概要
カヤバ㈱(東証PRM7242)は、2024年11月11日、自動車関連を中心とする各種ばねの製造販売を手掛ける知多鋼業㈱(2024年2月期純資産23,688百万円、総資産29,516百万円、売上高14,526百万円、営業利益1,069百万円)を完全子会社化することを目的とする一連の取引の一環として、知多鋼業の普通株式を公開買付けにより取得することを決定したと発表した。
狙い
- カヤバ及び知多鋼業との相互連携によるサプライチェーン強靭化:経営資源及びノウハウの共有や情報の交換について存在していた一定の制約を受けずに、より迅速かつ詳細に、サプライチェーンに関する課題の共有や顧客ニーズの伝達を行い、カヤバにとってばねをはじめとする製品群の調達安定化を図る。また、知多鋼業においては、カヤバとの調達・購買・配送体制の共同化や、製造・販売の一体化を進め、サプライチェーン強靭化やコスト低減を図る。
- ノウハウの共有化によるコスト低減・品質向上:知多鋼業に対してカヤバのモノづくりの仕組みや品質管理システムを共有することで、知多鋼業製品の製造コスト低減・品質向上・収益拡大を目指す。また、生産・搬送・検査の自働化・無人化や、AI/IoTを活用したモノづくり現場の情報見える化等の革新的モノづくりの考え方を知多鋼業と共有することで、知多鋼業の製造現場における生産性向上や品質均一化を図る。
- カヤバ及び知多鋼業との相互連携による製品企画・開発:制約なく経営資源及びノウハウの共有や情報の交換ができるようになることで、カヤバ及び知多鋼業による企画・設計段階からの共同開発やノウハウ・情報の共有化、必要リソースの共通化を通じ、より効率的にコスト競争力があり、顧客ニーズを充足可能な製品を開発・販売すること目指す。アフターマーケット領域においては、防振ゴムを開発・拡大することによって、カヤバのコスト競争力向上を図る。
- 人材やガバナンスの観点からの知多鋼業における体制強化:カヤバの人材リソースを購買実務や営業活動、IT投資、経営管理等の様々な分野に対して効果的に活用することで、マネジメント人材も含めた、知多鋼業における人材不足等の問題解決を図る。また、カヤバ及び知多鋼業の双方で、人材交流や人材配置を通じた人材育成・組織活性化を図る。
- カヤバ及び知多鋼業の意思決定の迅速化・簡素化:カヤバは、知多鋼業の主要株主かつ筆頭株主であり、知多鋼業の取締役8名のうち、カヤバの従業員を兼務している者が1名存在することから、カヤバと知多鋼業の一般株主との間には利益相反の関係があると考えられる。利益相反関係を解消することで、カヤバと知多鋼業との間の意思決定プロセスの迅速化・簡素化を実現し、サプライチェーンにおける安定供給と品質確保や、環境変化への迅速な対応を目指す。
所感
カヤバは、「人々の暮らしを安全・快適にする技術や製品を提供し、社会に貢献するカヤバグループ」を経営理念として、油圧緩衝器・油圧機器等の製造・販売並びに各事業の統轄及び油圧緩衝器の物流業務等の関連するサービス業務等を展開。本件M&Aは、カヤバの事業拡大及びサプライチェーンの安定化並びに知多鋼業との協業体制の構築や事業成長への経営資源の集中に資する取り組みであり、カヤバの今後の更なる成長が期待される。
- 挑戦度☆☆
- 戦略度☆☆
- 期待度☆☆
知多鋼業株式会社(証券コード:5993)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ
以上