概要
㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ(東証PRM8306)は、2024年11月29日、ロボアドバイザーを活用した全自動の資産運用サービスを手掛けるウェルスナビ㈱(東証GRT7342、2023年12月期純資産12,158百万円、総資産32,237百万円、営業収益8,167百万円、営業利益523百万円)を非公開化(完全子会社化)することを目的とする一連の取引の一環として、ウェルスナビの普通株式及び新株予約権を公開買付けにより取得することを決定したと発表した。
狙い
- MAP(Money Advisory Platform)の検討加速・顧客体験(UI/UX)等の充実化:ウェルスナビが三菱UFJフィナンシャル・グループの完全子会社となり、一体となって事業展開を行うことで、中長期的な視点に立った戦略的意思決定を迅速に行うことができ、MAPの検討・開発を加速させる。また、三菱UFJフィナンシャル・グループとウェルスナビがより一層強固な関係性となることで、MAPは、MUFGグループの有する広範な顧客情報との連携やMUFGが先端AI開発企業への出資や他社とのアライアンス強化によって獲得するAI・デジタル領域での技術や知見の活用による機能向上が期待される。さらには、三菱UFJフィナンシャル・グループの商品・サービスに留まらず、保険や年金等を含めて、MUFGグループ各社の多種多様な商品・サービスの搭載が一層推進されることで、顧客体験の充実化を図る。
- 資産運用機能の拡充、及びMUFGブランド活用による認知度の向上:ウェルスナビが三菱UFJフィナンシャル・グループの完全子会社となることで、顧客体験に優れたロボアドバイザーサービスがMUFGの運用商品ラインナップに追加されるため、資産運用機能の拡充が可能になる。加えて、これまでも三菱UFJフィナンシャル・グループとウェルスナビとで各種キャンペーン等の協働施策を実施してきたが、今後は、MUFGブランド活用によるウェルスナビのブランドイメージの確立、認知度・企業イメージの更なる向上が見込まれ、共通ブランドイメージを構築した上でのキャンペーン実施が可能になる。その結果として、クロスセルの強化やインターネットバンキング等のMUFGの各種サービスからロボアドバイザーサービスに対する送客拡大が期待できる。
- auカブコム証券とのノウハウ相互提供によるネット証券戦略の強化:auカブコム証券は「セルフトレード」ニーズに、ウェルスナビは「お任せ運用」ニーズに応え、MAPにおいて「セルフトレード」ニーズを有する顧客や富裕層についてはauカブコム証券に連携するなど、顧客体験の観点から両社のサービス連携をより強化することを検討する。また、ウェルスナビの独自の経営手法のauカブコム証券への提供、auカブコム証券が長年培ってきたガバナンス・コンプライアンス知見のウェルスナビへの提供など、ノウハウの相互共有も可能になると考えており、今後、両社の強みを活かしながらMUFGのネット証券戦略の強化を目指す。
- ウェルスナビの経営手法・ノウハウの活用:ウェルスナビは、自律的なプロダクトサイクルを高速で回転させ、顧客体験や提供価値の最大化を実現する独自の経営手法を確立している。具体的には、ウェルスナビの提供するロボアドバイザーサービス「WealthNavi(ウェルスナビ)」では、2016年7月のサービス提供開始以降、新機能を継続してリリースし、2021年2月にはNISA口座において自動でおまかせの資産運用を行う「おまかせNISA」の提供を開始、2024年1月から始まった新しいNISA制度にも全面対応している。また、オンラインで完結、リスク許容度を選択するだけで分散投資が可能、シンプルな手数料体系など顧客視点を徹底した顧客体験を提供している。三菱UFJフィナンシャル・グループは、ウェルスナビを完全子会社とすることで、経営手法・ノウハウを最大限活用できることに加え、バックグラウンドの異なる多様な人材の相互交流による組織活性化及び人材育成を目指す。
所感
三菱UFJフィナンシャル・グループは、データ基盤の強化やグループ各社のアプリケーションの統合などを通じて、顧客の年齢・家族構成・購買履歴といったデータを収集し、アルゴリズムを介して顧客一人ひとりのライフイベントに合わせた最適なアドバイスを提供するサービスを実現し、顧客の生涯をMUFGグループとして支えていくことでライフタイムバリューの向上を目指している。本件M&Aは、三菱UFJフィナンシャル・グループが掲げるMAP構想の実現に資する戦略的M&Aであり、今後の取り組みが注目される。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆☆
- 期待度☆☆☆
株式会社三菱 UFJ 銀行によるウェルスナビ株式会社(証券コード:7342)の株券等に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
以上