概要
㈱日立製作所(東証PRM6501)は、2025年4月28日、2028年3月期を最終年度とする3か年の新経営計画「Inspire2027」を発表した。
2028年3月期の数値目標は、売上収益CAGR7~9%(2025年3月期実績8%)、Adj. EBITA(調整後営業利益+買収に伴う無形資産等の償却費)率13~15%(同11.1%)、キャッシュフローコンバージョン(コアFCF/当期利益)90%超(同83%)、ROIC12~13%(同10.9%)、とした。
施策
- Lumada3.0への進化:日立のドメインナレッジで強化したAIでLumada3.0へ進化(Lumada:顧客データから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するためのデジタル技術を活用したソリューション、サービス、テクノロージーの総称)。ドメインナレッジとAIで強化したLumadaで、拡大するインストールベースから価値を創出。鉄道のドメインナレッジとAIを掛け合わせ、車両・鉄道インフラの資産効率を向上。
- Lumada投資の強化と事業ポートフォリオ改革:ドメインナレッジを学習した特化型LLM開発、他社インストールベースへの接続性強化、主力4事業におけるM&Aを通じたサービス事業強化。成長性・収益性向上が見込めない事業の整理も実施。
- エナジー事業の強化:デジタルによる生産効率向上とパートナーシップによる生産能力増強、HMAX(NVIDIA AI テクノロジーを搭載したデジタルアセットマネジメントサービス) for EnergyによりO&Mサービスを革新とカナダ初号機を足掛かりとしたSMRのグローバル展開。
- モビリティ事業の強化:デジタルによる生産効率向上と地産地消の拡大、HMAXによるサービス事業のグローバル展開、AIによる運行最適化等サービス事業を鉄道インフラ全体に拡大。
- コネクティブインダストリーズ事業の強化:産業オートメーション領域におけるサービス・ソリューションの整備、グローバル成長へ向けた規律あるインオーガニック投資の実行、HMAX for IndustryによるO&Mサービスの革新。
- デジタルシステム&サービス事業の強化:グローバルではGlobal Logicを中核にグローバルDX事業を拡大、日本国内では良質な大規模ミッションクリティカルSI案件と関連するDX案件の獲得、デジタルを全セクターへ供給し、全社Lumada事業をけん引。
- 戦略SIB(Social Innovation Business):CEO直下にOne Hitachi体制を構築し、データセンター、eMobility、スマートシティ、ヘルスケアといった新領域での事業創出に注力。R&Dによる持続的イノベーション創出、コーポレートベンチャー等エコシステム活用も推進。
- データセンター戦略:日立の総合力を結集し、データセンターのトータルインテグレーションに取り組む。ソリューションとドメインナレッジの高度化を図る。
所感
日立製作所は、新経営計画「Inspire 2027」において、目指す姿を「環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献し、持続的に成長」と定義。その実現に向け、同社は、主力4事業(デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズ)をグローバル6極(米州、EMEA、APAC、インド、日本、中国)で展開し成長事業創出を目指す。本計画の中核をなすのは、Lumada事業の進化と深化であり、これまで培ってきたドメインナレッジとAIを融合することで、インフラや産業機器等の「現場」に根差したデジタル価値創出を加速させる。また、特化型LLMなど独自技術の開発を含むDX投資や、M&Aによる外部リソースの積極活用も強化、イノベーション創出と事業基盤強化を同時に進める。一方で、成長が見込めない事業の選別や撤退も進めるなど、ポートフォリオ改革による「選択と集中」も加速。同社の今後の取り組み実行が注目される。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆
以上