素子等の電子部品、アセンブリ製品及び電子機器の販売、これらに関連する輸出入業務並びにこれらに付帯する事業。
  • 電子部品事業、アセンブリ事業、その他。
想定される提携効果
①自動車・モビリティ分野での具体的な提携効果
  • ADAS/自動運転技術の検証支援:東陽テクニカの精密な計測・試験技術を活かし、新光商事の自動車業界向け商流ネットワークを活用して、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術の開発支援を提供。
  • 車両データのリアルタイム解析ソリューション:東陽テクニカのデータ収集装置を新光商事が提供する通信インフラや車載部品と統合し、車両データの収集・解析の効率化を実現。
  • EV(電動車両)関連の検査装置展開:EV用バッテリーやモーターの性能検査装置を共同開発し、新光商事の流通網を活用して国内外の自動車メーカーへ普及促進。
②エネルギー分野での具体的な提携効果
  • 再生可能エネルギー分野の計測機器供給:東陽テクニカの高精度な計測機器を、新光商事が太陽光発電や風力発電関連のプロジェクトに組み込み、発電設備の効率向上を支援。
  • エネルギーマネジメントシステム(EMS)ソリューション:両社の技術とネットワークを融合させ、需要と供給を最適化するエネルギー管理システムを開発・提供。
  • 蓄電池性能試験機の共同開発と市場展開:再生可能エネルギーの普及に伴い重要性が増す蓄電池について、性能試験機を共同開発し、エネルギー関連業界に拡販。
③情報通信・ソフトウェア分野での具体的な提携効果
  • 5G/6G向け計測機器の共同展開:東陽テクニカの高周波計測技術を活用し、新光商事が持つ通信インフラ事業者とのつながりを通じて、5Gや6Gの導入を支援。
  • ネットワーク監視・分析システムの開発:東陽テクニカのデータ解析技術と新光商事のネットワーク運用ノウハウを組み合わせ、通信インフラの監視システムを開発。
  • クラウド連携によるソリューション提供:ソフトウェアとハードウェアを統合したサービスを共同開発し、IoTデバイスやクラウド基盤を活用したデータ活用モデルを提供。
④半導体・電子部品分野での具体的な提携効果
  • 半導体プロセス検査装置の強化:東陽テクニカの精密計測技術を半導体製造工程に導入し、新光商事の販売チャネルを通じてグローバル展開。
  • 高精度テストソリューションの提供:半導体や電子部品の動作検証を効率化するための共同ソリューションを開発。
  • 製造ラインの自動化・効率化:東陽テクニカのセンシング技術と新光商事の部品調達力を組み合わせて、製造現場の自動化支援を加速。
⑤その他
  • 研究開発の効率化と製品競争力の強化:両社が共同で研究開発を行うことによる、製品開発のスピードアップやコスト削減。特にIoT、5G、AIなどの先端技術分野で、双方のリソースを共有することで、競争力の高い製品やサービスの提供を加速。
  • 海外市場の拡大:新光商事の国際的な販売ネットワークを活用することで、東陽テクニカが海外市場での存在感を高める。また、新光商事も東陽テクニカの技術を武器に海外での事業領域を拡大。
  • サプライチェーンの効率化:両社の資材調達ルートや物流ネットワークを統合することで、コスト削減や供給の安定化を実現。
所感 

 仮に、東陽テクニカと新光商事の両社の提携が実現すれば、互いの強みを補完し合う形でのシナジーが大いに期待できる。東陽テクニカの高い技術力と新光商事の幅広い商流を掛け合わせることで、新規市場への進出やグローバル市場での競争力向上が実現。また、研究開発や製品提供のスピード感を高めることができるため、業界内でのポジションを強化するきっかけとなる。更に、本件提携が実現すれば、日本の産業界全体の競争力向上にも寄与することが期待される。東陽テクニカと新光商事の今後の戦略的な取り組みが大いに注目される。

以上

株価算定・企業価値評価で全国対応の三澤公認会計士事務所

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