概要
㈱アイリッジ(東証GRT3917)は、2023年6月28日、事業計画及び成長可能性に関する事項を発表した。
事業内容
OMO事業(「FANSHIP」、「APPBOX(アップボックス)」を活用したアプリ開発(スクラッチ・パッケージいずれも含む)及びOMO(Online Merges with Offline)ソリューションを軸に、企業と顧客間のコミュニケーションや顧客エンゲージメントを高めるためのサービスを提供)、フィンテック事業(デジタル地域通貨プラットフォーム、クラウド型工数管理サービス、対面サービスDX)。
強み
- 戦略・企画の策定からアプリ開発、グロースまで一気通貫で支援。また、オフライン、オンラインの垣根を越えた支援に加え、自社開発のSaaS型プロダクトを併せて提供。アプリ開発とマーケティングツールの両方を提供して相乗効果を出すことができる。
- 経験値・スキルの高いエンジニア、プロジェクトマネージャー(PM)、デザイナーを100人以上抱え、大型、高機能、最先端のアプリスクラッチ開発の支援から自社プロダクトの開発まで行う。
中期経営計画
2026年3月期の数値目標は、売上高133億円(2023年月期実績54億円)、とした。
リスク
- 今後とも、オンラインマーケティング(デジタルマーケティング)関連市場は拡大することが見込まれる。このような環境の中で、同社グループは、オンラインマーケティング(デジタルマーケティング)とイベントや店舗集客促進等のオフラインマーケティング(リアルプロモーション)の融合を進め、競争力の向上を図り、さらなる成長を図る。しかしながら、他社との競争の激化、新たなビジネスモデルの登場、予期せぬ要因によって市場構造が変化するような状況が生じた場合や市場競争力が低下する場合等には、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性がある。同社グループのマーケティング支援先は、小売、運輸、メーカー、通信事業者、金融等、多岐にわたるが、景気後退や消費低迷等により顧客企業のマーケティング予算が削減された場合には、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性がある。
- 同社グループは、案件の採算性等に留意しプロジェクト管理を行っているが、当初適正な採算が見込まれると判断した案件であっても、プロジェクト管理の問題及び仕様変更に伴う作業工数の増加等の理由により、想定以上のコストが発生する場合やそれに伴い仕掛品の評価減、引当の計上が必要となる場合、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性がある。また、開発業務における収益の認識は、見積総原価を用いたインプット法を適用している。同社グループは、見積総原価の見積精度を高めるよう取り組んでいるが、契約ごとに個別性が高く、顧客と合意した要求仕様に対応する工数・外注費等に基づき算定しているため、顧客要望の追加または変更により当初の見積以上の費用が発生する場合、また、仕様変更の追加または変更等により、見積総原価の見直しが必要となった場合には、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性がある。
- 同社グループでは、市場競争力を強化・維持するためソフトウエアへの投資を進めており、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた開発費用をソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)として資産計上している。このソフトウエアについて、重大な将来計画、使用状況等の変更やサービスの陳腐化等により、収益獲得又は費用削減効果が大幅に損なわれ、ソフトウエアの減損が必要となる場合、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性がある。
- 同社グループでは、デジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」やクラウド型工数管理サービス「Co-Assign」等の新規事業もしくは新サービスを展開しており、今後も事業規模の拡大及び収益基盤の強化のため、新サービスもしくは新規事業の展開に積極的に取り組んでいくが、これにより、人材の採用やシステム開発等の追加的な投資が発生し、安定的な収益を生み出すには時間を要することがある。また、新サービス、新規事業の展開が当初の計画どおりに進まない場合には、投資を回収できなくなる可能性があること、新サービス、新規事業の内容によっては固有のリスク要因が加わる可能性や、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性がある。
- 同社グループは、M&Aや資本業務提携は、自社の成長を加速させるため、必要な要素であると認識している。M&Aや資本業務提携の実施にあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等について事前調査を行い、リスクを検討した上で進めているが、対象企業における偶発債務の発生や未認識債務の判明など事前の調査によって把握できなかった問題が生じた場合や、事業計画が予定どおり進捗しない場合には、関係会社株式、投資有価証券、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性がある。また、M&A等の結果、事業領域が変化することによって、同社グループの収益構造が変化する可能性がある。
- 同社グループでは、2020年以降、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛等により、オフラインマーケティング関連を中心に顧客企業の予算縮小やリアルプロモーションの延期・中止といった影響があった。今後、新たな感染症拡大等が生じた際に、その収束時期やその他の状況の変化により、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性がある。
所感
同社2023年3月期業績は、OMO事業はオフラインマーケティング関連減収も、フィンテック事業がデジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」の導⼊件数伸び、売上高微減、営業増益となった。2023年4月より提供を開始した新プロダクト「APPBOX (アップボックス)」の市場浸透を促進すると共に、立ち上がりを見せたフィンテック事業の収益基盤の更なる拡大を目指す。中期的には、OMO事業において、アプリ以外のDXソリューションの拡充、顧客接点データの蓄積、業界拡大及び業界毎のノウハウ蓄積を図り、アプリを中心としたOMOソリューションカンパニーから、リアルチャネル保有企業向けのDXソリューションカンパニーへの進化を図ることで、同社の更なる飛躍が期待される。
以上
株価算定・企業価値評価で全国対応の三澤公認会計士事務所