概要
㈱エアークローゼット(東証GRT9557)は、2023年8月29日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。
事業内容
⾃らの好みやサイズ等を登録した上で、パーソナライズされたレンタルアイテム(プロのスタイリストが選定した洋服が届く)を受け取り、返却期限やクリーニングを気にすることなく楽しみ、返却するというサービス。気に入った洋服は買取りが可能。
強み
- 循環型プラットフォームを構築するため、創業時から社内に物流専門チームを設置し、協力会社と共に専用物流倉庫/専用クリーニング工場による独⾃システムや独⾃オペレーションを構築。
- 創業以来、実現困難と言われたファッションレンタル事業の収益化のため、「個品管理が可能なWMS」などを含む独⾃開発した循環型の物流プラットフォーム「AC-PORT」を改善。オペレーションも徹底して効率化を継続。
- 一貫して弊社の物流専門チームが主導し、物流関連機能のアップデートを実施。将来的には、プラットフォームとして他社への展開も可能。また、フェーズ5では分散している機能の集約により、輸送コストの低減などを企図。
- 継続的なオペレーションの効率化を推進し、1配送当たりのオペレーションコストの削減に成功。限界利益の増加に大きく寄与。
- ファッションの要素に加え、「タイパ」「コスパ」「サステナブル」への関心が強い方が中心となった顧客層。サブスク型の月額会員のみならず、airClosetの潜在層としての無料会員、airCloset Mall、Disney FASHION CLOSETにより将来的な広がりの基盤も構築。
- 2023年6月末で無料会員100万人超、月額会員3万3千人と、着実に成⻑。月額会員数の推移には季節性が存在。中期では月額会員数は、無料会員数の推移に回帰していく傾向。
- 利用期間6ヶ月超利用者(ロイヤルユーザー)の月次継続率は継続して94%超。安定した成⻑の基盤を構築。
- IT・データ活用を得意とする経営陣を中心に、テクノロジーが積極的に活用される体制を整備。システム構築等を内製化することで、高速な対応を実現。
- パーソナルスタイリング×レンタルという新しいサービスを提供するためのシステムは内製化。当該システムを中心としたオペレーションを構築し、2つの特許を取得。
- サービスを運営する中で、他にない多量のデータを収集。相互に関係しあうデータの分析・解析を行い、サービス改善、コラボレーションに活用。
- 様々な指標をデータ化しサービス品質の向上にむけたPDCAサイクルに活用。AI活用によるUX(顧客体験)向上・効率化も図る。
中期経営計画
2024年6月期の数値目標は、売上高3,926百万円(2023年6月期実績3,740百万円)、営業利益▲97百万円(同▲188百万円)、とした。
リスク
- 原材料価格の上昇や円安の進行等など様々な要因により、同社が仕入れを行っているアパレル商品の仕入コストの上昇等が発生した場合には、同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
- 同社は物流業務を外部の専門業者に委託しておりますが、原油価格や為替レートの変動により燃料費が高騰した場合や、物流業界における2024年問題の影響等により人件費が高騰した場合に物流コストが上昇し、同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
- 同社事業において重要なKPIに定めている月額会員数について、不測の事態が生じた場合に新規会員獲得が計画通りに実現できない可能性がある。また、計画以上に既存会員の減少が発生した場合、同社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性がある。
- 関連市場の拡大に伴い、各ブランド自身によるパーソナルスタイリング・ファッションレンタル事業の展開、競合他社による新たな付加価値サービスの提供等がなされる可能性がある。
- 同社事業は、個人情報や機密情報が含まれているデータ等を取り扱っている。万が一、こうしたデータの情報漏洩、改ざん、または不正使用等が生じた場合、もしくは何らかの要因からこれらの問題が発生した場合には、顧客への損害賠償やサービスに対する信頼性の低下などにより、同社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼすことがある重要なリスクと認識しているが、顕在化する可能性は高くないと認識している。
- 同社は、固定資産の減損に係る会計基準に従い、定期的に保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し、減損損失の認識・測定を行っている。経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、対象となる資産に減損損失を計上する必要が生じた場合、同社の業績等に影響を及ぼす可能性がある。
- 同社はユーザーとの接点についてインターネットサイトやスマートフォンアプリを主たる方法として採用しており、事業の安定的な運用のためのシステム強化及びセキュリティ対策を行っている。しかしながら、地震、火災等の自然災害、事故、停電など予期せぬ事象の発生によって、同社設備又は通信ネットワークに障害が発生した場合には、同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、同社のサービスは外部クラウドサーバAmazon Web Service社が提供するサービス(以下、「AWS」という。)を利用して提供しており、AWSの安定的な稼働が当社の事業運営上、重要な事項となっている。これまでのところ、同社においてAWSに起因する重大なサービスの停止やトラブル等は起こっていないが、システムエラーや人為的な破壊行為、自然災害等の同社の想定していない事象の発生によりAWSが停止した場合には、顧客への損害の発生やサービスに対する信頼性の低下などにより、同社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある。
所感
同社は、会員獲得効率改善、事業領域拡大(年齢層・課金形態)、airCloset Mall拡大(男性利用有)、データ収集・最新技術研究等を進め、成長基盤を確立する。中期的には、プライシング改善、メンズ等他セグメント・海外展開、M&Aによる基盤強化、オフショア開発体制構築等によって、同社の更なる飛躍が期待される。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆
- 期待度☆☆
以上
株価算定・企業価値評価で全国対応の三澤公認会計士事務所