積水化学工業が中期経営計画「Drive2.0」を発表

概要

 積水化学工業㈱(東証PRM4204)は、2023年5月23日、2026年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画「Drive2.0」を発表した。

 2026年3月期の数値目標は、売上高14,100億円(2023年3月期実績12,425億円)、海外売上高4,800億円(同3,750億円)、営業利益1,150億円(同916億円)、営業利益率8.2%(同7.4%)、ROIC8.5%(同7.6%)、ROE11.0%(同10.0%)、とした。

施策
  • 住宅事業:住宅は収益性改善に注⼒。売上棟数増(22年度⽐+300棟)に向け、分譲・建売拡販、商品競争⼒向上に注⼒。市場成熟化の加速を想定、⻑期的な事業・⽣産体制の最適化を推進し、収益性改善図る。リフォーム・不動産・まちづくりは業容拡大を牽引。フロンティア領域(外販リフォーム、買取再販・アセット事業、集合住宅リフォーム、25年度販売プロジェクト(仕入済)の進捗管理、25年度以降に向けた仕込み・専任担当者の増員、ルート開拓、新領域探索)中⼼に経営資源を積極投入、事業間・社外との融合を推進し、業容拡大を図る。
  • 環境・ライフライン事業:重点拡大製品の拡販と海外売上増による「数量・構成」増、「売値」維持によるスプレッド確保。建築、プラント配管材の新製品を軸にした拡販、塩素化塩ビコンパウンドの新規顧客拡大、基盤事業の新用途拡大。耐火材料の新製品による新市場創出、FFUまくらぎ用途の海外展開加速、大型高排⽔システムでの非住宅領域拡大、介護用浴槽、高機能浴槽の拡販。管路更⽣新製品によるオンリーワン市場拡大、海外新規顧客開拓を推進、機能タンク、⽔処理システム拡大。
  • 高機能プラスチックス事業:成⻑への仕込みや人的資本投資増による固定費増も、新戦略3分野拡大による「数量・構成」増とスプレッド確保により、大幅増収増益を計画。エレクトロニクスは非液晶分野拡大に注⼒。半導体⼯程用テープ、MLCC用バインダー樹脂、ビルドアップフィルム(層間絶縁)拡販、バイオ製品群拡販、次世代ディスプレイOLED向け拡販。モビリティは高付加価値品拡販、航空機向け需要増、Aerospace社収益改善により成⻑牽引。中間膜HUD用/熱系/デザイン系拡大、HUD用130%超伸⻑(22→25年)、放熱材料欧⽶中⼼にEV向け拡販加速、Aerospace社24年度⿊字化。インダストリアルは収益基盤強化。省⼒化/環境対応製品拡大、成型品クリーン容器(環境対応)拡販、センシングデバイス介護・臨床領域へ拡大、汎用品の収益⼒強化。
  • メディカル事業:検査国内は、凝固は新⾎液凝固機器投入および拡販、免疫は社外融合により高感度領域へ参入、糖尿はアライアンス拡大。検査海外は、欧⽶はOTC市場参入・⾃社「遺伝子検査」製品上市領域拡大により成⻑牽引、中国は国産化対応推進アライアンス強化、アジアはPCR新製品上市POC・凝固参入。医薬はマーケティング機能強化による新規大型案件獲得、酵素は英国GMP施設本格稼働によるCDMO事業拡大。コア技術強化および新規技術獲得により計画的な新製品の上市を目指す。
所感

 同社は、現有事業(全33業種)を収益性(営業利益率)、資本効率性(ROIC)、成長性(売上高成長率)、戦略上の位置付け、業界ポジション、将来性、ESG観点での競争力など複数の観点から分析、評価。高機能中間膜、放熱材、半導体・ディスプレイ材料、管路更生、耐火・不燃材料、建築・プラント配管材、鉄道枕木、海外検査システム、まちづくり、不動産(買取再販など)、成型品・センシング、医療(CDMO)、に経営資源を重点的に配分。本中期経営計画では、これらの事業で利益増分(EBITDA)の 90%以上の創出を図る。また、ペロブスカイト太陽電池、バイオリファイナリー、航空機分野展開、次世代通信部材、スマートシティ戦略、インフラ材海外展開、医薬CDMO新領域、の7つの主要テーマを、コア技術をベースに社内外との融合やM&Aも活用して事業化フェーズへ移行させ、事業基盤の早期確立、業績貢献を目指す。同社2023年3月期業績は、売上高、経常利益、当期純利益ともに過去最高を更新。今後の同社成長戦略への挑戦に伴って、同社の更なる飛躍が期待される。

中期経営計画説明会(2023-2025)

以上

株価算定・企業価値評価で全国対応の三澤公認会計士事務所

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