概要
信越ポリマー㈱(東証PRM7970)は、2023年5月10日、2028年3月期を最終年度とする5か年の中期経営計画「Shin-Etsu Polymer Global & Growth 2027」を発表した。同社は、ビジネス環境の急激な変化に適切に対応し、全てのステークホルダーとのより強固な信頼関係を構築するとともに、同社の経営理念である「技術と製品を通じて社会と産業の発展に貢献し、社会とともに成長し続ける」ことを目指す。
2028年3月期の数値目標は、売上高1,500億円(2023年3月期実績1,082億円)、経常利益200億円(同129億円)、ROE10%強(同8.6%)、配当性向~50%(同36.0%)、とした。
施策
- 電子デバイス事業:入力デバイスはキースイッチやタッチスイッチなど自動車用途を中心に継続的に市場シェア維持・拡大(基盤領域)。カーボンニュートラルに向けたEV向け車載デバイスや自動運転向けの車載デバイスの需要を取り込む(成長領域)。
- 精密成形品事業:OA機器用部品は、シリコーンの配合技術や発泡技術を活かし、市場シェアの拡大により収益を拡大(基盤領域)。通信ネットワークの高度化と仮想空間を支える最先端の半導体やパワーデバイスに対応した半導体関連製品を提供(成長領域)。医療の高度化に対応し、医療機器・医薬品向けに押出し技術を活用した部品等を拡販(成長領域)。
- 住環境・生活資材事業:包装材料は配合技術を活かし、抗菌化やカラー化などの特色ある製品によりシェアを拡大(基盤領域)。機能性コンパウンドは独自開発の機能性素材を活かし、自動車用やケーブル被覆用でシェアを拡大(基盤領域)。バッテリーマネージメントに関連した熱対策製品とパワーマネージメントに関連した電子部品向け素材系製品の拡充(成長領域)。
- 海外は重要な成長市場であり、販売及び製造拠点の拡大を継続し、海外売上比率を60%以上を目指す。
所感
同社は、本中期経営計画期間中に660億円の設備投資・戦略投資を予定しており、具体的には、半導体関連製品260億円、EV関連製品90億円、機能性材料60億円、戦略投資・M&A150億円等、成長領域及びシナジーの見込める領域への積極な投資を計画している。同社成長の鍵は、既存事業領域やその周辺事業領域、成長を望める分野における新事業の創出にある。同社の基礎技術である、機能性樹脂の配合技術、複合化、精密・微細加工技術等をより強化し、AIやシミュレーションを駆使したスピード感ある開発によって、新規テーマの発掘と、特に自動車・半導体分野における次世代の事業拡大が期待される。海外売上比率の上昇含め、今後の同社のグローバルでの飛躍が注目される。
信越ポリマー中期経営計画「Shin-Etsu Polymer Global & Growth 2027」の策定に関するお知らせ
以上
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