機械メンテナンス業界はM&Aが活発化
機械メンテナンス業界は、地域補完、垂直統合、技術革新による効率化、クロスセルといったニーズを背景にM&Aが加速している。以下、2022年以降に実行された意欲的なアライアンス事例9例を確認する。
①鈴茂器工が米飯加工機械サービスのスズモメンテナンス㈱の株式取得(子会社化)(2022年2月)
概要
㈱鈴茂器工(東証STD6405、米飯加工機械の製造販売)は、米飯加工機械のサービスを手掛けるスズモメンテナンス㈱の株式を取得し子会社化。
狙い
スズモメンテナンスは、関東甲信越エリアおける鈴茂器工製品のサービスの外部委託先として25年以上に亘って事業活動を行っており、鈴茂器工製品のサービスにおける高い技術力とノウハウを有している。鈴茂器工は、スズモメンテナンス買収することで、サービス体制の強化を図り、付加価値の高いサービス提供を目指す。
②ジャパンエレベーターサービスホールディングスが立体駐車装置等メンテナンスの㈱EVOTECHの株式取得(子会社化)(2022年2月)
概要
ジャパンエレベーターサービスホールディングス㈱(東証PRM6544、エレベーター保守)は、立体駐車装置等メンテナンス事業を手掛ける㈱EVOTECHの株式を取得し子会社化。
狙い
EVOTECHは、立体駐車装置等メンテナンス事業を営み、北海道札幌市を拠点として、北海道を中心に、6,400パレット以上の立体駐車装置等保守管理を行っている。ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、EVOTECHを買収することで、経営資源を共有、クロスセル等事業連携の強化を図る。
③ジャパンエレベーターサービスホールディングスがエレベーター保守の㈱生田ビルディングメンテナンスの株式取得(子会社化)(2022年9月)
概要
ジャパンエレベーターサービスホールディングス㈱(東証PRM6544、エレベーター保守)は、エレベーター等メンテナンス事業を手掛ける㈱生田ビルディングメンテナンスの株式を取得し子会社化。
狙い
ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、㈱生田ビルディングメンテナンスを買収することで、四国地区における事業基盤の一層の強化を図るとともに、共通のサービス提供エリアにおける、人的資源の相互活用を通じた効率的なメンテナンスの実施、更には、技術ノウハウの提供によるサービス品質の向上など、同業の優位性を生かした事業連携を図る。
④オーバルが計装機器メンテナンスの京浜計測㈱の株式取得(子会社化)(2022年12月)
概要
㈱オーバル(東証PRM7727、流体計測機器)は、工場やプラントにおける計装機器のメンテナンス、電気設備工事を手掛ける京浜計測㈱の株式を取得し子会社化。
狙い
オーバルは、京浜計測を買収することで、計装機器のメンテナンスに係る人材を獲得、他社製品のメンテナンスや校正事業の強化を目指す。
⑤日本管財が生活関連管理修繕の㈱社清流メンテナンスの株式取得(子会社化)(2022年12月)
概要
日本管財㈱(東証PRM9728、上下水道処理施設運転維持管理)は、主に汚泥再生処理施設の運転、維持管理業務や修繕業務を手掛ける㈱清流メンテナンスの株式を積水化学工業㈱(東証PRM4204、住宅事業・ライフライン事業)から取得し子会社化。
狙い
日本管財は、清流メンテナンスを買収することで、新規エリアにおける新たな営業基盤を確立、清流メンテナンスが有する技術や人材の活用により、営業活動の活性化を目指す。
⑥日菱インテリジェンスが店舗設備メンテナンスのシンメンテホールディングス㈱業務用エアコン洗浄ロボット事業の事業譲受(2023年7月)
概要
日菱インテリジェンス㈱(空調設備機器・ビル設備メンテナンス)は、シンメンテホールディングス㈱(東証GRT6086、店舗設備)の子会社で、業務用エアコン洗浄ロボットの製造・保守および業務用エアコン洗浄ロボットサービスの提供を手掛けるシンロボサービス㈱の業務用エアコン洗浄ロボット事業を譲受。
狙い
日菱インテリジェンスは、シンロボサービス㈱業務用エアコン洗浄ロボット事業を買収することで、洗浄の高品質化と標準化を図り、洗浄作業者の安全性を確保しつつ、労働生産性の向上を目指す。
⑦三機サービスが空調設備工事の長沼冷暖房㈱の株式取得(子会社化)(2023年11月)
概要
㈱三機サービス(東証STD6044、空調機器メンテナンス)は、冷暖房、換気、給排水衛生等の設備工事手掛ける長沼冷暖房㈱の株式を取得し子会社化。
狙い
三機サービスは、長沼冷暖房を買収することで、⾧沼冷暖房が強みを持つ工事に関するノウハウ等を取得、三機サービスが得意とするメンテナンスおよび省エネ提案のノウハウ等を駆使した⾧沼冷暖房の既存顧客への深耕営業、新潟エリアの新規顧客獲得による業容拡大等を図る。
⑧JRCが発電所各種工事保守の㈱高橋汽罐工業の株式取得(子会社化)(2024年8月)
概要
㈱JRC(東証GRT6224、ベルトコンベヤ部品製造販売)は、原子力・火力・バイオマス発電所のほか、大手製紙会社や食品会社などへの各種工事(機械器具の設置、配管作業、足場の組立ておよび解体などの広範な工事)を展開する㈱高橋汽罐工業の株式を取得し子会社化。
狙い
JRCは、高橋汽罐工業を買収することで、両社の販売網・技術力を融合、より付加価値の高いコンベヤソリューションを提供することで、ソリューション売上高比率を高め、グループとしての事業拡大を目指す。
⑨山九がプラントメンテナンスの山陽工業㈱の株式取得(子会社化)(2024年12月)
概要
山九㈱(東証PRM9065、物流・プラント事業)は、化学プラントおよび各種プラントの機器据付配管工事、化学プラントおよび各種プラントの建設およびメンテナンスと修繕工事、施工管理者の派遣を手掛ける山陽工業㈱の株式を取得し子会社化。
狙い
山九は、山陽工業を買収することで、国内外でのプラントメンテナンス事業の需要に対応、山陽工業の技術力と山九の営業力を組み合わせることで、従来よりも迅速かつ高品質なサービスを提供し、顧客満足度のさらなる向上を図る。
所感
機械メンテナンス業界におけるM&Aは、単なる規模拡大ではなく、地域・機能・技術の三方向での補完を通じて、事業モデルの高度化や多角化を狙う戦略的なものが多い。ジャパンエレベーターサービスホールディングスの事例は、既存サービスの提供エリアを拡大し、地域密着型の営業基盤を構築する動き。オーバルの事例は、製造販売を手掛ける企業が、自社製品の保守・修理機能を内製化するだけでなく、他社製品の保守にも積極的に取り組む動き。日菱インテリジェンスの事例は、既存メンテナンス事業と親和性の高い技術領域を取り込むことで省人化・効率化・新サービス開発が加速させる動き。更に、JRCや三機サービスの事例は、発電所保守、プラント工事、空調・給排水設備など、顧客基盤を共有できる分野の買収により、既存顧客への提案範囲を拡大し、顧客生涯価値を高める動きである。今後は、IoTやAIを活用した予防保全や遠隔監視の普及が進むことが想定されており、「メンテナンス+データ活用」の一体型サービスモデルへの進化を目指したM&Aが増加する可能性が高い。メーカー、商社、独立系サービス業者を含む機械メンテナンス業界の今後のM&A動向が大いに注目される。
以上
