概要
㈱ABEJA(東証GRT5574)は、2023年6月13日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。
事業内容
デジタルプラットフォーム事業(企業のDX推進を総合的に支援)。ABEJA Platformを核に、トランスフォーメーション領域で顧客のDXを推進し、オペレーション領域で様々なシステムを汎用的な仕組み・サービスとして提供。
トランスフォーメーション領域は、企業のDXニーズに対応したプロフェッショナルサービスを提供。DX推進に向けたコンサルティング、ビジネスプロセスにABEJA Platformを導入、AIシステムの構築、DXを推進する人材育成。
オペレーション領域は、ABEJA Platformを利用して顧客が業務推進。店舗の動線分析システム、来店者推定システム、画像判定システム、属性推定システム等。
強み
- ABEJA Platformは5つのモジュールレイヤーごとに、顧客の要望に応じた幅広いDXニーズに応えるソフトウェア群を有したプラットフォーム。顧客はプリセットされたモジュール群から、自社の課題に合わせてそれらを利用することが可能。300社以上に対するサービス提供実績と、その際に開発されたモジュール群が備わっているため、個別の検証を必要とせず安定した品質のソリューションを素早く提供できる。
- 最新のML(Machine Learning)ライブラリ、最新技術を用いたMLモデルなど、常に最新で最適な技術を利用可能。AutoMLをベースに本番適用できる先進的なシステム。フルマネージドサービスとして提供されているため、MLエンジニア以外の運用人員が不要。
- 過去の案件で実際に使われ、品質安定性について個別の検証を必要としないテスト済みのモジュールを利用可能。医療、金融、自治体でも実績あり。高いセキュリティシステムダウンが大規模事故につながるような案件での実装経験あり。
中期経営計画
2023年8月期の数値目標は、売上高2,767百万円(2022年8月期実績1,978百万円)、営業利益390百万円(同▲163百万円)、とした。
リスク
- 企業の景気動向による影響やその他の各種新技術に対する投資を受け、市場の成長ペースが大きく鈍化した場合は、同社の業績に影響を及ぼす可能性。
- 新規参入により競争が激化した場合は、同社の期待通りに顧客を獲得・維持できない可能性。
- 顧客企業に対してABEJA Platformの導入やインテグレーション(システム連携や実際の現場への施工)を行う場合、顧客企業の現行システムの状況などによってプロジェクト進捗が遅延する可能性。
- 先行的に研究開発費、広告宣伝費、人件費を投下し、研究開発と顧客企業獲得を進めることが必要なため、赤字を継続。
- 高度な技術を持つ人材の獲得競争は激化、社内における人材育成、外部からの優秀な人材の採用等が計画どおりに進まない場合には、同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性。
- 2022年8月時点で税務上の繰越欠損金が4,379,014千円存在。現在は通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられていない。
所感
同社デジタルプラットフォーム事業は、トランスフォーメーション、オペレーションの各領域で開発したモジュール、サービスフローがABEJA Platformに蓄積され、プラットフォームの価値を更に高めるという特性がある。今後は、優秀な人材の採用と育成を進め、顧客基盤の拡大と深耕によりサービス提供実績を積上げることができるかどうかが鍵となる。同社の今後の成長が期待される。
以上
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