概要
サイバートラスト㈱(東証GRT4498)は、2024年6月17日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。
事業内容
- 認証セキュリティ(電子認証の専門性、国内電子認証局の運用、オンラインでの本人認証)とLinux/OSSの技術(専門性、ITインフラを支えるLinux提供、専門OSの長期サポート)を組み合わせることにより、DXの課題解決に向けた独自のトラストサービスを提供。
- 認証セキュリティサービスにおいて、デジタル社会の身分証である電子証明書、電子的本人確認・電子署名などのトラストサービスを提供。
- Linux/OSSサービスは、OS上にアプリケーションシステムを構築する一般的なSIerと異なり、Linuxカーネルに必要な機能を組み合わせ、Linuxディストリビューションとして提供・サポート。
- IoTサービスでは、IoT機器向けLinux OSの提供から、認証、ライフサイクル管理までを提供。IoT機器の安全性を担保、真正性を認証し長期のライフサイクル管理を提供し、 OTAアップデート、セキュアブートなどクラウド環境で必要なサイバーセキュリティ対策を網羅。
強み
- 認証セキュリティサービスとOSS/Linuxサービスの双方において、専門的な技術力と国内運営体制。
- 認証セキュリティサービスにおいては、PKI・暗号技術に詳しい開発者を抱え、自社サービスに関わるシステム、ツール、ライブラリ等を設計・開発。また、国内で技術・サポート体制を保有し、国内で運用・審査が完結。OSS/Linuxサービスにおいては、カーネル等高度なLinux専門知識を有し、グローバルのOSSコミュニティへ参加し、安全で信頼性の高いオープンソース基盤の開発・普及を推進。同様に、国内で技術・サポート体制を保有し、OSSコミュニティと連携。
- 認証セキュリティサービスとOSS/Linuxサービスの組み合わせにより、セキュリティと組込みのエンジニア協同で、IoTサービスを開発・提供。
中期経営計画
2025年3月期の数値目標は、売上高7,200百万円(2024年3月期実績6,400百万円)、営業利益1,300百万円(同1,110百万円)、とした。
リスク
- 同社のサーバー証明書はセコムトラストシステムズのルート認証局を用いて提供しているが、セコムとの関係に大きな変化が生じ、セコムのサービス提供が損なわれた場合は代替手段の確保等が必要となる。
- 同社が、Verizon Australia Pty Limitedからライセンスを受けている「Cybertrust」ブランドおよび電子認証局ソフトウェアUniCertについて、Verizonとの関係に大きな変化が生じるなどにより使用できなくなる。
- 認証サービスでは、グローバル・スタンダードなセキュリティ監査である「WebTrust」に毎年合格し、堅牢な運用を行っているが、「WebTrust」に合格できない場合、証明書発行業務が制約を受ける可能性がある。
- 同社は、リカーリングサービスであるEMLinux、SIOTP導入に向けた組込受託開発案件の獲得、遂行に注力している。経済安全保障に関わる各国の基準・法規制の状況に変化が生じた場合の案件獲得状況に影響が生じる可能性がある。
所感
同社は、中期経営計画において、成長する組織と人材育成、新規市場の立ち上げとフォーカス、将来に向けた研究開発、グローバル展開、システム安定稼働品質確保、の5つを重要5テーマとし、ビジネスモデルの強化等を進めている。足元は、CentOS延長サポート新規大型案件の失注、IoTサービス受託開発案件の協業パートナー開拓遅れによる失注、M&A等の取り組みの不調などから売上高、営業利益目標を下方修正しているが、同社のリカーリング収益は拡大しており、同社の今後の展開が注目される。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆
- 期待度☆☆
以上