ダイブが事業計画及び成長可能性に関する事項(2024年8月)を発表

概要

 ㈱ダイブ(東証GRT151A)は、2024年8月9日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。

事業内容

 観光HR事業は、リゾートバイト(日本全国のリゾート地に短期間移住し、従業員寮で生活しながら、勤務する働き方)に特化した人材サービスを提供しており、日本全国のリゾートホテルや旅館、飲食店・テーマパーク・レジャー施設・スキー場等のリゾート施設に対して、人材派遣及び人材紹介を行っている。

 地方創生事業は、全国5ヶ所でグランピング施設等の宿泊施設を運営している。集客については、同社が運営するグランピング施設等の専門サイト「GLAMPICKS」を活用して、いわゆるD2Cでの集客を行うことで集客にかかるコストを低減しているほか、同社の観光HR事業に登録している求職者に同社グランピング施設等の求人を案内することで採用コストの軽減を図っている。

強み
  • 観光HR事業:地⽅の観光業に特化した期間限定の住み込み勤務をターゲットとすることで差別化を図っている。就業前、観光施設と人材をデータベースをもとに、住み込み観光施設特有の項目に対応してDXマッチングさせることでミスマッチを減少させ、就業者の早期退職を未然に防止。就業期間中、観光施設・人材に対してカスタマーサクセスを実施することで、就業期間の満了・期間延長へと伴走し、就業期間の延伸を図る。一般的な人材派遣よりもオペレーションが複雑であるため、オペレーションDXにより事務手続きの省人化と効率化が図れるため参入障壁を構築している。観光業人材市場について、日本は観光開発指数ランキング世界3位であり、長期的に訪日外国人旅行客の増加が見込まれるなど、宿泊施設の建設ラッシュが続く。観光業においては、接客全般、レストラン、調理、客室清掃など無人化・省人化に限度がある業務があり、人材需要は継続すると予測。
  • 地方創生事業:グランピング施設「ザランタン」は、自然体公立施設の既存設備・遊休地を活用し、初期投資を大幅に抑制しており、かつ、投資価値の大きな開発案件を厳選し、その後の安定した運営を意識した企画開発を行っている。また、同社メディアによる100%集客によって広告宣伝費の抑制を可能としている。さらに、観光HR事業と連携し、繁忙期・閑散期で人材を流動化。国産人件費を抑制しており、全アルバイトスタッフのうち48.9%が、観光HR事業経由で採用、活躍している。以上の3つのコスト優位性により、1泊2食体験付き1.3万円/人前後で泊まれるカジュアルな価格帯でありながら、高い営業利益率と顧客満足度を誇る。
中期経営計画

 2025年6月期の数値目標は、売上高14,600百万円(2024年6月期実績12,363百万円)、営業利益803百万円(同542百万円)、とした。

リスク
  • 派遣スタッフの確保について:事業を展開するうえで、派遣スタッフの安定的な確保が重要な課題であり、人材の確保が当社の意図したとおりに進まなかった場合は、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
  • 新型コロナウイルス感染症及び新たな感染症について:新型コロナウイルス感染症を含めた感染症が発生し緊急事態宣言や行動制限等が発令され、同社取引先の宿泊施設が営業困難となるか人材需要が低迷することが想定される。また、地方創生事業において同社施設の営業が困難となった場合も、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
  • 大規模自然災害、事故等について:大規模な自然災害が発生し、同社取引先の宿泊施設等が営業困難となった場合は人材需要が低迷することが想定される。また、地方創生事業において同社施設の営業が困難となった場合も、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
  • 法的規制について:労働者派遣業の許可が消された場合や、関係法令の改正内容によっては、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
  • 食品の衛生管理について:同社が運営する宿泊施設において提供した料理(食材等)により、宿泊者が食中毒を発症した場合、営業許可の取消やブランドイメージの棄損により、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
  • システムトラブルについて:同社が運営する観光HR事業では、同社システムと他社サービス(LINE等)とのシステム連携により、システム化及び省人化を図っているが、大規模なプログラミング不具合や自然災害、不正アクセス、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等が発生する可能性があり、システムトラブルが発生した場合には一時的に業務が滞る等の事業活動に影響が生じ、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性がある。 固定資産の減損について:同社の保有する固定資産は、その取得にあたって事前に必要性や収益性を十分に検証した上で決定している。しかし経営や経済状況の変化や減損損失等の発生により、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
M&Aニーズ
  • サービス・事業領域の拡大
  • 外国人人材の獲得強化
  • ホテル
所感

 同社は、長年観光HR事業にて観光人材データベースとITノウハウに関するアセットを蓄え、2019年には地方創生事業を開始。観光市場の拡大を追い風に、積極的な投資により成長を加速させている。地方創生事業は、市場シェア率の増加を図るための規模拡大を優先しており、新規施設開業費用、WebメディアやWEBシステムの開発費、人材への投資が先行しており営業赤字となっている。旺盛な人材需要を追い風に観光HR事業が好調であり、全社としても売上高及び営業利益は過去最高を更新している。また、足元では、宿泊業特化の研修事業を行う企業のM&Aや、外国人人材確保のための諸外国諸機関との提携を進めている。成長戦略として、非観光地のホテル事業への進出計画も進めており、同社の今後のM&A及びアライアンス政策が注目される。

  • 挑戦度☆☆☆
  • 戦略度☆☆☆
  • 期待度☆☆☆

2024年6月期 通期決算説明資料(事業計画及び成長可能性に関する事項)

以上

株価算定・企業価値評価で全国対応の三澤公認会計士事務所

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