概要
エーザイ㈱（東証PRM4523）は、2025年3月14日、睡眠・生活習慣ビッグデータ解析による健康状態の推移を予測するAIアルゴリズム開発、睡眠解析技術とセンサフュージョン技術を駆使した見守りシステム提供、自社開発によるソフトウェア・ハードウェアに独自のAIアルゴリズムを実装することで実現した各種ソリューション提供を手掛けるエコナビスタ㈱（東証GRT5585、2024年10月期純資産3,272百万円、総資産3,486百万円、売上高1,351百万円、営業利益469百万円）を完全子会社化することを目的とする一連の取引の一環として、エコナビスタの普通株式及び新株予約権を公開買付けにより取得することを決定したと発表した。
狙い
- エーザイの顧客接点を活用した「ライフリズムナビ+Dr.」の普及拡大：エーザイがこれまで築いてきた全国の病院及びそのグループ病院の経営層への紹介を通じた病院及び病院傘下の高齢者施設への「ライフリズムナビ+Dr.」（エコナビスタサービス）の拡販を目指す。
- エコナビスタの顧客接点を活用した MCI（軽度認知障害)・認知症の予防や早期受診につながるパスウェイ構築：「ライフリズムナビ+Dr.」を利用されている方にエコナビスタの認知症予測 AI 及びエーザイの「のう KNOW」を用いて、リスクを可視化し、医療機関への受診を促すパスウェイ構築を図る。パスウェイ構築を全国展開することにより、エコナビスタの「ライフリズムナビ+Dr.」の付加価値向上に加え、日本における未診断の MCI・認知症当事者様の早期受診・診断・治療の促進・拡大と、エーザイ開発のアルツハイマー型認知症治療薬等の拡大を目指す。
- 在宅向け「ライフリズムナビ」による在宅介護市場への貢献拡大：患者のみならず一人ひとり生活者向け事業の構築を進めており、エコナビスタの在宅向け「ライフリズムナビ」（利用者の睡眠状況の把握、室内環境の確認等）を中心に、市場開拓並びに市場創造を両社で一体となって実現を目指す。エーザイのブランド力、資本力、在宅医療を提供している医師・自治体との接点を活かすことで、在宅向け「ライフリズムナビ」の普及拡大を目指す。
- 蓄積したデータを活用した新たなソリューション・サービスの開発・提供：エコナビスタの「ライフリズムナビ+Dr.」を通じて蓄積したデータとエーザイが蓄積したデータを活用することで、MCI・認知症の課題解決に繋がる新たなソリューションの開発や、睡眠データを活用した不眠症・てんかん等に貢献できるソリューションの開発等、複数の疾患領域で新たなサービスの提供を図る。また、様々な疾患の発症及び進行に関する予測モデルの構築は、AIの貢献により検討が急速に進んでおり、認知症領域においても医療データに加えて日常生活から得られるデータを蓄積し、次世代の創薬と新たな治療体系の考案に活かす。
所感
エーザイは、中期経営計画において、「患者のみならず生活者一人ひとりの“生ききる”を支える」をビジョンに掲げ、最も強みを持つニューロロジー（神経)領域とオンコロジー領域を中核として、認知症領域やがん領域を中心に、医療用医薬品、一般用医薬品等の研究開発・製造・販売を展開。本件M&Aは、エーザイが保有するデータを利活用することで、一般生活者から認知症当事者・家族へ適切なサービス等を提供する「認知症プラットフォーム」の構築を強力に推進する取り組みであり、認知症領域における課題解決を図るとともに、エーザイの今後の成長を加速させる戦略的施策として注目される。
- 挑戦度☆☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
エーザイ株式会社によるエコナビスタ株式会社株券等（証券コード 5585）に対する公開買付けの開始に関するお知らせ（概要版)
以上
